「恩恵」(読み方:「おんけい」)という言葉は、「恩恵を受ける」「恩恵を施す」などの形でよく用いられています。

特に使い方の難しい語ではありませんが、具体的にこの言葉はどのようなことを表しているのか、また近い意味のある「利点」「利益」という語とどのような違いがあるのか、疑問を覚えることもあるかもしれません。

そこで、ここでは「恩恵」の基本的な意味と使い方、また「利点」「利益」との違い、そして類義語である「祝福」「賜物」について、科学・技術系記事の執筆を中心に活躍する筆者が解説していきます。

「恩恵」の意味と使い方・例文・「利点」「利益」との違い

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それでは、始めに「恩恵」の意味と使い方、また「利点」「利益」との違いを説明していきます。

「恩恵」の意味は?

まず、「恩恵」には「恵み、慈しみ」「何か上位の者が人間に与える恵み」という意味があり、前者の意味では「ためになるものや幸福をもたらすもの」を表し、後者の意味ではキリスト教の神や自然を上位者として使われます。

また「恩恵」は、「恵み、慈しみ」を意味する「恩」と「恵み」「賢い、さとい」を意味する「恵」という似た意味を重ねて構成された熟語です。

「恩恵」の使い方は?

次に、「恩恵」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「増税による駆け込み需要の恩恵を被る」

「会社は社員に対してさまざまな恩恵を施している」

「母子家庭を支援する制度の恩恵に浴する」

「さんさんと降り注ぐ朝の日差しの中を散歩して日光の恩恵を受ける」

「人間は自然のめぐみを通して陽の光の恩恵を享受してきた」

「山の恩恵に感謝して、今日も山菜をいただく」

なお、「浴する」という語は「(良いことを)受ける、被る」ことを表します。

「恩恵」と「利点」「利益」の違いは?

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ここからは、似た意味を表す「利点」「利益」という語との違いについて見ていきましょう。

まず、「利点」には「利益のある点、有利な点」、「利益」は「儲け、ためになること」といった意味があります。

そして、これらの語と「恩恵」の使い方を比較したのが以下です。

\次のページで「「恩恵」の類義語は?」を解説!/

「利点」:「この地域は家賃は高いが職場から近いので、通勤時間が短くなるという利点がある」(この地域は家賃は高いが職場から近いので、通勤時間が短くなるという有利な点がある)

「利益」:「たくさんの本を読むことは大きな利益になるだろう」(たくさんの本を読むことは大いに自分のためになるだろう)

「恩恵」:「現代は長い歴史が培った平和の恩恵を享受している」(現代は長い歴史が培った平和による幸福を享受している)

つまり、「利点」は「その物事における有利な点、得になる点」、「利益」は「(事業・商売などによる)儲け、もしくは(その人にとって)ためになること」、「恩恵」は「自然など他者からもたらされる幸福や利益となるもの」を表すというニュアンスの違いがあります。

「恩恵」の類義語は?

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それでは、次は「恩恵」の類義語・類語である「祝福(しゅくふく)」「賜物(たまもの)」について見ていきましょう。

