「追憶」(読み方:「ついおく」)という言葉は、「追憶に浸る」「追憶する」などの形で用いられます。

日常的にはあまり使われず、主に小説などで用いられる言葉ではありますが、具体的にはどのようなことを表すのか、また似た意味のある語には何があるのか疑問に思うこともあるかも知れません。

そこで、ここでは、「追憶」の基本的な意味と使い方、また類義語について、科学・技術系記事の執筆を中心に活躍する筆者が解説していきます。

「追憶」の意味と使い方・例文

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それでは、始めに「追憶」の意味と使い方を説明していきます。

「追憶」の意味は?

まず、「追憶」には「遡って過ぎ去った日のことを思いしのぶこと」といった意味があり、「過去を思い出して懐かしく思うこと」を表す語となります。

「追憶」の使い方は?

次に、「追憶」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「追憶の中の故郷の街は人が生き生きとして活気に満ちていた」

「追憶の糸を手繰り幼少期に思いを馳せる」

「夫は早くに亡くなりましたが、彼は今なお追憶の中に生きています」

「中学時代を追憶するときには、私に文学を教えたこの兄弟のことを抜きにすることは出来ない」

「中年の人はこの曲を聞くと、さまざまな追憶が湧き上がってくるかと思います」

「幼い日にすでに通過してしまった追憶の中の母の優しさを思った」

「自分には過去の追憶に浸るというような贅沢なゆとりはなかった」

「現実の故郷は私の追憶のなかにしか存在しなかった」

「追憶」の類義語は?

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ここからは、「追憶」の類義語・類語である「追懐(ついかい)」「追想(ついそう)」「回想(かいそう)」「回顧(かいこ)」について見ていきましょう。

まず、これらの語には以下の意味があります。

「追懐」:昔の事や人などを後から思い出して懐かしむこと

「追想」:過去の出来事や去った人たちを思い偲ぶこと

「回想」:過去のこと、過去に経験したことを思い返すこと

「回顧」:過去のことを思い返すこと、過去を顧みること。

「追懐」の使い方は?

それでは、次に「追懐」の使い方について見ていきましょう。

この語は、たとえば以下のように用いることができます。

「生涯を旅に暮した芭蕉も、故郷のことを考え、懐かしく追懐していたという」

「彼女は失った友人の写真を見るたびに追懐の涙を流した」

「静かに往時を追懐してみると、あの事この事と、いろいろ過去の事件が思い出された」

\次のページで「「追想」の使い方は?」を解説!/

「追想」の使い方は?

それでは、次に「追想」の使い方について見ていきましょう。

この語は、たとえば以下のように用いることができます。

「私の追想にはいつも裏山の神社の境内が現れる」

「彼は晩年を過ぎ去った日の追想の中で過ごしたのだった」

「家のリビングにいると、妻との最近までの幸せだった日を追想してしまう」

「回想」の使い方は?

それでは、次に「回想」の使い方について見ていきましょう。

この語は、たとえば以下のように用いることができます。

「私はこの映画の子供時代の回想シーンに出演している」

「今から回想してみると学生時代が幸せだったことがわかる」

「この記録はノルマンディの上陸作戦に参加したある兵士が当時を回想して記したものだという」

「回顧」の使い方は?

それでは、次に「回顧」の使い方について見ていきましょう。

この語は、たとえば以下のように用いることができます。

「私は担当者から、自分の半生の生活を回顧した自伝を書くことを要求されている」

「今その時の私を回顧しても、何故自分がそんなことをしたのか一向分からなかった」

「マルクスの議論を理解するためには、ルソーの議論を回顧してみる必要がある」

\次のページで「「追憶」「追懐」「追想」「回想」「回顧」の違いは?」を解説!/

「追憶」「追懐」「追想」「回想」「回顧」の違いは?

