「圧巻」(読み方:「あっかん」)という言葉は、「~が圧巻だ」などの形でよく使われています。

優れたものやある作品の優れた部分についていう場合に使われている語ですが、具体的にどのような時に使うことができるのか、また混同した使い方をされることがある「壮観」「圧倒」という語とはどのような違いがあるのか、中には疑問を抱くこともあるかもしれません。そんな「圧巻」という言葉について、大手企業での勤務後ライターとして数々の記事を編集・構成・執筆を手がけている筆者が説明していきます。

日常使う機会もある「圧巻」という言葉について、適切な使い方ができるようにその意味を理解していきましょう。また、実際の使い方のヒントとなる例文についてもご紹介します。よく似た漢字や意味を持つ「圧倒」や「壮観」という言葉は、似ているものの意味や使い方は異なってきます。これらの言葉を混同して使わないためにも、それらの意味についてチェックしてみましょう。

その他、「圧巻」「圧倒」「壮観」という言葉の使い方のヒントとして、それぞれの例文を比較しながら解説していきます。これらの情報をチェックして、適切なシチュエーションで正しく言葉を使えるようにしましょう。

「圧巻」の意味と使い方・例文・「圧倒」「壮観」との違い

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抜きん出た才能が発揮された時、芸術などで目立つほど優れた部分を体験したときにも使える「圧巻」という言葉ですが、日常で使用することもある言葉ですね。なんとなく意味をは理解しているものの、意味が近い「圧倒」や「壮観」との違いについて曖昧な人もいるのではないでしょうか。「圧巻」という言葉についての意味や使い方・例文をご紹介します。また、「圧倒」と「壮観」の意味と、それらを比較した例文をチェックしてより理解を深めていきましょう。文章内の「ポイント」も確認してみてくださいね。

「圧巻」の意味と由来

「圧巻の演奏」「圧巻の技術」など、名詞の前に置いて使う「圧巻」ですが、言葉の由来は古代中国にさかのぼります。「圧巻」の「巻」は答案の用紙のことを指し、また「圧」という漢字は用紙の上において圧力を掛けるという意味でした。これは、試験答案の用紙を保管する時に、もっとも優れた答案を一番上に置くという出来事が、言葉の由来に起因しています。

主に書物の内容に関して抜きん出た部分を指す言葉でありましたが、現在日本で使われている「圧巻」という言葉は、さらに幅広い意味に使われることが多いですね。「圧巻」を正しく使用するために、まずはその意味を辞書の定義からチェックしてみましょう。

書物・劇・楽曲などの中で、最も優れている部分。また、勢ぞろいしたものの中で最も優れているもの。出色(しゅっしょく)。

出典:明鏡国語辞典(発行所 株式会社大修館書店)「圧巻」

つまり、「本や劇などの中で他と比べて秀でている部分」「揃っている多くのものの中で一番優れているもの」を表す語となっています。

「圧巻」の使い方・例文

パワフルなイメージが強い「圧巻」という言葉の使い方のヒントとなる例文についてご紹介していきます。言葉の由来からも、ひとつのカテゴリの中で最も優れたものを指す言葉として認識しておけば、実際に使う際もイメージが先行して使いやすくなるのではないでしょうか。例文をチェックして、正しく使うヒントにしてみてくださいね。

「今日の映画は予想外の結末に驚かされた。ラストの思いも寄らないどんでん返しはまさに物語の圧巻だ」

「この本は最後まで読まないと面白さが分からない。終盤でそれまでに散りばめられた伏線がつながって一気に事件が解決していく展開はストーリーの圧巻だ」

「見せ場となるカーチェイスで、猛スピードで逃げる犯人を主人公がすごいパワーと執念で追い詰めていく場面はその映画の圧巻だった」

「今日のイベントにはいろんなアーティストが登場したが、中でも歌唱力のある彼の歌が圧巻だった」

上記のように、「圧巻」は本などの中で一番優れた部分や傑出した作品などについていう時に「~は~の圧巻だ」などのように使われています。「圧巻の景色」「圧巻の迫力」のような言い方をされることもありますが、この場合は本来の使い方とは異なるのがお分かりいただけるでしょう。

