
「ひいては」の意味と由来・使い方・例文・「急いて」「強いて」との違いは?現役記者がサクッとわかりやすく解説!
ただし、この言葉は「急いて」「強いて」といった類似した語と混同した使い方をされたり、意味が区別されにくかったりする場合があるようです。
そこで、ここでは「ひいては」の意味と由来、使い方と併せて、「急いて」「強いて」と比較しながらそれぞれの違いについて、科学・技術系記事の執筆を中心に活躍する筆者が解説していきます。
「ひいては」の意味は?
まず、「ひいて」には「それが原因になって、さらには」といった意味があり、何かの物事が元になって別の事柄が続くことを表します。
そして、「ひいては」は「ひいて」を強めた言い方です。
「ひいては」の由来は?
次に、「ひいては」の由来について見ていきましょう。
「ひいて」は「ひく」に前後の文節をつなぐ接続助詞「て」が付いた「ひきて」に由来し、この音が変化して「ひいて」と言うようになったとのこと。
そして、「延いては」の「延」は「のびる・ひろがる」や「招く」を意味することから、前後を繋げる役割をしながら「広がる・招く」を意味する言葉として「延いては」が成り立ったと考えられます。
ちなみに、「文節」は「日本語の文を実際の言葉として不自然にならない程度に区切ったときの最小単位」で、たとえば「鳥が大空を羽ばたく」という文は「鳥が」「大空を」「羽ばたく」という3つの文節から成り立っています。
「ひいては」の使い方は?
次に、「ひいては」の使い方を例文を使って見ていきましょう。
この言葉は、たとえば以下のように使用することができます。
「幼少期の体験というのは子どもの人格形成、ひいては人生全体に影響を及ぼすものだ」
「健康管理をしっかり行うことは自分のため、ひいては家族のためでもある」
「受験前のこの時期をどう過ごすかで試験の結果、ひいては高校・大学受験にも影響が及ぶことになる」
「今回の商品の開発は、我が社の発展、ひいては業界全体の活性化につながるだろう」
「黒部ダム建設事業は同電力会社の一世一代の大規模プロジェクトであり、近畿地方への電力供給、ひいては経済活動の命運が懸かっていた」
「人間は二足歩行により体躯に比して極めて大型の頭部を支える事が可能になった。 ひいては、他の動物に比べてより大型の脳を持つ事を可能にしたのである」
「その理論モデルは化学者や物理学者、ひいては数学者の研究の対象ともなった」
「ツルが生きるためには多くの餌、ひいては豊かな生態系が必要であった」
「印刷物を減らすことは手間や経費の削減、ひいては環境保護にも役立つことになる」
このように「ひいては」は、前の語・文節・句・節・文を受けて、事柄の範囲がさらに広がることを述べる場合に、接続詞的に副詞として用いることができます。
\次のページで「「ひいては」と混同しやすい語は?」を解説!/