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それでは、次は「追憶」「追懐」「追想」「回想」「回顧」の意味の違いについて見ていきましょう。

これらの語の使い方を比較すると以下のようになります。

「追憶」:「初恋の人と過ごした若かりし日を追憶する」
(初恋の人と過ごした若かりし日のことを懐かしく思い出す)

「追懐」:「旧友の訃報に接し、往時を追懐する」
(旧友が亡くなったという知らせを受け、昔を思い返して懐かしむ)

「追想」:「来る日も来る日も読書に明け暮れていた若き日を追想する」
(毎日読書に没頭していた若い日を懐かしく思い出す)

「回想」:「旧時の回想に耽る(ふける)」
(昔のことを思い返すことに没頭する)

「回顧」:「まだ無邪気だった幼いころを回顧する」
(無邪気だった幼いころのことを思い起こして考える)

このように、これらの語は共通に「過去のことを思い出す、もしくは思い返す」という意味が含まれますが、「追憶」「追懐」「追想」には「懐かしく思い出す、思い出して懐かしむ」というニュアンスがあるに対して、「回想」「回顧」は「過去の経験や過去のことを改めて考える」という意味で用いる言葉です。

また、「回顧」は客観的に過去の事柄を振り返るときにも使うことがあります。

「追憶」「追懐」「追想」には「回想」「回顧」にない「懐かしく思う」というニュアンスがある

以上、「追憶」の意味と使い方、類義語についてまとめました。

この言葉は何かを「過去を思い偲ぶこと」を表し、たとえば「思い出に耽る」という言い方と比べると「過去を懐かしむ」というニュアンスを含む表現になります。

また、他にも「追懐」「追想」「回想」「回顧」など、近い意味を持っている語がありますが、「追懐」「追想」は「追憶」と同じく「懐かしむ」というニュアンスがありますので、表したい内容に応じてそれらを適当に使い分けると良いでしょう。

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言葉の意味

「追憶」の意味と使い方・例文・類似語は?現役記者がサクッとわかりやすく解説!

「追憶」(読み方:「ついおく」)という言葉は、「追憶に浸る」「追憶する」などの形で用いられます。

日常的にはあまり使われず、主に小説などで用いられる言葉ではありますが、具体的にはどのようなことを表すのか、また似た意味のある語には何があるのか疑問に思うこともあるかも知れません。

そこで、ここでは、「追憶」の基本的な意味と使い方、また類義語について、科学・技術系記事の執筆を中心に活躍する筆者が解説していきます。

「追憶」の意味と使い方・例文

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それでは、始めに「追憶」の意味と使い方を説明していきます。

「追憶」の意味は?

まず、「追憶」には「遡って過ぎ去った日のことを思いしのぶこと」といった意味があり、「過去を思い出して懐かしく思うこと」を表す語となります。

「追憶」の使い方は?

次に、「追憶」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「追憶の中の故郷の街は人が生き生きとして活気に満ちていた」

「追憶の糸を手繰り幼少期に思いを馳せる」

「夫は早くに亡くなりましたが、彼は今なお追憶の中に生きています」

「中学時代を追憶するときには、私に文学を教えたこの兄弟のことを抜きにすることは出来ない」

「中年の人はこの曲を聞くと、さまざまな追憶が湧き上がってくるかと思います」

「幼い日にすでに通過してしまった追憶の中の母の優しさを思った」

「自分には過去の追憶に浸るというような贅沢なゆとりはなかった」

「現実の故郷は私の追憶のなかにしか存在しなかった」

「追憶」の類義語は?

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ここからは、「追憶」の類義語・類語である「追懐(ついかい)」「追想(ついそう)」「回想(かいそう)」「回顧(かいこ)」について見ていきましょう。

まず、これらの語には以下の意味があります。

「追懐」:昔の事や人などを後から思い出して懐かしむこと

「追想」:過去の出来事や去った人たちを思い偲ぶこと

「回想」:過去のこと、過去に経験したことを思い返すこと

「回顧」:過去のことを思い返すこと、過去を顧みること。

「追懐」の使い方は?

それでは、次に「追懐」の使い方について見ていきましょう。

この語は、たとえば以下のように用いることができます。

「生涯を旅に暮した芭蕉も、故郷のことを考え、懐かしく追懐していたという」

「彼女は失った友人の写真を見るたびに追懐の涙を流した」

「静かに往時を追懐してみると、あの事この事と、いろいろ過去の事件が思い出された」

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