「不本意」(読み方:「ふほんい」)という言葉は、「不本意ながら~する」「不本意な~」などの形でよく用いられています。

さまざまな場面でよく用いられる語ですが、類義語にはどのようなものがあるのか、また他の表現に言い換えたい場合にはどのような語を使うことができるのか、中には疑問に思うこともあるかもしれません。

そこで、ここでは「不本意」の意味と使い方、また類義語にあたる言葉や対義語について、翻訳経験のある現役ライターの筆者が解説していきます。

「不本意」の意味と使い方・例文・類義語

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それでは、以下に「不本意」の意味と使い方、また類義語との違い、対義語について説明していきましょう。

「不本意」の意味

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まず、「不本意」には以下のような意味があります。

自分の本当の気持ちとは異なること。

出典:明鏡国語辞典

つまり、「実際はそう思ってはいない、自分の本当の望みとは違っていること」を表し、たとえば副詞的に用いて「不本意ながら~する」という場合には、「本当はそうしたいとは思っていないにもかかわらず~する」ということを意味する語となっています。

「不本意」の使い方・例文

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次に、「不本意」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「周到な準備をしたつもりだったが、その面接は不本意な結果に終わった」
「当日の体調不良により試験で不本意な成績を取る」
「誠に不本意ですが、今回は採用を見合わせていただきます」
「不本意ながらその件につきましては辞退させていただきます」
「トラブルにより、不本意ですがその商品の販売は中断することとなりました」
「費用が足りず、不本意ながらもその研究は打ち切ることとなった」

#1 自分の理想とは違う状態

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「周到な準備をしたつもりだったが、その面接は不本意な結果に終わった」

「当日の体調不良により試験で不本意な成績を取る」

この例文は、自分が思い描いていた理想とは違っていた、想像していた結果と違ったという場合に使うパターンです。

 

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#2 断りの場面で使う

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「誠に不本意ですが、今回は採用を見合わせていただきます」

「不本意ながらその件につきましては辞退させていただきます」

これは、「採用したいのは山々ですが」「本当は引き受けたいのですが」という意味を含めて、相手からの誘いなどを断る言い方です。「不本意ですが」「不本意ながら」の後に、否定的な言葉が続きます。

#3 行動を停止させられた場合

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「トラブルにより、不本意ですがその商品の販売は中断することとなりました」

「費用が足りず、不本意ながらもその研究は打ち切ることとなった」

この例文は、自分の気持ちとは違っているけれど、他人からの指示で行動を停止させられるなどして、今の時点ではその結果に従わざるを得ないということを表します。

「不本意」の類義語

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それでは次に、「不本意」の類義語について見ていきましょう。

「不本意」の意味をどうとらえるかによって類語も変わってきますが、この言葉と近い意味のある語として、以下の「心ならずも」「やむなく」などといったものが挙げられます。

具体的には、どのような使い方をするのでしょうか。例文を交えながら説明していきましょう。

心ならずも

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まず、「心ならずも」には以下のような意味があります。

(副詞的に用いて)心からそうするのではないが。不本意ではあるが。やむをえず。

出典:精選版 日本国語大辞典「こころならずも」

つまり、この言葉は、自分がそうしたいと思っているからではなく、今の段階ではそうせざるを得ない状態についていう場合に、以下のように用いることができます。

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「心ならずも自宅の新築祝いに同僚たちを呼ぶことになった」
「電車の中で騒ぎ立てる子どもたちに、周囲の手前もあり心ならずも怒鳴りつけてしまった」
「先日は心ならずもご返信が遅くなってしまいまして、誠に申し訳ございませんでした」

やむなく

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次に、「やむなく」には以下の意味があります。

仕方なく。やむを得ず。

出典:明鏡国語辞典「已むなく」

「やむなく(止む無く)」という言葉は、それより他に選択の余地がなく仕方なく何かをすることを述べる場合に、以下のように用いることができます。

「雨天のために、やむなく大会は延期となった」
「その日は友人と会うことになっていたが、人員が足りないということで、やむなく休日出勤することにした」
「原価高騰のため、やむなく価格改定を実施させていただくこととなりました」

