「琴線」の意味と使い方・例文・英単語は?現役ライターがサクッとわかりやすく解説
「今夜の演奏会は、作曲家が作り出すエモーショナルな響きを味わえた」
「彼の言葉には、表現しがたい説得力があり、むしろエモーショナルな講義だった」
「登山というのは、実にエモーショナルな体験だ。日々見せてくれる景色が異なるからね」
似た構造の慣用句「逆鱗に触れる」
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次に、同じく一般的に使われる「逆鱗(げきりん)に触れる」という慣用句について見ていきましょう。「〜に触れる」と表現が似ていることから、誤用してしまった経験がある方もいるのではないでしょうか?
まず、「逆鱗」には「目上の人の怒り」という全く異なる意味がありります。「琴線」の使い方と比較しながら、意味の違いを確認していきましょう。
逆鱗
「彼の仕事に対する投げやりな態度は上司の逆鱗に触れた」(目上の人を激しく怒らせた)
琴線
「彼の表現力豊かな演奏は観客の心の琴線に触れた」(観客は彼の表現力豊かな演奏に感銘を受けた)
上記のように、「逆鱗」は「目上の人の怒り」、「琴線」は「物事に感動し共鳴する心情」という意味です。「~に触れる」という慣用句で用いる場合は、逆鱗は「目上の人の怒りを買う」。琴線は「感銘を受ける」となり、他者に与える感情の種類は真逆と言えないでしょうか。中には「琴線に触れる」を「怒りを買う」という意味で用いることがあるようですが、この使い方は誤用であり、この言葉の意味を間違えないように気をつけましょう。むしろ「(目上の人の)怒りを買う」という意味のことを述べるのであれば、前述の「逆鱗に触れる」の他にも、「勘気に触れる(勘気を受ける)」「不興を買う」や、最近の口語的表現であれば「地雷を踏んだ」などの表現でも効果的だと思います。
琴線の対義語候補
- 無感動(むかんどう):感動しないこと
- 無関心(むかんしん):興味がないこと、感じるものがないこと
- 飽きる(あきる):十分になってもうたくさんなこと
- 馬鹿馬鹿しい(ばかばかしい
心の奥底に自分でも気づかぬほどの鋭敏で豊かな琴線がある!
以上、「琴線」の意味と使い方についてまとめました。
この言葉は、「物事に感動して共鳴する感情」を表し、主に「琴線に触れる」という形で用います。近年多用されるカタカナ英語「エモーショナル」も類義語として押さえておきましょう。
中には「怒りを買う」という意味で誤用していらっしゃることもあるようですが、その際は「逆鱗に触れる」という表現が正しいでしょう。他にも、「不愉快にさせる」という意味では「癪に触る」といった表現を使うと適切で、区別して用いるように意識しておくと良さそうです。