中国の古典が由来となった四字熟語に「画竜点睛」(読み:がりょうてんせい)というものがあります。
高等学校で使用される教科書にはその内容が載っていたりします。
しかし、世間ではあまり頻繁に用いられることのない言葉です。
そこで国語科の教員である私が、「画竜点睛」という四字熟語の由来・意味・使い方と、その類義語・対義語を説明したいと思います。

「画竜点睛」とは

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「画竜点睛」の由来

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「画竜点睛」という四字熟語は、中国古典『歴代名画記』に由来します。

中国六朝時代、張僧繇(ちょうそうよう)という絵の大家がいました。

彼は金陵(きんりょう)という都にあった安楽寺に四頭の竜を描きましたが、睛(瞳のこと)を描き入れると竜が飛び去ってしまうと言い、睛を描き入れませんでした。

人々は彼の発言を信用せず、二頭の竜に無理やり睛を描かせたところ、その二頭だけがたちまち天に昇ったというのです。

「画竜点睛」の意味

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「画竜点睛」の「睛」とは瞳のことですが、転じて、物事の大切なところという意味を持つようになり、結果として下記のような意味を持つ四字熟語となりました。

物事を完成するために、最後に加える大切な部分。また、肝心なところに手を入れて、全体をいっそう引き立てるたとえ。
(新明解四字熟語辞典・第二版・三省堂)

「画竜点睛」の使い方

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「画竜点睛」という四字熟語は、後ろに「~を欠く」という語をつけて用いられるのが一般的です。

この映画はストーリーも良いし全体的に悪くはないが、主演に女優が主人公のイメージに合わず画竜点睛を欠いている。

つまり、「画竜点睛を欠く」の形で、「最後の仕上げが不十分で、肝心なところが欠けているため精彩がないこと」を意味します。

「画竜点睛を欠く」の類義語その1「仏作って魂入れず」

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「画竜点睛を欠く」の類義語に「仏作って魂入れず」という言葉があります。

\次のページで「「仏作って魂入れず」の由来」を解説!/

「仏作って魂入れず」の由来

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仏像を作っても、作ったものが魂を入れなければ、単なる木や石と同じであるというたとえが由来となっています。

「仏作って魂入れず」の意味

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上記の由来から、「仏作って魂入れず」という言葉には次のような意味があります。

一番肝心なものが抜け落ちていること。

「仏作って魂入れず」の使い方

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この言葉は、以下のように用いられます。

読者が引き込まれるような素晴らしい小説がかけたけど、タイトルをどうするかがなかなか決まらない。仏作って魂入れずの状態だ。

「画竜点睛を欠く」の類義語その2・「九仞の功を一簣に虧く」

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また、「九仞の功を一簣に虧く」(読み:きゅうじんのこうをいっきにかく)という言葉もあります。

「九仞の功を一簣に虧く」の由来

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「九仞の功を一簣に虧く」の由来は、中国古典『書経・周書』にあります。

「仞」とは古代中国で用いられた高さ・深さの単位で、「九仞=非常に高い」という意味。

また、「簣」とは土を運ぶ籠・もっこという意味があり、「虧く」とは損なうという意味です。

高い山を作る際、最後に籠一杯の土を欠いてしまっては、完成しないという話からできた言葉といわれています。

\次のページで「「九仞の功を一簣に虧く」の意味」を解説!/

「九仞の功を一簣に虧く」の意味

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以上のような成り立ちから、「九仞の功を一簣に虧く」という言葉には次のような意味があります。

物事が今にも成就するというときに、手を抜いてしまったため成就しない・失敗する。

「九仞の功を一簣に虧く」の使い方

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「九仞の功を一簣に虧く」という言葉は次のように使います。

遠足は、家に帰るまでが遠足です。九仞の功を一簣に虧くことがないように、最後まで気を緩めないようにしてください。

「画竜点睛」の対義語・「蛇足」

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「画竜点睛」とは反対の意味を持つ表現として、「蛇足」というものがあります。

「蛇足」の由来

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「蛇足」という言葉は、中国古典『戦国策』に由来します。

楚という国にいた神官が、大きな杯に入った酒を召使いの者たちに振る舞いました。

その際、「何人かでこの酒を飲めば飲み足りないし、一人で飲めばたくさん余る。どうか地面に蛇の絵を描いて、最初に完成させた者が酒を独り占めできることにしようではないか」となりました。

