「知見」(読み方:「ちけん」)という言葉は、「知見を広げる」「知見を得る」などの形でよく用いられています。

といっても、この言葉は日常的に頻用する語ではなく、具体的にどのような意味があるのか、また「経験」「知識」「見解」「知見」といった近い意味のある語とはどのような違いがあるのか疑問を抱くこともあるかもしれません。

そこで、ここでは「知見」の基本的な意味と使い方、また併せて類義語である「経験」「知識」「見解」「知見」という語について、科学・技術系記事の執筆を中心に活躍する筆者が解説していきます。

「知見」の意味と使い方・例文

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それでは、始めに「知見」の意味と使い方について説明していきます。

ちなみに、「知見」は「智見」と書くこともありますが、一般的には「智見」は使われず、現在「智見」は仏教用語として使われているそうです。

それは例えば、「事物に対する正しい認識や見解」を表す「正智見」、「あるがままに見、あるがままに知る」ことを表す「如実智見」などと使われているとのこと。

「知見」の意味は?

まず、「知見」には「見て知ること」「見聞(みき)きして得た知識」といった意味があり、主に「実際に何かを見て知識を得ること」「何かを見たり聞いたりして得た知識」を表す語となります。

「知見」にはこの意味のほか、「物事に対する見方や考え方」という意味も持っており、「~的知見」といった形で用いることができるでしょう。

「知見」の使い方は?

次に、「知見」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「国内外にこだわらず、あちこちを旅して知見を広める」

「過去の成功・失敗例から得た知見を蓄積する」

「その調査で得られた新しい知見を発表する」

「これまでの障害対応から得た知見を組織内で共有する」

「最新の研究成果で新しい知見が次々と発表されている」

「この方程式によってブラックホールに関する重要な知見が得られると考えている」

「この災害から得られた知見を反映して地域の防災力・減災力向上を図った」

「その報告書は科学的知見に基づいた電磁波の人体に対する影響が正確に記述されている」

このように、「知見」は「知見を~する」「~な知見」「~の知見」「~的知見」といった用法があります。

「知見」の 類義語は?

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それでは、次に「知見」の類義語・類語である「経験」「知識」「見識」「見解」について見ていきましょう。

まず、これらの語の意味は以下のようになります。

「経験」:何かを実際にやってみること。また、それによって得られた知識や技能。

「知識」:ある物事について知っていること。

「見識」:ある物事に対する確かな考えや意見。

「見解」:物事に対する見方や考え方、価値判断。

\次のページで「「経験」の使い方、「知見」との違い」を解説!/

また、「見識」と「見解」が「知見」の類義語であるのは、「~的知見」といった形で使われる「知見」の「物事に対する見方や考え方」という意味に対してのみです。

「経験」の使い方、「知見」との違い

それでは、次は「経験」の使い方や「知見」との違いについて見ていきましょう。

この語はたとえば以下のような使い方があります。

「幼少期にさまざまな病気を経験したことから、健康には人一倍気をつけている」

「自身の記憶や経験から、いろいろなことを教えている」

「その記録は日本プロ野球でのプレー経験者としては史上初のことであった」

「我が社にとって海外生産は全く未経験の分野であったために大変な苦労を強いられた」

「彼は前の会社でも経理業務に従事しており実務経験が豊富だった」

「経験豊富な彼に任せておけば、仕事はすんなりと完了するだろう」

このように、「経験」は「実際に自身が何かを行うこと、またそこから得られた知識・技能」というように「得られた技能」という意味も含む点で「知見」とはニュアンスが異なります。

また、「知見」という語は「経験」ほど頻繁に使われる語ではなく、文に堅い印象をあたえるので、用いる場面には注意が必要です。

「知識」の使い方、「知見」との違い

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それでは、次は「知識」の使い方や「知見」との違いについて見ていきましょう。