\次のページで「「圧倒」「壮観」との違い」を解説!/

「圧倒」「壮観」との違い

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「圧巻」という言葉によく似た意味を持つ言葉に「圧倒」や「壮観」という言葉があります。どちらも日常生活で聞いたり使ったりする言葉ではありますが、頻度としてはそれほど多くはありません。だからこそ、ニュアンスが違ってくるこれらの言葉を理解しておきたいですね。また、「圧巻」「圧倒」「壮観」はそれぞれ似たようなイメージがありますが、意味としては異なるので、使い方ももちろん異なってきます。これらの言葉についての意味と使い方・例文を確認しておきましょう。

「圧倒」「壮観」の意味

「圧倒」という言葉は、「圧巻」という言葉に比べて攻撃的なイメージや、押さえつけるようなイメージがありますね。使用されている漢字もそうですが、力や権力で押さえつけるようなイメージもあります。一方、「壮観」は優れたものに対して使われる言葉ではありますが、風景や情景のようなものに使われるイメージがありますね。実際にこの両者の意味はどの様になっているのでしょうか。辞書の定義を元に確認していきましょう。

かけはなれてすぐれた力や威力で他を押し負かすこと。
《多く「-される」の形で》優れた力や威力を見せつけられて、驚きや感動を覚える。

出典:明鏡国語辞典(発行所 株式会社大修館書店)「圧倒」

 

規模が大きくてすばらしいこと。また、その眺め。

出典:明鏡国語辞典(発行所 株式会社大修館書店)「壮観」

「圧倒」「壮観」「圧巻」を例文で比較

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言葉の意味が似て異なる「圧倒」「壮観」「圧巻」を例文で比較してみましょう。使われている漢字や意味も似通っているこれらの言葉ですが、例文に当てはめて見てみれば、その使い方やニュアンスの違いをチェックすることができます。これらの言葉の意味やニュアンスを掴んで、日常生活で適切に使えるようにしておきたいですね。

「圧倒」:「彼のプレゼン資料は構成や配色、配置に至るまで他の候補者を圧倒していた」(≒「彼のプレゼン資料は構成や配色、配置に至るまで他の候補者よりもはるかに勝っている」)、「彼の堂々としていて説得力のあるプレゼンに圧倒される」(≒「彼の堂々としていて説得力のあるプレゼンに驚きを覚える」)


「壮観」:「その高台から見下ろす景色は壮観だ」(≒「その高台から見下ろす景色は規模が大きく素晴らしい眺めだ」)


「圧巻」:「今日のコンサートは素晴らしかった。特にクライマックスに向けて壮大に盛り上がっていくところは今日の演奏の圧巻だ」(今日のコンサートは素晴らしかった。特にクライマックスに向けて壮大に盛り上がっていくところは今日の演奏の中でもひときわ優れていた)

つまり、

「圧倒」「段違いの力で他よりも優位に立つこと」「抜きん出た力を見せつけられて驚くこと」(優れた力で他を打ち負かす、威圧感を与えることいったニュアンスがある)、

「壮観」「素晴らしい眺め」(景色についていう時に使う)、

「圧巻」は主に「作品や催しなどの中で最も優れた部分」(本や催し物などの中の秀でた部分、多くのものがある中で最も優れたものについていう)

を表すという違いがあります。

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「圧倒」「壮観」「圧巻」を上手に使い分けよう!

「圧倒」「壮観」「圧巻」の意味や使い方、例文などをご紹介しました。それぞれ意味やニュアンスに違いのある言葉なので、仕事や日常生活で使う際には正しい意味を理解しておきたいところですね。

「圧巻」という言葉は、ある特定の本や作品など、ひとつの物の中で優れているところ、傑出しているところを説明する言葉になります。また、使い方として「圧巻だ」「圧巻の~」というような使い方が適切と言えるでしょう。言葉の由来となるストーリーをヒントに覚えておけば、この言葉を使用する時に適切な使い方ができるのではないでしょうか。

また、「圧倒」という言葉は、もっと大きな範囲で優れているという使い方になり、他のまわりのものを力で押し負かすような時に使います。「圧倒する」「圧倒的な」という使い方が可能となっており、状況の説明に便利です。その他、「圧巻だ」という使い方もできるので、適切な使い方を知っておきましょう。

その他、「壮観」は規模の大きさや景色、情景などに対して使える言葉です。つまり、素晴らしい景色などを称賛するときなどに使用できます。

これらの言葉をうまく使い分けて、適切なシチュエーションで正しく使えるようにしましょう。

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言葉の意味

「圧巻」の意味と使い方・例文・「圧倒」「壮観」との違いは?現役ライターがサクッとわかりやすく解説!