ある一人が絵を完成させ、酒を引き寄せ今にも飲もうとしたとき、「私は蛇の足まで描くことができるのだぞ」と、杯を持ちながら蛇に足を書き足しました。

それがまだ出来上がらないうちに、別の一人の蛇が出来上がりました。

後から完成させた召使いは、「蛇には元々足などない。君はどうして蛇の足を描けるのかね」と言い、杯を奪い取って酒を飲み干してしまいました。

「蛇足」の意味

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先に蛇の絵を完成させた召使いは、足という、蛇には存在しないものを付け足そうとしたことにより、酒を飲むことができませんでした。

結果として下記のような意味を持つ言葉となりました。

\次のページで「「蛇足」の使い方」を解説!/

十分完成しているものの後に付け加える、余計なもの。

また、

他人の優れた仕事や発言の上に、自分が何か付け足すときの謙称として用いられる。

「蛇足」の使い方

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「蛇足」という言葉は、次のように使います。

「彼はいつも一言余計なことを言って、相手との関係が悪くなる。彼の言動は蛇足ばかりだ。」

「蛇足ですが、最後に一つお伝えしたいことがあります。」

画竜点睛を欠かないように

以上、「画竜点睛」(「画竜点睛を欠く」)の意味と使い方とその類義語・対義語について説明しました。

「画竜点睛」という言葉は、「最後の仕上げをしてその物事を立派に完成させることや、少しの手間を加えて全体の仕上がりを良くすること」を表し、主にそうした最後の仕上げができていないことについて述べる場合に「画竜点睛を欠く」という形で用いられます。

ちなみに「画竜点睛」という四字熟語を正しく書けますか?うっかりすると「画竜点」と書いてしまう人も多いはず。高校生などにテストなどで書かせても、「点晴」と書いてしまう生徒が非常に多い!

この熟語の成り立ちを理解していれば、「晴」という字は誤りだと言うことが容易にわかりますね。このように、言葉の成り立ちを理解していれば、漢字の書き取りミスも減るのです。

読み方を知っていて意味も知っていたとしても、正しく漢字で書けないとなると、まさしく「画竜点睛を欠く」ことになってしまうので、皆さんは間違いのないように注意しましょう。

また、「画竜点睛を欠く」と「仏作って魂入れず」は類義語として紹介しましたが、微妙にニュアンスが異なることも抑えておきましょう。

つまり、「画竜点睛を欠く」は「全体を引き立てる仕上げが不十分である」時に用い、「仏作って魂入れず」は「何かをほぼ達成させた状態にありながらも、重要な部分が抜け落ちている」という意味で用います。

類義語であるとはいえ、前後の文脈に応じて正しく使い分けられるといいですね。

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言葉の意味

「画竜点睛」の意味・由来・使い方と類義語・対義語。国語科の教員がサクッとわかりやすく解説!

中国の古典が由来となった四字熟語に「画竜点睛」(読み:がりょうてんせい)というものがあります。
高等学校で使用される教科書にはその内容が載っていたりします。
しかし、世間ではあまり頻繁に用いられることのない言葉です。
そこで国語科の教員である私が、「画竜点睛」という四字熟語の由来・意味・使い方と、その類義語・対義語を説明したいと思います。

「画竜点睛」とは

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「画竜点睛」の由来

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「画竜点睛」という四字熟語は、中国古典『歴代名画記』に由来します。

中国六朝時代、張僧繇(ちょうそうよう)という絵の大家がいました。

彼は金陵(きんりょう)という都にあった安楽寺に四頭の竜を描きましたが、睛(瞳のこと)を描き入れると竜が飛び去ってしまうと言い、睛を描き入れませんでした。

人々は彼の発言を信用せず、二頭の竜に無理やり睛を描かせたところ、その二頭だけがたちまち天に昇ったというのです。

「画竜点睛」の意味

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「画竜点睛」の「睛」とは瞳のことですが、転じて、物事の大切なところという意味を持つようになり、結果として下記のような意味を持つ四字熟語となりました。

物事を完成するために、最後に加える大切な部分。また、肝心なところに手を入れて、全体をいっそう引き立てるたとえ。
(新明解四字熟語辞典・第二版・三省堂)

「画竜点睛」の使い方

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「画竜点睛」という四字熟語は、後ろに「~を欠く」という語をつけて用いられるのが一般的です。

この映画はストーリーも良いし全体的に悪くはないが、主演に女優が主人公のイメージに合わず画竜点睛を欠いている。

つまり、「画竜点睛を欠く」の形で、「最後の仕上げが不十分で、肝心なところが欠けているため精彩がないこと」を意味します。

「画竜点睛を欠く」の類義語その1「仏作って魂入れず」

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「画竜点睛を欠く」の類義語に「仏作って魂入れず」という言葉があります。

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