「叡智」(読み方:「えいち」)という言葉は、「人類の叡智」「自然の叡智」などの形でよく用いられています。
とはいえ日常的に用いる類いの語ではなく、具体的にこの言葉はどのようなことを表すのか、また「知識」「知恵」といった近い意味の語とどのような違いがあるのか疑問が生じることもあるかもしれません。
そこで、ここでは「叡智」の意味と使い方、また「知識」「知恵」と比較してそれぞれの違いを翻訳経験のある現役ライターの筆者が説明していきます。

「叡智」の意味と使い方・例文・「知識」「知恵」との違い

それでは、以下に「叡智」の意味と使い方、また「知識」「知恵」との違いなどについて説明します。

「叡智」の意味は?

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「叡智」には主に「優れた知恵」といった意味があり、 「物事の真実在(イデア)を捉えることのできる最高の認識能力」 を表す語となっています。イデア(idea)は哲学の言葉で「物事の本質を表す」という意味です。真実在は、心の目を通して見た真実の姿ということになります。

「叡智」とは、ただ知識を積み重ねただけのものではなく、突然のひらめきや想像力も併せて、苦労して手に入れた真実なのです。

「叡」「智」それぞれの意味

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「叡」という漢字は複雑なつくりをしていますが、バラバラにしてみると、「肉を削り取られた後の骨と右手」「左右にせまる谷」「目」が組み合わさってできていることがわかりますね。

そのことから、「叡」は谷の奥深くまで見る目を持つということであり、「かしこい」「聡明なこと」を意味する、天子や天皇に対して敬意を表す語となりました。そして「智」は「物事を理解する能力」を意味するので、「叡智」には本来、「神のように優れた知恵」というニュアンスがあります。

しかし実際には、単に「優れた知恵」という意味で使われることが多いようです。

「叡智界」とは

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「叡智界」という言葉がありますが、これは最高の認識能力である知性によってのみ捉えられる超感覚的・超現実的な世界を表します。「可想界」は同義語です。

宇宙、神、魂、愛などのように、五感で捉えることはできないけれど、思惟(心の目)や直感で感じることができる存在を表します。

哲学者プラトンの「二元論」によると、すべてのものはこの「叡智界」と、見たり聞いたりする感覚で捉えられる現実の世界である「現象界」で構成されているということです。

「叡智」の 使い方・例文

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次に、「叡智」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「物事の原点に立ち返って先人たちの叡智に学ぶ」
「叡智を結集して大自然の脅威に立ち向かう」
「先人たちの叡智によって生み出され、古来受け継いできた発酵は、食品の保存性や酵素の働きを高めるなどのさまざまな効果がある」
「環境問題は叡智を結集して解決すべき問題だ」

「知識」「知恵」との違い

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「知識」や「知恵」も似た意味を持ちますが、「叡智」とはどこが違うのか見ていきましょう。

「知識」は「その事柄について知っていること。また、その内容」という意味を持ち、さまざまな経験を通して知った事実やその内容を表す言葉です。

「知恵」は「筋道を立てて物事を適切に処理する能力」を意味し、知っている事柄を具体的に応用して、利益になるよう工夫することを表します。

そして、これらの語と「叡智」の使い方を比較した例文は次の通りです。

\次のページで「「英知」と同じではない?」を解説!/

「知識」:「彼は登山が趣味で基本的な気象知識がある」(彼は登山が趣味で気象についての基本的なことを知っている)

「知恵」:「社内外の有識者から知恵を借りながらプロジェクトを進める」(社内外の分別のある有識者から助力を得てプロジェクトを進める)

「叡智」:「言語は人類が古来継承してきた叡智の一つだ」(言語は人類が古来継承してきた優れた知恵の一つだ)

 

つまり、「知識」は「ある事柄について知っていること、またその知っている内容」、「知恵」は「筋道を立てて物事を正しく判断し処理する能力」を表すのに対して、「叡智」は「優れた深い知恵」を表すというニュアンスの違いがあるというわけです。

 

「英知」と同じではない?

