「克服」の意味と使い方・例文・類義語・言い換え表現は?現役記者がサクッとわかりやすく解説!
「克服」と「解決」「改善」「超克」「克復」の違いは?
次に、「解決」「改善」「超克」「克復」という語との違いについて見ていきましょう。これらの語と「克服」の使い方を比較すると以下のようになります。
「解決」:「家事に非協力的な夫に対する不満を穏便に話し合って解決する」(家事に非協力的な夫に対する不満を穏便に話し合って処理する)
「改善」:「待遇に不満を感じ、上司に改善を申し出る」(待遇に不満を感じ、悪い点を良い方向に変えてもうらうよう上司に申し出る)
「超克」:「生き抜くためには常に自分自身を厳しく律し、自分を超克していく努力を怠らないことが大切だ 」(生き抜くという困難を乗り越えるためには常に自分自身を厳しく律し、自分に打つ克つ努力を怠らないことが大切だ )
「克復」:「市井の人々も平和克復の祝意を表して笑顔を見せた」(市井の人々も困難な事態を乗り越えて平和が戻ったことに祝意を表して笑顔を見せた)
「克服」:「彼は苦手意識や緊張を克服してプレゼンテーションスキルを伸ばしていった」(彼は努力して苦手意識や緊張を乗り越えてプレゼンテーションスキルを伸ばしていった)
「解決」と「克服」を比較すると、「克服」では「前提として問題や状況が困難」であり、またそれを「努力して」終わらせることという「解決」との違いがあります。
また「改善」と「克服」では、「改善」は「物事の悪い面を良い方向に変えること」、「克服」は「努力をして悩みや解決が難しい状況を乗り越えること」を表していることから、それらの違いは明確でしょう。
そして「超克」と「克服」との違いですが、上記の文でもそのまま言い換えることができるように、これらの意味はほぼ同じです。しかし「超克」という語は、文に堅さや仰々しさを与えるので、使いどころには気をつけましょう。
「克復」については、「克服」とは明確に異なる「もとの状態にもどすこと」という意味があるので、違いは明らかでしょう。
「克復」はどのように言い換えられる?
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それでは、次に「克復」の言い換え表現について、見ていきましょう。
例えば、「走り込みを続けることで、虚弱体質を克服した」という文ならば、微妙なニュアンスの違いはありますが、以下のように言い換えることができます。
「走り込みを続けることで、虚弱体質を改善した」
「走り込みを続けることで、虚弱体質から脱却した」
「虚弱体質だったが、走り込みを続けることで乗り越えた」
「走り込みを続けることで、虚弱体質に打ち克った」
「虚弱体質という困難を、走り込みを続けることではねのけた」
「虚弱体質という逆境を、走り込みを続けることで乗り越えた」
「克服」と「解決」「改善」「克復」は明確な違いがあるが「超克」はほぼ同じ
以上、「克服」の意味と使い方についてまとめました。
この言葉は、「努力して困難を乗り越えること」を表し、主に自身の抱えている弱点や良くない習慣などを努力して越えることについて述べる場合に用いることができます。
また、「克服」に似た意味を持つ語に「解決」「改善」「超克」「克復」がありますが、「超克」を除いた「解決」「改善」「克復」は「克服」と明確な違いがあるので、これらの言い換えには注意が必要です。
具体的には、「解決」は直面している問題や事件などをうまく片付けること、「改善」は物事の悪い部分を良い方向に変えていくこと、「克復」は困難な事態を乗り越えてもとの状態にもどすことを表します。
そして、「超克」は「克服」とほぼ同じ「困難を乗り越えてそれに打ち克つこと」を表しますが、仰々しい表現ですので用いるときには注意が必要です。
このように、これらの語は似た意味があるように思えても表していることは明確に違うか、使う場面を選びます。
たとえば「努力して何かを乗り越えることで問題となっていることを解決した」場合には「克服」か「超克」、単に「問題をうまく片付ける」というニュアンスであれば「解決」、「物事の中の悪いところを良いように変える」場合には「改善」、「難しい事態を乗り越えてもとの状態にもどす」ときには「克復」と、適当に使い分けましょう。