「短絡的」(読み方:「たんらくてき」)という言葉は、「短絡的に~」「短絡的に」といった形で、また人の性格を表す場合などによく用いられています。

といってもこの言葉は具体的にどのようなことを表しているのか、他に似た意味のある言葉にはどのようなものがあるのか、疑問に思うこともあるかもしれません。

そこで、ここでは「短絡的」の意味と使い方、また類義語である「浅はか」「単純」や言い換え表現について、科学・技術系記事の執筆を中心に活躍する筆者が解説していきます。

「短絡的」の意味と使い方

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それでは、最初に「短絡的」の意味と使い方について見ていきましょう。

「短絡的」の意味は?

まず、「短絡的」には「筋道立てて考えずに物事を結びつけるさま」といった意味があり、「物事を順序立てて考えることをせずに、ある物事を何かの結果と結びつけてしまう様子」を表します。

「短絡的」はもちろん「短絡」、つまり「ショート」に由来した言葉です。「短絡」は本来、電気回路で絶縁されていた二点間が破れて導電してしまうことを意味し、距離的には近くとも回路としては遠かった二点が回路としての働きを無視してつながってしまうことを表します。

このような意味から、「本質を考えずに、原因と結果などを早まって結びつけてしまうこと」という新たな「短絡」の意味が出来上がり「短絡的」という表現が生まれたと言えるでしょう。

「短絡的」の使い方は?

次に、「短絡的」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように使用できます。

「ここ最近残業続きといっても、それで浮気を疑うのは短絡的過ぎる」

「今の世に大企業に就職することが安定だと考えるのは短絡的だ」

「有名大学を卒業しているからと言って、ビジネスマンとしても優秀だと考えるのは短絡的だ」

「この仕事に失敗したからといって、彼には能力がないと考えるのはあまりに短絡的だ」

「短絡的な発想では、今回の問題を解決するのは不可能だろう」

「短絡的に答えを導き出さず、すべての根拠を考慮することが必要です」

「短絡的思考の持ち主が研究者になることはできない」

上記の例文のように、「短絡的」は「何かを理屈を立てて考えずに急いで物事を結果と結びつけること」をいいます。つまり、たとえば最初の例文でいうと、「夫の残業が続いている」という事実に対して、妻は論理的に物事を考えて「浮気」を疑っているのではなく、余裕がなく急いで結論を出そうとして「残業」と「浮気」を結びつけている様子のことです。

「短絡的」の類義語は?

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それでは、次に「短絡的」の類義語である「浅はか」「単純」について見ていきましょう。

\次のページで「「浅はか」の使い方は?」を解説!/

「浅はか」の使い方は?

「浅はか」には「考えが浅いさま」(つまり考えが足りない、十分ではない様子)を表し、たとえば以下のように用いることができます。

「その作業が1時間もあれば終わると考えた自分の浅はかさを後悔する」

「事前に行き方もろくに調べずに、住所さえ分かればすぐにたどり着けると思っていたのは浅はかな考えだった」

「浅はか」が表す「よく考えないさま」は、「短絡的」に含まれる「筋道立てて考えずに」という意味を包括している、つまりぼんやりと言い換えていると言えるでしょう。このような違いのほか、「浅はか」には「物事と結果を結びつけてしまうこと」という意味を含んでいないという違いがあります。

「単純」の使い方は?

「単純」には「考え方が一つの面に偏っていて浅いこと」を表し、以下のような使い方をすることができます。

「金持ちと結婚すればそれだけで幸せになれるというのは単純過ぎる考え方だ」

「彼は単純に大企業に就職できればそれで良いと考えているようだ」

「単純」の意味は「本来の複雑さを考えず、大雑把に考えること、または部分しか考えないこと」とも言い換えられることから、「本質を考えずに」という意味を含んでいる「短絡的」とはニュアンスが異なります。また「単純」の意味にも、「浅はか」と同様に「物事と結果を結びつけてしまうこと」という意味は含まれていません。

\次のページで「「短絡的」はどのように言い換えられる?」を解説!/

「短絡的」はどのように言い換えられる?