その他の類義語

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その他にも、「仕方なく」「心残り」などが類義語と言えるでしょう。

「仕方なく」は、避けられない事態に直面した際に、他にどうすることもできず受け入れる状態を表します。

例文は、次の通りです。

「妻の機嫌が悪いので、仕方なく飲み会に参加せずにまっすぐ家に帰った」

「心残り」は、物事が終わった後でも不満や心配、物足りなさなどの思いが残ってすっきりしないことを表します。

「彼にありがとうも言わずに別れたのが心残りだ」

のように使う言葉です。

 

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「不本意」の対義語

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それでは、「不本意」の対義語はどんな言葉でしょうか。「不本意」という言葉が「本意」に「不」がついたものですので、「本意」であることは容易に想像がつきますね。

本意

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「本意」には、「本当の気持ち」「正直な気持ち」の意味と、「もとからの考え」の意味があります。

「本当の気持ち」を意味する例文は、次の通りです。

「さきほど彼はあのような発言をしたが、本意から出た言葉ではない」

このように、「本意ではない」「本意に反し」という表現でよく見かけます。これは要するに、「不本意」だということですよね。

また、「もとからの考え」を意味するときには、

「ついに試験に合格して、本意を遂げることができた」

のような使い方をします。

やむを得ない気持ちを豊かに表現してみよう

以上、「不本意」の意味と使い方、類義語や対義語についてまとめました。

「不本意」という言葉は「自分の本当の気持ちではないこと」を表し、何かが自分の望んでいたものとは異なる結果になったり、本心からそう思っていないことを行ったりする場合に用います。

また類義語としては「心ならずも」「やむなく」などがあり、これらは副詞的に「不本意ながら」と同じような使い方をすることができる言葉です。

そして、「心ならずも」はそれが心からのものではなく仕方なく何かをする場合、「やむなく」は仕方なしに何かをする場合に用いることができます。

たとえば「不本意ながら(心ならずも・やむなく)申し出を辞退した」という表現は、場面によってはそれぞれ置き換えて用いることも可能です。

しかし、それぞれ微妙にニュアンスが異なるため、どのような意味を強調したいかによって使い分けると、より豊かな表現ができるようになります。

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言葉の意味

「不本意」の意味と使い方・例文・類義語は?現役ライターがサクッとわかりやすく解説

「不本意」(読み方:「ふほんい」)という言葉は、「不本意ながら~する」「不本意な~」などの形でよく用いられています。

さまざまな場面でよく用いられる語ですが、類義語にはどのようなものがあるのか、また他の表現に言い換えたい場合にはどのような語を使うことができるのか、中には疑問に思うこともあるかもしれません。

そこで、ここでは「不本意」の意味と使い方、また類義語にあたる言葉や対義語について、翻訳経験のある現役ライターの筆者が解説していきます。

「不本意」の意味と使い方・例文・類義語

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それでは、以下に「不本意」の意味と使い方、また類義語との違い、対義語について説明していきましょう。

「不本意」の意味

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まず、「不本意」には以下のような意味があります。

自分の本当の気持ちとは異なること。

出典:明鏡国語辞典

つまり、「実際はそう思ってはいない、自分の本当の望みとは違っていること」を表し、たとえば副詞的に用いて「不本意ながら~する」という場合には、「本当はそうしたいとは思っていないにもかかわらず~する」ということを意味する語となっています。

「不本意」の使い方・例文

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次に、「不本意」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「周到な準備をしたつもりだったが、その面接は不本意な結果に終わった」
「当日の体調不良により試験で不本意な成績を取る」
「誠に不本意ですが、今回は採用を見合わせていただきます」
「不本意ながらその件につきましては辞退させていただきます」
「トラブルにより、不本意ですがその商品の販売は中断することとなりました」
「費用が足りず、不本意ながらもその研究は打ち切ることとなった」

#1 自分の理想とは違う状態

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「周到な準備をしたつもりだったが、その面接は不本意な結果に終わった」

「当日の体調不良により試験で不本意な成績を取る」

この例文は、自分が思い描いていた理想とは違っていた、想像していた結果と違ったという場合に使うパターンです。

 

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