「祝福」の意味と使い方、「恩恵」との違い

「祝福」には「幸福を祝うこと」「上位者(キリスト教の神など)から恵みが与えられること」という意味があり、以下のように使うことができます。

「子供達は皆、祝福されて生まれてくる」

「その結婚は喜ぶべきことのはずなのだが、私は素直に祝福できなかった」

「教皇はミラノ大聖堂に集ったカトリック教会の人々に祝福を与えられた」

「教壇に立つ老牧師が左右の人々に祝福を与えていた」

このように、「祝福」は「上位者から恵みが与えられること」という意味において「恩恵」と似た意味であると言えます。

\次のページで「「賜物」の意味と使い方、「恩恵」との違い」を解説!/

「賜物」の意味と使い方、「恩恵」との違い

「賜物」には「恩恵や祝福として与えられたもの」「何かの結果として現れた良いものや成果」という意味があり、以下のように使うことができます。

「私の命が助かったのは、まさに神の慈悲の賜物だった」

「僕が助かったのはまったく偶然の賜物と言えるだろう」

「ここで事故を防げたのは、体操で鍛えたバランス感覚の賜物だ」

「年金だけで豊かな生活ができるというのは、長年にわたる仕事の賜物だ」

まず、「賜物」は「恩恵や祝福として与えられたもの」という意味ではほぼ「恩恵」と同じ意味を持っています。

また、もう一方の意味においても、「賜物」は「ためになるもの、良いもの」という「恩恵」と共通の意味を持っていますが、「何らかの行為や努力の結果として得られた」という「恩恵」には含まれない意味も持っているので、ニュアンスに違いがあると言えるでしょう。

「恩恵」「祝福」「賜物」は共通に「もたらされたもの」という意味を持つ

以上、「恩恵」の意味と使い方、「利点」「利益」との違い、そして類義語についてまとめました。

この言葉は、「自然などからもたらされる幸福や利益となるもの」を表し、ある人にとって何らかのためになるものを他者からもたらされていることを述べる場面で用いることができます。

また、「利点」は「その事柄に備わっている有利な点や得になる点」「利益」は「商売などの儲け」という意味の他に「(何らかの物事や行為などが)その人にとってためになること」を表します。

一方、「恩恵」の類義語として「祝福」「賜物」がありますが、「祝福」は「幸福を祝うこと」「上位者から恵みが与えられること」を表し、後者の意味において「恩恵」と類義語です。

また、「賜物」は「何かの結果として現れた良いものや成果」を表し、「何らかの行為や努力の結果として得られた」という「恩恵」には含まれない意味を持っています。

それぞれ違った使い方をすることができるので、場面に応じて適当に使い分けると良いでしょう。

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言葉の意味

「恩恵」の意味と使い方・例文・「利点」「利益」との違い・類義語は?現役記者がサクッとわかりやすく解説!

「恩恵」(読み方:「おんけい」)という言葉は、「恩恵を受ける」「恩恵を施す」などの形でよく用いられています。

特に使い方の難しい語ではありませんが、具体的にこの言葉はどのようなことを表しているのか、また近い意味のある「利点」「利益」という語とどのような違いがあるのか、疑問を覚えることもあるかもしれません。

そこで、ここでは「恩恵」の基本的な意味と使い方、また「利点」「利益」との違い、そして類義語である「祝福」「賜物」について、科学・技術系記事の執筆を中心に活躍する筆者が解説していきます。

「恩恵」の意味と使い方・例文・「利点」「利益」との違い

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それでは、始めに「恩恵」の意味と使い方、また「利点」「利益」との違いを説明していきます。

「恩恵」の意味は?

まず、「恩恵」には「恵み、慈しみ」「何か上位の者が人間に与える恵み」という意味があり、前者の意味では「ためになるものや幸福をもたらすもの」を表し、後者の意味ではキリスト教の神や自然を上位者として使われます。

また「恩恵」は、「恵み、慈しみ」を意味する「恩」と「恵み」「賢い、さとい」を意味する「恵」という似た意味を重ねて構成された熟語です。

「恩恵」の使い方は?

次に、「恩恵」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「増税による駆け込み需要の恩恵を被る」

「会社は社員に対してさまざまな恩恵を施している」

「母子家庭を支援する制度の恩恵に浴する」

「さんさんと降り注ぐ朝の日差しの中を散歩して日光の恩恵を受ける」

「人間は自然のめぐみを通して陽の光の恩恵を享受してきた」

「山の恩恵に感謝して、今日も山菜をいただく」

なお、「浴する」という語は「(良いことを)受ける、被る」ことを表します。

「恩恵」と「利点」「利益」の違いは?

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ここからは、似た意味を表す「利点」「利益」という語との違いについて見ていきましょう。

まず、「利点」には「利益のある点、有利な点」、「利益」は「儲け、ためになること」といった意味があります。

そして、これらの語と「恩恵」の使い方を比較したのが以下です。

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