「網羅」(読み方:「もうら」)という言葉は、「~を網羅する」「網羅して~する」といった形でよく用いられています。

では、この言葉には具体的にどのような意味があるのか、また、まれに意味を混同されることがある「把握」「含有」「包含」という語とはとのように違うのか、疑問に思うこともあるかも知れません。

そこで、この語の基本的な意味と使い方、また「把握」「含有」「包含」との違いについて、科学・技術系記事の執筆を中心に活躍する筆者が解説していきます。

「網羅」の意味と使い方・例文

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それでは、始めに「網羅」の意味と使い方を説明していきます。

「網羅」の意味は?

まず、「網羅」には「残らず集め収めること、余さず取り入れること」という意味があり、「ある事柄について考えられるすべてのものを集めること」を表します。

ちなみに、「網」という漢字は「魚をとる網」、「羅」という漢字は「鳥をとる羅(あみ)」に由来しており、「網羅」は獲物を余さず捕まえることができる2つの「あみ」という語を重ねることで構成されている熟語です。

「網羅」の使い方は?

次に、「網羅」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「この本はビジネスで使う敬語表現を網羅している」

「このリストは近代文学のあらゆる作品を網羅して掲載している」

「そのサイトは全国にある大学の偏差値を網羅している」

「この本では現在のルールに即した会計知識を網羅的に解説しています」

「カーナビゲーションは、現在位置から目的地までの経路を網羅的に探索して、最適経路を導き出す」

「マドリードの地下鉄は市内をほぼ網羅しており、市民、また観光客の足として活躍している」

「今回発売されたCDアルバムは、現在まで発表されたシングル収録曲を全て網羅している」

「最近の路線情報サイトでは、簡単に通勤経路を網羅して表示してくれる」

「日本の公共図書館におけるオンライン蔵書目録は一般誌の記事索引としてその網羅性が高い」

なお、「網羅的」は「広範囲にわたること」を表します。

「網羅」と混同しやすい語は?

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それでは、次は「網羅」とまれに混同される「把握」「含有」「包含」について見ていきましょう。

まず、これらの語は以下の意味を持っています。

「把握」:しっかりと理解すること

「含有」:成分などとしてその中に含んでいること

「包含」:包み含んでいること

\次のページで「「把握」の使い方は?」を解説!/

「把握」の使い方は?

それでは、次に「把握」の使い方を見ていきましょう。

この語は、たとえば以下のように用いることができます。

「このビルでは出入りする人を余さず把握するために指紋認証を採用している」

「文化祭の出来事すべてを把握出来ているわけではないため、校内新聞にはどうしても抜けが出てきてしまいます」

「人となりを適切に把握するためには、仕事上だけではなく、プライベートでの一面も知る必要があります」

「含有」の使い方は?

それでは、次に「含有」の使い方を見ていきましょう。

この語は、たとえば以下のように用いることができます。

「回収された隕石片の大部分には暗い灰色で明るい色の含有物が含まれていた」

「おおぐま座運動星団のすべての恒星は、含有する金属の構成もほぼ同じで、ほぼ同じ年齢と考えられている」

「マヨネーズは、食用油や酢、卵を主材料とした半固体状のドレッシングである」

「包含」の使い方は?

それでは、次に「包含」の使い方を見ていきましょう。

この語は、たとえば以下のように用いることができます。

「日本は第2次大戦時、多様な民族を包含する多民族国家だった」

「新北市は、台北市を囲む大都市圏を包含し、最も人口が多い都市だ」

「Unicodeは、世界の文字コードを単一の体系で包含している」

\次のページで「「網羅」と「把握」「含有」「包含」の違いは?」を解説!/

「網羅」と「把握」「含有」「包含」の違いは?

