「慣例」(読み方:「かんれい」)という言葉は、「慣例により~する」「慣例化する」などの形でよく用いられています。

この言葉には、他に「慣習」「恒例」のような近い意味の言葉がありますが、具体的にそれらとどのような違いがあるのか、中には疑問に思うこともあるかもしれません。

そこで今回は「慣例」の意味と使い方、また「慣習」「恒例」など似た言葉との違いを翻訳経験のある現役ライターの筆者が説明していきましょう。

「慣例」の意味と使い方・例文・「慣習」「恒例」との違い

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それでは、「慣例」の意味と使い方、また「慣習」「恒例」などとの違いを説明していきます。

「慣例」の意味は?

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まず、「慣例」には以下のような意味があります。

くり返し行われて習慣のようになっている事柄。ならわし。しきたり。

出典:明鏡国語辞典

つまり、「あることが何度も行われていて習慣のようになっている事柄」を表す語となっています。

「例」という字は「しきたり」の意味を持ちますから、「慣例」で「慣れたしきたり」ということになり、何度も行われてきたこと、繰り返し行われてきたことでいつのまにか普通になってしまっているようなことです。

古い歴史はないけれど、日常の中で習慣化されているというニュアンスを含みます。

「慣例」の使い方・例文

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次に、「慣例」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「開会式では慣例に従って市長の挨拶がある」
「今では日本でもクリスマスやハロウィンは慣例行事となっている」
「この時期には慣例によりボーナスが支給される」
「勤務先ではバレンタインには男性社員にチョコレートを配るのが慣例化していて困っている」

「慣例」に似た言葉「慣習」「恒例」など

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「慣例」の類義語には、「慣習」や「恒例」などがあります。それぞれどのような意味を持ち、どう違うのかについて見ていきましょう。

\次のページで「「慣習」の意味は?」を解説!/

「慣習」の意味は?

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「慣習」には、次のような意味があります。

ある社会で一般に行われてきた伝統的なしきたり。

出典:明鏡国語辞典「慣習」

「慣習」とは、「ある地域や社会の中で受け継がれている伝統的なしきたりのこと」を表す言葉です。

その地域や社会に属している限り「必ずしなければならない決まりごと」という、やや強制的なニュアンスを含みます。

使い方の例は、「この村に嫁入りするなら、村の慣習に従わねばならない」「毎年お正月は地元で過ごすという慣習を守っている」などです。

なお、「慣習」に似た言葉に「習慣」がありますが、この2つの違いはというと、「慣習」が地域や社会の中での決まりごとであるのに対して、「習慣」は個人的なルールだという点にあります。

「習慣」の使い方は、「私は毎晩寝る前に必ず本を読むことを習慣にしている」などです。

「恒例」の意味は?

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「恒例」の意味は、次の通りです。

儀式や行事がいつもと同じように行われること。また、その儀式や行事。

出典:明鏡国語辞典「恒例」

「恒例」は、「いつもある時期に決まって行われることや、その儀式・行事など」を意味する言葉です。

特定の時期に同じ方法で行われる、地域のイベントや学校行事などによく使われます。

使い方の例は、「この時期恒例の会社の飲み会に参加する」「マラソン大会はこの中学校の恒例行事だ」などです。

\次のページで「「慣例」「慣習」「恒例」の違い」を解説!/

「慣例」「慣習」「恒例」の違い

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これだけでは「慣例」「慣習」「恒例」が、それぞれどう違うのかわかりにくいですね。例文を見ながら、違いを比べてみましょう。

「慣習」:「この辺りではお正月に餅つきをするのが慣習となっている」(この辺りでは昔からお正月に餅つきをするしきたりがある)
「恒例」:「そろそろ毎年恒例のイルミネーションイベントが開催される時期だ」(そろそろ毎年行われているイルミネーションイベントが開催される時期だ)
「慣例」:「近年では節分になると恵方巻きを食べることが全国的な慣例となっている」(近年では節分になると恵方巻きを食べることが全国的な習慣のようになっている)