「圧巻」(読み方:「あっかん」)という言葉は、「~が圧巻だ」などの形でよく使われています。

優れたものやある作品の優れた部分についていう場合に使われている語ですが、具体的にどのような時に使うことができるのか、また混同した使い方をされることがある「壮観」「圧倒」という語とはどのような違いがあるのか、中には疑問を抱くこともあるかもしれません。そんな「圧巻」という言葉について、大手企業での勤務後ライターとして数々の記事を編集・構成・執筆を手がけている筆者が説明していきます。

日常使う機会もある「圧巻」という言葉について、適切な使い方ができるようにその意味を理解していきましょう。また、実際の使い方のヒントとなる例文についてもご紹介します。よく似た漢字や意味を持つ「圧倒」や「壮観」という言葉は、似ているものの意味や使い方は異なってきます。これらの言葉を混同して使わないためにも、それらの意味についてチェックしてみましょう。

その他、「圧巻」「圧倒」「壮観」という言葉の使い方のヒントとして、それぞれの例文を比較しながら解説していきます。これらの情報をチェックして、適切なシチュエーションで正しく言葉を使えるようにしましょう。

「圧巻」の意味と使い方・例文・「圧倒」「壮観」との違い

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抜きん出た才能が発揮された時、芸術などで目立つほど優れた部分を体験したときにも使える「圧巻」という言葉ですが、日常で使用することもある言葉ですね。なんとなく意味をは理解しているものの、意味が近い「圧倒」や「壮観」との違いについて曖昧な人もいるのではないでしょうか。「圧巻」という言葉についての意味や使い方・例文をご紹介します。また、「圧倒」と「壮観」の意味と、それらを比較した例文をチェックしてより理解を深めていきましょう。文章内の「ポイント」も確認してみてくださいね。

「圧巻」の意味と由来

「圧巻の演奏」「圧巻の技術」など、名詞の前に置いて使う「圧巻」ですが、言葉の由来は古代中国にさかのぼります。「圧巻」の「巻」は答案の用紙のことを指し、また「圧」という漢字は用紙の上において圧力を掛けるという意味でした。これは、試験答案の用紙を保管する時に、もっとも優れた答案を一番上に置くという出来事が、言葉の由来に起因しています。

主に書物の内容に関して抜きん出た部分を指す言葉でありましたが、現在日本で使われている「圧巻」という言葉は、さらに幅広い意味に使われることが多いですね。「圧巻」を正しく使用するために、まずはその意味を辞書の定義からチェックしてみましょう。

書物・劇・楽曲などの中で、最も優れている部分。また、勢ぞろいしたものの中で最も優れているもの。出色(しゅっしょく)。

出典:明鏡国語辞典(発行所 株式会社大修館書店)「圧巻」

つまり、「本や劇などの中で他と比べて秀でている部分」「揃っている多くのものの中で一番優れているもの」を表す語となっています。

「圧巻」の使い方・例文

パワフルなイメージが強い「圧巻」という言葉の使い方のヒントとなる例文についてご紹介していきます。言葉の由来からも、ひとつのカテゴリの中で最も優れたものを指す言葉として認識しておけば、実際に使う際もイメージが先行して使いやすくなるのではないでしょうか。例文をチェックして、正しく使うヒントにしてみてくださいね。

「今日の映画は予想外の結末に驚かされた。ラストの思いも寄らないどんでん返しはまさに物語の圧巻だ」

「この本は最後まで読まないと面白さが分からない。終盤でそれまでに散りばめられた伏線がつながって一気に事件が解決していく展開はストーリーの圧巻だ」

「見せ場となるカーチェイスで、猛スピードで逃げる犯人を主人公がすごいパワーと執念で追い詰めていく場面はその映画の圧巻だった」

「今日のイベントにはいろんなアーティストが登場したが、中でも歌唱力のある彼の歌が圧巻だった」

上記のように、「圧巻」は本などの中で一番優れた部分や傑出した作品などについていう時に「~は~の圧巻だ」などのように使われています。「圧巻の景色」「圧巻の迫力」のような言い方をされることもありますが、この場合は本来の使い方とは異なるのがお分かりいただけるでしょう。

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