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「叡智」と同じ読み方をする「英知」は、意味も同じなのではないかと思われがちですが、本当のところはどうなのでしょうか。

「英知」もまた「優れた知恵や知性」という意味ですが、「叡智」とは微妙な違いがあります。

「英」は「すぐれている、すぐれた者」、「知」は「心に感じとる、理解する能力」という意味です。

すなわち「英知」は「人の優れた知識や知恵、それを活用した能力」ということを表す言葉であり、「叡智」のように「神がかった能力」というニュアンスは含まれていません。「人類の英知」「英知に富む」というような使い方をします。

「叡智」の対義語

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「叡智」の対義語は、「凡智(ぼんち)」で、「凡知」とも書きます。意味は、「平凡な知恵」「並の才能」ということですが、普段あまり聞き慣れない言葉ですね。「凡才」「月並」も似たような意味で使われます。

「叡智」には神がかったニュアンスがある

以上、「叡智」の意味と使い方、「知識」「知恵」との違いなどについてまとめました。

「叡智」という言葉には「優れた知恵」といった意味があり、日常的に用いられている単なる「知恵」という語よりも深遠なものについて述べる場合に用いることができます。

それに対して、「知識」は話題となっている事柄などについて知っていることやその内容、「知恵」は筋道を立てて物事を考え判断する能力を表し、より身近で一般的な使い方が可能です。

それぞれ意味や使用する場面が異なる語となるため、ケースに応じて適切に使い分けるようにしましょう。

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言葉の意味

「叡智」の意味と使い方・例文・「知識」「知恵」との違いは?現役ライターがサクッとわかりやすく解説

「叡智」(読み方:「えいち」)という言葉は、「人類の叡智」「自然の叡智」などの形でよく用いられています。
とはいえ日常的に用いる類いの語ではなく、具体的にこの言葉はどのようなことを表すのか、また「知識」「知恵」といった近い意味の語とどのような違いがあるのか疑問が生じることもあるかもしれません。
そこで、ここでは「叡智」の意味と使い方、また「知識」「知恵」と比較してそれぞれの違いを翻訳経験のある現役ライターの筆者が説明していきます。

「叡智」の意味と使い方・例文・「知識」「知恵」との違い

それでは、以下に「叡智」の意味と使い方、また「知識」「知恵」との違いなどについて説明します。

「叡智」の意味は?

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「叡智」には主に「優れた知恵」といった意味があり、 「物事の真実在(イデア)を捉えることのできる最高の認識能力」 を表す語となっています。イデア(idea)は哲学の言葉で「物事の本質を表す」という意味です。真実在は、心の目を通して見た真実の姿ということになります。

「叡智」とは、ただ知識を積み重ねただけのものではなく、突然のひらめきや想像力も併せて、苦労して手に入れた真実なのです。

「叡」「智」それぞれの意味

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「叡」という漢字は複雑なつくりをしていますが、バラバラにしてみると、「肉を削り取られた後の骨と右手」「左右にせまる谷」「目」が組み合わさってできていることがわかりますね。

そのことから、「叡」は谷の奥深くまで見る目を持つということであり、「かしこい」「聡明なこと」を意味する、天子や天皇に対して敬意を表す語となりました。そして「智」は「物事を理解する能力」を意味するので、「叡智」には本来、「神のように優れた知恵」というニュアンスがあります。

しかし実際には、単に「優れた知恵」という意味で使われることが多いようです。

「叡智界」とは

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「叡智界」という言葉がありますが、これは最高の認識能力である知性によってのみ捉えられる超感覚的・超現実的な世界を表します。「可想界」は同義語です。

宇宙、神、魂、愛などのように、五感で捉えることはできないけれど、思惟(心の目)や直感で感じることができる存在を表します。

哲学者プラトンの「二元論」によると、すべてのものはこの「叡智界」と、見たり聞いたりする感覚で捉えられる現実の世界である「現象界」で構成されているということです。

「叡智」の 使い方・例文

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次に、「叡智」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「物事の原点に立ち返って先人たちの叡智に学ぶ」
「叡智を結集して大自然の脅威に立ち向かう」
「先人たちの叡智によって生み出され、古来受け継いできた発酵は、食品の保存性や酵素の働きを高めるなどのさまざまな効果がある」
「環境問題は叡智を結集して解決すべき問題だ」

「知識」「知恵」との違い

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「知識」や「知恵」も似た意味を持ちますが、「叡智」とはどこが違うのか見ていきましょう。

「知識」は「その事柄について知っていること。また、その内容」という意味を持ち、さまざまな経験を通して知った事実やその内容を表す言葉です。

「知恵」は「筋道を立てて物事を適切に処理する能力」を意味し、知っている事柄を具体的に応用して、利益になるよう工夫することを表します。

そして、これらの語と「叡智」の使い方を比較した例文は次の通りです。

\次のページで「「英知」と同じではない?」を解説!/

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