「充足」(読み方:「じゅうそく」)という言葉は、「~を充足する」などの形でよく用いられています。

取り立てて使い方の難しい語ではありませんが、たとえば似た意味のある「充実」「満足」「会心」という語とはどのような違いがあるのかと疑問を覚えることもあるかもしれません。

そこで、ここでは「充足」の意味と使い方、また「充実」との違い、そして類義語である「満足」「会心」や対義語について、科学・技術系記事の執筆を中心に活躍する筆者が解説していきます。

「充足」の意味と使い方・例文・「充実」との違い

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それでは、始めに「充足」の意味と使い方、また「充実」との違いを説明します。

「充足」の意味は?

まず、「充足」には「十分に満たすこと、満ち足りること」という意味があり、「不足を補って十分に満たすこと、不足がなく満足していること」を表します。

また、「充足」は「みちる」を意味する「充」と「たりる、十分である」を意味する「足」から構成された、同じ意味の漢字を重ねた熟語です。

「充足」の使い方は?

次に、「充足」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「急な病欠にも対応できるよう人員の充足を図る」

「彼は上京してから充足した日々を送っている」

「被災地で必要とされていた食料は現在では充足している」

「その地域は保育園の定員充足率が高い」

「自己を表現するたびに充足感を得るようになった」

上記のように、「充足」には「~を充足する」「~の充足」といった用法があり、また「充足率」「充足感」のような慣用句があります。

「充足」と「充実」の違いは?

では次に、似た意味を表す「充実」という語との違いについて見ていきましょう。

「充実」は「必要なものが十分に備わっていること、内容や中身が豊かなこと」といった意味があり、「充足」と使い方を比較すると以下のようになります。

\次のページで「「充足」の類義語は?」を解説!/

「充実」:「そこの蕎麦屋は丼物やラーメン、定食など蕎麦以外のメニューも充実している」(そこの蕎麦屋は丼物やラーメン、定食など蕎麦以外にも豊富なメニューがある)

「充足」:「地域医療の充足を図る」(地域医療の不足を補い十分行き渡るように意図する)

つまり、「充実」は「不足したところがなく必要なものが備わっていること、内容や中身が富んでいて豊かなこと」、「充足」は「不足しているものを補って満たすこと」を表すというニュアンスの違いがあります。

「充足」の類義語は?

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それでは、次に「充足」の類義語である「満足」「会心」について見ていきましょう。

「充足」と「満足」の違いは?

「満足」には「望みが満ち足りて不平不満がないこと」を表し、「充足」と使い方を比較すると以下のようになります。

「満足」:「彼は入社したばかりだが経験豊富で仕事を覚えるのも早く仕事振りには満足している」(彼は入社したばかりだが経験豊富で仕事を覚えるのも早く仕事振りに不満はない)

「充足」:「彼は積極的に仕事に取り組み、充足した日々を送っている」(彼は積極的に仕事に取り組み、満ち足りた日々を送っている)

このように、「満足」は「満ち足りた状態にあって不満がないこと」を表すため、「充足」をそのまま「満足」に言い換えても意味はそのまま通るでしょう。

しかし、「充足」には心の状態を表す「不平不満がないこと」という意味は含んでいないため、「満足」をそのまま「充足」で言い換えると不自然になる場面もあります。

\次のページで「「充足」と「会心」の違いは?」を解説!/

「充足」と「会心」の違いは?

「会心(かいしん)」には「心にかなうこと、満足に思うこと」を表し、「充足」と使い方を比較すると以下のようになります。

「会心」:「夏休みに描きあげた絵は会心の出来だった」(夏休みに描きあげた絵は心から満足に思う出来だった)

「充足」:「夏休みは充足した生活を送ることができた」(夏休みは満ち足りた生活を送ることができた)

「会心」もまた「満足」のように、心の状態を表す「満足に思う」という意味を含んでいます。そのため、上記の例文であれば「夏休みに描きあげた絵は充足感が得られるほどの出来だった」というように、心の状態を表す「充足感」を使用する必要があるでしょう。

「充足」の対義語は?

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それでは、次は「充足」の対義語である「不足」について説明していきましょう。

「不足」は「足りないこと、十分でないこと」「満足でないこと、不平に思うこと」という意味を持っており、以下のように使うことができます。

「うちの部署は人材が不足しており、納期も遅れ気味だ」

「次は昨年の優勝者との試合だが、対戦相手として不足はない」

このように、「不足」は「充足」の反対語というよりは「満足」の反対語と言ったほうが正確もしれませんが、ほとんどの場合、「不平に思うこと」という意味では「相手として不足はない」という使い方しかしません

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「充足」には似た語として「充実」、類義語として「満足」「会心」、対義語として「不足」がある

以上、「充足」の意味と使い方、「充実」との違い、類義語や対義語についてまとめました。

この言葉は、「不足を補って満たすこと、満ち足りること」を表しており、「~を充足する」「~の充足」といった形で、また「充足率」「充足感」のような慣用句として使用できるでしょう。

同じように満ち足りていることを表す「充実」「満足」「会心」といった語との違いが分かりにくいところがありますが、「充実」は「内容が豊かなこと、必要なものが備わっていること」を表しており、「充足」とはニュアンスが異なります。

また、「満足」は「満ち足りること」という意味のほか「不平不満がないこと」という意味もあり、後者の場合は「充足」とニュアンスが違ってくるため、このことを意識して使い分けるようにしましょう。

一方、「会心」は「心にかなうこと、満足に思うこと」を表しており、単に「満ち足りる」ことを表す「充足」とは微妙に異なるので、使い分けに気をつけましょう。

そして、「充足」の対義語として「不足」があり、「相手として不足はない」という使い方以外では、「充足」の反対の意味である「足りないこと、十分でないこと」を表します。

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言葉の意味

「充足」の意味と使い方・例文・「充実」との違い・類義語・対義語は?現役記者がサクッとわかりやすく解説!

「充足」(読み方:「じゅうそく」)という言葉は、「~を充足する」などの形でよく用いられています。

取り立てて使い方の難しい語ではありませんが、たとえば似た意味のある「充実」「満足」「会心」という語とはどのような違いがあるのかと疑問を覚えることもあるかもしれません。

そこで、ここでは「充足」の意味と使い方、また「充実」との違い、そして類義語である「満足」「会心」や対義語について、科学・技術系記事の執筆を中心に活躍する筆者が解説していきます。

「充足」の意味と使い方・例文・「充実」との違い

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それでは、始めに「充足」の意味と使い方、また「充実」との違いを説明します。

「充足」の意味は?

まず、「充足」には「十分に満たすこと、満ち足りること」という意味があり、「不足を補って十分に満たすこと、不足がなく満足していること」を表します。

また、「充足」は「みちる」を意味する「充」と「たりる、十分である」を意味する「足」から構成された、同じ意味の漢字を重ねた熟語です。

「充足」の使い方は?

次に、「充足」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「急な病欠にも対応できるよう人員の充足を図る」

「彼は上京してから充足した日々を送っている」

「被災地で必要とされていた食料は現在では充足している」

「その地域は保育園の定員充足率が高い」

「自己を表現するたびに充足感を得るようになった」

上記のように、「充足」には「~を充足する」「~の充足」といった用法があり、また「充足率」「充足感」のような慣用句があります。

「充足」と「充実」の違いは?

では次に、似た意味を表す「充実」という語との違いについて見ていきましょう。

「充実」は「必要なものが十分に備わっていること、内容や中身が豊かなこと」といった意味があり、「充足」と使い方を比較すると以下のようになります。

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