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それでは、次に「短絡的」の言い換え表現について、見ていきましょう。

例えば、「手作りの一点物が良品と考えるのはあまりに短絡的だ」という文ならば、微妙なニュアンスの違いはありますが、以下のように言い換えることができます。

「手作りの一点物が良品と考えるのはあまりに浅はかだ」

「手作りの一点物ならば良品と判断するのはあまりに単純化した考え方だ」

「手作りの一点物ならば良品と判断するのはあまりに短慮な考え方だ」

「手作りの一点物ならば良品と判断するのはあまりに浅慮な考え方だ」

「手作りの一点物ならば良品と判断するのはあまりにも考えが浅い」

「手作りの一点物ならば良品と判断するのはあまりに軽率な考え方だ」

「短絡的」は「浅はか」「単純」で言い換えられるが意味はあいまいになる

以上、「短絡的」の意味と使い方、類義語、言い換え表現についてまとめました。

この言葉は「物事の筋道を立てずに物事を結びつける様子」を表し、理屈もなしに物事を何かの結果と関連付けて急いで結論を出してしまうことを表します。

近い意味の言葉に「浅はか」「単純」といったものがありますが、「浅はか」は単に「考え方が浅い、足りない様子」。また「単純」は「考え方が一つの面に偏っていて細かいところまでは気が付かないこと」を表し、「短絡的」の「物事と結果を結びつけてしまうこと」といったニュアンスは含まれません。

「浅はか」も「単純」も「短絡的」をぼんやりと言い換えた言葉と言えるので、「短絡的」を「浅はか」「単純」で言い換えると、その文の意味もぼんやりとしたものになるでしょう。

そのため、逆に「浅はか」「単純」を「短絡的」で言い換えようとすると、文が不自然になる場合があるので気をつけましょう。

このように、それぞれニュアンスが異なるため、ケースに応じて適切な語を選んで使い分けること必要です。

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言葉の意味

「短絡的」の意味と使い方・例文・類義語・言い換え表現は?現役記者がサクッとわかりやすく解説!

「短絡的」(読み方:「たんらくてき」)という言葉は、「短絡的に~」「短絡的に」といった形で、また人の性格を表す場合などによく用いられています。

といってもこの言葉は具体的にどのようなことを表しているのか、他に似た意味のある言葉にはどのようなものがあるのか、疑問に思うこともあるかもしれません。

そこで、ここでは「短絡的」の意味と使い方、また類義語である「浅はか」「単純」や言い換え表現について、科学・技術系記事の執筆を中心に活躍する筆者が解説していきます。

「短絡的」の意味と使い方

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それでは、最初に「短絡的」の意味と使い方について見ていきましょう。

「短絡的」の意味は?

まず、「短絡的」には「筋道立てて考えずに物事を結びつけるさま」といった意味があり、「物事を順序立てて考えることをせずに、ある物事を何かの結果と結びつけてしまう様子」を表します。

「短絡的」はもちろん「短絡」、つまり「ショート」に由来した言葉です。「短絡」は本来、電気回路で絶縁されていた二点間が破れて導電してしまうことを意味し、距離的には近くとも回路としては遠かった二点が回路としての働きを無視してつながってしまうことを表します。

このような意味から、「本質を考えずに、原因と結果などを早まって結びつけてしまうこと」という新たな「短絡」の意味が出来上がり「短絡的」という表現が生まれたと言えるでしょう。

「短絡的」の使い方は?

次に、「短絡的」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように使用できます。

「ここ最近残業続きといっても、それで浮気を疑うのは短絡的過ぎる」

「今の世に大企業に就職することが安定だと考えるのは短絡的だ」

「有名大学を卒業しているからと言って、ビジネスマンとしても優秀だと考えるのは短絡的だ」

「この仕事に失敗したからといって、彼には能力がないと考えるのはあまりに短絡的だ」

「短絡的な発想では、今回の問題を解決するのは不可能だろう」

「短絡的に答えを導き出さず、すべての根拠を考慮することが必要です」

「短絡的思考の持ち主が研究者になることはできない」

上記の例文のように、「短絡的」は「何かを理屈を立てて考えずに急いで物事を結果と結びつけること」をいいます。つまり、たとえば最初の例文でいうと、「夫の残業が続いている」という事実に対して、妻は論理的に物事を考えて「浮気」を疑っているのではなく、余裕がなく急いで結論を出そうとして「残業」と「浮気」を結びつけている様子のことです。

「短絡的」の類義語は?

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それでは、次に「短絡的」の類義語である「浅はか」「単純」について見ていきましょう。

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