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次は、「把握」「含有」「包含」が「網羅」とどのように違うのか見ていきましょう。

これらの語と「網羅」の使い方を比較すると以下のようになります。

「把握」:「その規約に書かれている内容を把握する」(その規約に書かれた内容をしっかりと理解する)

「含有」:「この食品はカルシウムを多く含有している」(この食品の成分にはカルシウムが多く含まれている)

「包含」:「最近では東アジア全体を包含するようなFTAも検討され始めている」(最近では東アジア全体に含まれる国が参加するようなFTAも検討され始めている)

「網羅」:「その本は女性向けの資格を網羅して紹介している」(その本では女性向けのあらゆる資格が紹介されている)

つまり、「把握」は「何かを理解すること」、「含有」は「(あるものを成分などとして)その中に含むこと」、「包含」は「(何かの中全体において含んでいること」。そして、「網羅」は「(何かの分野などに関するものを)すべて集めること」を表すという違いがあります。

「網羅」は「余さず取り入れること」を意味し、「把握」「含有」「包含」とは明確に異なる

以上、「網羅」の意味と使い方、「把握」「含有」「包含」との違いについてまとめました。

「網羅」は「魚や鳥をとる網(羅)」という意味から「何かを残らず収めること、余さず取り入れること」を表す語となっていますが、それに対して、「把握」は「しっかりと理解すること」、「含有」は「その中に含んでいること」、「包含」は「(その中全体において含んでいること」を表します。

上記のように、これらは全く異なる意味を表しているため、たとえば「網羅的に把握する」「その成分を含有する製品を網羅する」といった形で用いることができ、それぞれ適した場面で使い分けることができるでしょう。

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言葉の意味

「網羅」の意味と使い方・例文・「把握」「含有」「包含」との違いは?現役記者がサクッとわかりやすく解説!

「網羅」(読み方:「もうら」)という言葉は、「~を網羅する」「網羅して~する」といった形でよく用いられています。

では、この言葉には具体的にどのような意味があるのか、また、まれに意味を混同されることがある「把握」「含有」「包含」という語とはとのように違うのか、疑問に思うこともあるかも知れません。

そこで、この語の基本的な意味と使い方、また「把握」「含有」「包含」との違いについて、科学・技術系記事の執筆を中心に活躍する筆者が解説していきます。

「網羅」の意味と使い方・例文

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それでは、始めに「網羅」の意味と使い方を説明していきます。

「網羅」の意味は?

まず、「網羅」には「残らず集め収めること、余さず取り入れること」という意味があり、「ある事柄について考えられるすべてのものを集めること」を表します。

ちなみに、「網」という漢字は「魚をとる網」、「羅」という漢字は「鳥をとる羅(あみ)」に由来しており、「網羅」は獲物を余さず捕まえることができる2つの「あみ」という語を重ねることで構成されている熟語です。

「網羅」の使い方は?

次に、「網羅」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「この本はビジネスで使う敬語表現を網羅している」

「このリストは近代文学のあらゆる作品を網羅して掲載している」

「そのサイトは全国にある大学の偏差値を網羅している」

「この本では現在のルールに即した会計知識を網羅的に解説しています」

「カーナビゲーションは、現在位置から目的地までの経路を網羅的に探索して、最適経路を導き出す」

「マドリードの地下鉄は市内をほぼ網羅しており、市民、また観光客の足として活躍している」

「今回発売されたCDアルバムは、現在まで発表されたシングル収録曲を全て網羅している」

「最近の路線情報サイトでは、簡単に通勤経路を網羅して表示してくれる」

「日本の公共図書館におけるオンライン蔵書目録は一般誌の記事索引としてその網羅性が高い」

なお、「網羅的」は「広範囲にわたること」を表します。

「網羅」と混同しやすい語は?

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それでは、次は「網羅」とまれに混同される「把握」「含有」「包含」について見ていきましょう。

まず、これらの語は以下の意味を持っています。

「把握」:しっかりと理解すること

「含有」:成分などとしてその中に含んでいること

「包含」:包み含んでいること

\次のページで「「把握」の使い方は?」を解説!/

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