「傾倒」の意味と使い方・例文・類義語は?現役記者がサクッとわかりやすく解説!
「夢中」:「読書に夢中になり過ぎて、気付いたら朝だった」(読書にあまりにも心を奪われて我を忘れ、気付いたら朝だった)
「熱中」:「仕事に熱中するのもいいが、体にだけは気をつけなさい」(他のことを忘れて、仕事だけに心を注ぐのもいいが、体にだけは気をつけなさい)
「没頭」:「その浪人生は医科大学に合格するため、受験勉強に没頭している」(その浪人生は医科大学に合格するため、他を事を顧みず受験勉強に深く心を傾けている)
「心酔」:「彼は最近ある新進作家の作品に心酔している」(彼は最近ある新進作家の作品に心を奪われ熱心に心を注いでいる)
「傾倒」:「近年海外では菜食主義に傾倒している人が多いようだ」(近年海外では菜食主義に心引かれ熱心に実践している人が多いようだ)
以上の例文から、「夢中」と「熱中」「没頭」、そして「心酔」「傾倒」の間には互いにニュアンスの違いがあることに気が付くでしょう。
まず、「心酔」「傾倒」は共通に「何かに心を引かれ」、その上で「その何かに夢中になっている」「その何かに熱中している」ことを意味していると理解できます。
一方、「熱中」「没頭」は単に「一つの物事に心を傾けること」を意味し、「心引かれる」といった意味は含みません。また、「熱中」と「没頭」の間にも微妙なニュアンスの違いがあり、「熱中」では「他を忘れて」、「没頭」では「他を顧みず」といった意味があります。
そして、「夢中」は、「心酔」「傾倒」の「何かに心を引かれ」の意味も「熱中」「没頭」の「一つの物事に心を傾けること」の意味も共に含みますが、「我を忘れてしまうこと」が本質的な意味であるという点で、これらの語とは違うと考えられるでしょう。
また、「心酔」と「傾倒」にも微妙な違いがあり、「心酔」は「ある人やその作品、物事の出来栄え(作品などのでき上がった状態)」といったものに対して熱中している、尊敬している場合に用いますが、「傾倒」は「人・主義・思想」といったことに対して用いるというニュアンスの違いがあります。
「傾倒」は「心酔」とほぼ同じ意味を持ち「夢中」「熱中」「没頭」とは違いがある
以上、「傾倒」の意味と使い方、類義語についてまとめました。
まず、「傾倒」には「傾いて倒れること」、また「物事に心を引かれて夢中になること、ある人を尊敬して憧れること」といった意味があります。
しかし、現在では主に後者の意味で用いられており、この場合には類義語として「夢中」「熱中」「没頭」「心酔」を挙げることができるでしょう。
そして、「夢中」は「一つの物事に心引かれ我を忘れること」を表しており、「我を忘れてしまうこと」が本質的な意味です。
また、「熱中」「没頭」は単に「一つの物事に心を傾けること」を意味しますが、「熱中」では「他を忘れて」、「没頭」では「他を顧みず」といった微妙な意味の違いがあります。
一方、「心酔」は「何かに心を引かれ」、その上で「その何かに夢中になっている」ことを意味しているため、「傾倒」と非常に似通った意味を持っていると理解できるでしょう。
このように、それぞれの語にはさまざまな違いがあるので、その場面に応じてうまく使い分けると良いでしょう。