つまり、「慣習」は「ある地域や集団で古くから行われているしきたり」、「恒例」は「行事などがいつも同じようなやり方・日程で行われること」、「慣例」は「繰り返し行われてそれが習慣のようになっている事柄」を表すというニュアンスの違いがあります。

「慣例」のその他の類語

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「慣例」と似た意味を持つ言葉には、その他にも「慣行」「通例」などがあります。

「慣行」の意味は、「ある地域や社会の中で昔から行われている行事。古くからのならわし」「日常生活の中で、常に行っていること」です。

「慣例」が次第に当たり前のように行われるようになった事柄を表すのに対して、「慣行」はある組織や社会の中で行われている事柄を表し、「やらねばならない」という強いニュアンスはありません。

「我が家では毎朝交代で犬を散歩に連れて行くことが慣行となっている」のように使います。

「通例」の意味は、「世間一般で、そうすることが当たり前になっていること」です。

普通はそうするものだ、ということに対して使うので、一般的でない変わったことに対しては使えません。

「自分が間違っていたのなら、謝罪をしに行くのが通例だ」という使い方をします。

\次のページで「「慣例」の対義語」を解説!/

「慣例」の対義語

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「慣例」の反対の意味を持つ言葉は、「異例」になるでしょう。

「異例」の意味は、「普通と異なる例。前例のないこと。珍しいこと」です。

「この冬は異例の寒さだ」「その会社にしては異例の抜擢だった」という使い方をします。

微妙に違う場面で使い分けよう

以上、「慣例」の意味と使い方、「慣習」「恒例」などの似た言葉についてまとめました。

「慣例」という言葉は、「何度も行われてそれが習慣化している事柄」を表します。

「慣習」や「恒例」にも近い意味がありますが、「慣習」は単に何度も行われていることではなく、社会的に古くから受け継がれているしきたりについていう場合に用いる言葉です。

また「恒例」は、行事などが毎年同じように行われていることを表し、学校行事やイベントなどについて述べる場合に用います。

こうしてみると、「慣例」の類義語にはたくさんありますね。それぞれの違いは微妙なニュアンスでしかないので、どれを使えばいいか迷うかもしれません。

しかし、違いがあることを頭に入れておいて、場面によって上手に使い分けることができるようになると良いですね。

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言葉の意味

「慣例」の意味と使い方・例文・「慣習」「恒例」との違いは?現役ライターがサクッとわかりやすく解説

「慣例」(読み方:「かんれい」)という言葉は、「慣例により~する」「慣例化する」などの形でよく用いられています。

この言葉には、他に「慣習」「恒例」のような近い意味の言葉がありますが、具体的にそれらとどのような違いがあるのか、中には疑問に思うこともあるかもしれません。

そこで今回は「慣例」の意味と使い方、また「慣習」「恒例」など似た言葉との違いを翻訳経験のある現役ライターの筆者が説明していきましょう。

「慣例」の意味と使い方・例文・「慣習」「恒例」との違い

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それでは、「慣例」の意味と使い方、また「慣習」「恒例」などとの違いを説明していきます。

「慣例」の意味は?

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まず、「慣例」には以下のような意味があります。

くり返し行われて習慣のようになっている事柄。ならわし。しきたり。

出典:明鏡国語辞典

つまり、「あることが何度も行われていて習慣のようになっている事柄」を表す語となっています。

「例」という字は「しきたり」の意味を持ちますから、「慣例」で「慣れたしきたり」ということになり、何度も行われてきたこと、繰り返し行われてきたことでいつのまにか普通になってしまっているようなことです。

古い歴史はないけれど、日常の中で習慣化されているというニュアンスを含みます。

「慣例」の使い方・例文

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次に、「慣例」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「開会式では慣例に従って市長の挨拶がある」
「今では日本でもクリスマスやハロウィンは慣例行事となっている」
「この時期には慣例によりボーナスが支給される」
「勤務先ではバレンタインには男性社員にチョコレートを配るのが慣例化していて困っている」

「慣例」に似た言葉「慣習」「恒例」など

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「慣例」の類義語には、「慣習」や「恒例」などがあります。それぞれどのような意味を持ち、どう違うのかについて見ていきましょう。

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