言葉の意味

「琴線」の意味と使い方・例文・英単語は?現役ライターがサクッとわかりやすく解説

「琴線」(読み方:「きんせん」)という言葉は、主に「琴線に触れる」という形で用いられ、端的にいうと「感銘を強く受けた」ことを表現する時に、使われる慣用句です。
現在では、音楽・絵画・映画など芸術鑑賞した際、または読書の名作にであった時に、心の奥底にある《人間の感じ入りやすい心情》に触れ、心をとらえた時という感動を表現する言葉として使われるケースが多いのではないでしょうか。
映画・舞台・音楽そして現在は和菓子と、皆様の生活にゆとり・ときめき・発見・非日常などなどをお届けするべく長年働いてまいりましたライターあかりが、この魅力的な言葉の意味をみなさんにご紹介したいと思います。

「琴線」の意味とは?

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まず、「琴線」には以下のような意味があります。

1.琴の糸

2.心の奥にある感動し共鳴する心情

(2補足)心の奥深くにある、物事に感動・共鳴しやすい感情を琴の糸にたとえていった語。

出典:コトバンク(デジタル大辞林/発行所:小学館)

つまり、1は楽器としての琴の「弦」を表し、2は「自分を取り巻く物事に触れて心が動くこと」を例えて使われます。

ちなみに、2の意味で用いられる「琴線に触れる」という表現は、「感銘を受ける」という意味の慣用句となります。

楽器の琴は、弦に触れると音が鳴ることから、「物事に見聞きするなどして触れ、その縁で感動したり共鳴しやすい心情」を「琴の糸(=琴線)が触れて鳴るさま」に喩えた表現でしょう。また、琴は「弦に触れるだけで人々を感動させるような美しい音色を発する」ことから「心の奥深くにある物事に感動し共鳴しやすい感情=感動屋さん」の喩えとして使われることもあります。

「琴線」の使い方・例文

次に、「琴線」の使い方を例文を使って見ていきます。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができるでしょう。

 

 

「その映画は幅広い層の観客の心の琴線に触れる良作だ」

「生演奏というのは演奏技術を観客に届けるばかりでなく、観客の心の琴線に共鳴を起こさせるものであるべきだ」

「強くピンと琴線を張る」

「著者自身の半生を書き記したその本は、読者の心の琴線に触れた」

「琴線(に触れる)」の語源(成り立ち)

「琴線」を心の奥底のにある感銘を受ける部分を表す言葉として使ったのは、中国周代の伯牙(はくが)という琴の名手とその友人鍾子期(しょうしき)について残される故事での中で初めて使われたものとされています。(『列子』「湯問第五」「君が琴を聴く耳は私の心の中とそっくりだ」による。)

後に、岡倉天心の『茶の本』における「芸術鑑賞」の章で、前述の伯牙が弾ずる霊妙な琴の物語を載せています。その中で天心は「我が心琴の神秘の絃はめざめ、我々はこれに呼応して振動し、肉を躍らせ血を湧かす。心は心と語る」(村岡博訳)と言っており、英語約としては、「At the magic touch of the beautiful the secret chords』が、すなわち「心の琴線にふれる」という意味で表現されています。

エモーショナル(emotional)

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近年、多く登場するカタカナ英語。特に、自己啓発やメンタルヘルスなどの分野、もちろんビジネスなどでも多く登場し語彙力は増えるばかりではないでしょうか。

今回のテーマ「琴線に触れる」にぴったりの英単語が「エモーショナル」だと私は思います。エモーショナルは、心や感情の動き、状態を言い表す語句です。さまざまな感情が存在する中で特に感動・情緒を表現するものがエモーショナルとなります。感動や心に触れた事象、影響を受ける自身について述べる時に使うことが可能です。

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