この語はたとえば以下のような使い方があります。

「彼は近代文学に関する深い知識がある」

「科学知識を身に付けたことで自然への見方が大きく変わった」

「彼は知識人を装っているが、その知識は表層的で話に内容がない」

「その講義は予備知識を前提としていたため、私には理解できなかった」

「この部署で働くには電気回路の専門知識が必要です」

「積極的に指図するだけの知識はなく、そのままに任せておくしかなかった」

\次のページで「「知見」と「経験」「知識」にはニュアンスの違いがある」を解説!/

このように、「知識」は「ある物事について知っていること、認識していること、理解していること」を表します。

しかし、「知識」はそれを得た元になるものが本やインターネットなども対象になりますが、「知見」は「実際に見て知識を得ること」を表しており、たとえば調査や研究、経験などによって得た知識を表すという点でニュアンスが異なると考えられるでしょう。

「知見」と「経験」「知識」にはニュアンスの違いがある

以上、「知見」の意味と使い方、また類義語である「経験」「知識」「見解」「知見」についてまとめました。

この言葉は、「見聞きすることや、見聞きして得た知識」、つまり「実際に何かを見て知識を得ることやそこから得た知識」を表し、「知見を~する」「~な知見」「~の知見」「~的知見」といった用法があります。

一般的に用いられる「知識」と比べると「実際に何かを見て得た」ものであるという点が異なり、その知識が実際に何かを見たり聞いたりしたものから得たものであるかそうでないかで使い分けることができるでしょう。

また「経験」は「実際に行ったことから得た知識や技能」を表し、知識だけでなく何らかの経験から身に付けた技能が含まれます。

そして、「見解」「知見」ですが、これらの語は「知見」のもう一つの意味である「物事に対する見方や考え方」にとって類義語であると言えるでしょう。

「知見」はこれらの語と違いが分かりづらく理解しにくいところもありますが、上記のようなことを意識しておくと使い分けがしやすいでしょう。

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言葉の意味

「知見」の意味と使い方・例文・類義語は?現役記者がサクッとわかりやすく解説!

「知見」(読み方:「ちけん」)という言葉は、「知見を広げる」「知見を得る」などの形でよく用いられています。

といっても、この言葉は日常的に頻用する語ではなく、具体的にどのような意味があるのか、また「経験」「知識」「見解」「知見」といった近い意味のある語とはどのような違いがあるのか疑問を抱くこともあるかもしれません。

そこで、ここでは「知見」の基本的な意味と使い方、また併せて類義語である「経験」「知識」「見解」「知見」という語について、科学・技術系記事の執筆を中心に活躍する筆者が解説していきます。

「知見」の意味と使い方・例文

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それでは、始めに「知見」の意味と使い方について説明していきます。

ちなみに、「知見」は「智見」と書くこともありますが、一般的には「智見」は使われず、現在「智見」は仏教用語として使われているそうです。

それは例えば、「事物に対する正しい認識や見解」を表す「正智見」、「あるがままに見、あるがままに知る」ことを表す「如実智見」などと使われているとのこと。

「知見」の意味は?

まず、「知見」には「見て知ること」「見聞(みき)きして得た知識」といった意味があり、主に「実際に何かを見て知識を得ること」「何かを見たり聞いたりして得た知識」を表す語となります。

「知見」にはこの意味のほか、「物事に対する見方や考え方」という意味も持っており、「~的知見」といった形で用いることができるでしょう。

「知見」の使い方は?

次に、「知見」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「国内外にこだわらず、あちこちを旅して知見を広める」

「過去の成功・失敗例から得た知見を蓄積する」

「その調査で得られた新しい知見を発表する」

「これまでの障害対応から得た知見を組織内で共有する」

「最新の研究成果で新しい知見が次々と発表されている」

「この方程式によってブラックホールに関する重要な知見が得られると考えている」

「この災害から得られた知見を反映して地域の防災力・減災力向上を図った」

「その報告書は科学的知見に基づいた電磁波の人体に対する影響が正確に記述されている」

このように、「知見」は「知見を~する」「~な知見」「~の知見」「~的知見」といった用法があります。

「知見」の 類義語は?

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それでは、次に「知見」の類義語・類語である「経験」「知識」「見識」「見解」について見ていきましょう。

まず、これらの語の意味は以下のようになります。

「経験」:何かを実際にやってみること。また、それによって得られた知識や技能。

「知識」:ある物事について知っていること。

「見識」:ある物事に対する確かな考えや意見。

「見解」:物事に対する見方や考え方、価値判断。

\次のページで「「経験」の使い方、「知見」との違い」を解説!/

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