「感銘」は、「(本や作品、誰かの言葉などに)感銘を受ける」「感銘を覚える」などの形でよく用いられる言葉です。

とはいえ、同じような使い方をする「共感」という語とはどのような違いがあるのか、またどのような類義語があるのか、そしてどのような使い分けをすることができるのか疑問に思うこともあるかもしれません。

そこで、ここではこの言葉の基本的な意味と使い方、また「共感」という語との違いや類義語について、科学・技術系記事の執筆を中心に活躍する筆者が解説していきます。

「感銘」の意味と使い方・例文・「共感」との違い

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それでは、始めに「感銘」の意味と使い方、また「共感」との違いを説明していきます。

「感銘」の意味は?

まず、「感銘」には「しっかりと心に刻み込んで忘れないこと、忘れられないほど深く感動すること」という意味があり、何かに「深く感じて忘れないこと」を表す語となっています。

また「感銘」は、「感じる・心動く・心に響く」を意味する「感」と「記す・刻む」を意味する「銘」から「感動を心に刻む」というような意味となっている熟語です。

なお、「感銘」は「肝銘」とも書くことができます。

「感銘」の使い方は?

次に、この言葉の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「この頃何かに感銘を受けることが少なくなった」

「子供時代に感銘を受けた本を改めて読み返す」

「壮絶な経験の上に何かを成し遂げた人の言葉には感銘を覚えるところが大きい」

「話題作といわれているが、その本からは何の感銘も受けなかった」

「その本は多くの読者に感銘を与えた」

「彼のさり気なくも芯のある生き方に感銘を覚えた」

「私は老子と荘子による道家の書物から、自然と人生に関する哲学に深い感銘を覚えました」

「ゴーギャンの伝記を読んで感銘を受け、その後の彼の作風にはゴーギャンの影響がみられるようになった」

「その俳句に彼は非常に感銘を受け、その後連絡を取り合うようになったそうです」

「トルストイから受けた感銘を彼にもわからせることができるでしょうか」

「感銘」と「共感」の違いは?

次に、似た使い方をする「共感」という語との違いについて見ていきましょう。

「共感」には「他人の感情や意見などを、全くその通りだと感じたり理解したりすること」という意味があり、「感銘」と使い方を比較すると以下のようになります。

「共感」:「地域社会の発展に貢献したいという企業理念に共感を覚える」
(その企業理念について全くその通りであると感じている)

「感銘」:「その本に書いてあった著者の言葉に感銘を受ける」
(著者の言葉に忘れられないほど深く心を動かされる)

\次のページで「「感銘」の類義語は?」を解説!/

つまり、「共感」は「何かの考えや言葉などに自分も同じように感じること」、「感銘」は「心を動かされたことを心に留めて忘れないこと」というニュアンスの違いがあります。

「感銘」の類義語は?

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それでは、次は「感銘」の類義語・類語である「感動」「感心」について見ていきましょう。

まず、これらの語は以下のような意味があります。

「感動」:物事に強く心を動かされること。人の心を動かすこと。

「感心」:立派な行為や優れた技量などに心を動かされること

「感動」の使い方は?「感銘」との違いは?

それでは、次に「感動」の使い方、また「感銘」との違いについて見ていきましょう。

「感動」は例えば、以下のように用いることができます。

「この映画のラストシーンには深い感動を覚えた」

「絶景スポットの景色に感動する」

「不思議なことに、自らが書いたものでも心を込めて書いたものは自分を感動させることができるようだった」

「自己犠牲の精神はいつの世でも聴衆の感動を呼ぶ」

「彼女は彼の話す簡単な説明を無感動に聞いていた」

「社内研修ではいかにお客様を感動させるかという、レジャー・テーマパーク業界の実際的な手法を学んだ」

「第一志望の会社の面接では、大学での選手権の内容を話し、面接官の感動をさそった」

「感動」も「感銘」も共通に「強く心を動かされること」を意味しますが、「感銘」は「(感動ゆえに)心に刻まれること」「忘れないほど(感動すること)」を含意する点で「感動」とはニュアンスが異なります。

「感心」の使い方は?「感銘」との違いは?

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それでは、次に「感心」の使い方、また「感銘」との違いについて見ていきましょう。

「感心」は、例えば以下のように用いることができます。

\次のページで「「感銘」は「感動」を「心に刻むこと」を表わす」を解説!/

「感心のあまり、賞めてやりたいものだという気になった」

「この芝居で一番感心したのは船上での殺陣のシーンである」

「若かりし頃の自分の馬鹿さ加減に感心するばかりだ」

「取引先の新年会に参加してしまう彼のずうずうしさには感心するよ」

「彼は、朝早く新聞配達をして学費を稼ぐ感心な青年だ」

「好事癖の人が昔の関ヶ原合戦の地の理を実地に調べるのは、研究とすれば感心なことだしお道楽としても悪いこととは言えない」

「人気の仕事はサイト運営だそうだが、個人で事業化するのは難しく、今の仕事を辞めて始めようとするのは感心しない」

「今日のこの業界の市場は飽和状態であるのに、新たな経営手法によってビジネスを成功させた彼には感心するばかりです」

また「感心」は上記に挙げた「馬鹿さ加減に感心する」「ずうずうしさに感心する」のように、否定的な言説に続いて用い「(逆説的に)呆れること。驚くこと」を表すことがあります。

さらに「感心」は、「感心な青年」のように形容動詞として用いて「(行動や態度が)立派で褒められるべきさま」を表すことも。

一方「感心」を「感動」「感銘」と比べると、「心に感じ入る」というよりはむしろ情に訴えられたり、知や技に触れて立派だとか素晴らしいとか判断したりして心が動かされることを表します。

「感銘」は「感動」を「心に刻むこと」を表わす

以上、「感銘」の意味と使い方、「共感」との違い、類義語についてまとめました。

この言葉は「何かを深く感じて忘れないこと」を表し、単に「強く心を動かされる」ことを表す「感動」よりも、「印象深く心に留まる」ようなことを述べる場合に用いることができるでしょう。

また、「感心」は「心に感じ入る」というよりは、情・知・技に触れて素晴らしいなどと判断して心が動かされることを表すことから、「感動」「感銘」とはニュアンスが異なります。

一方、「共感」は「(誰かの言葉などに)全くその通りであると感じること」を表すことから、「感銘」とは明確に意味が異なることが理解できるでしょう。

これらの語を使うことで、それぞれ異なる感情を示すことができるため、対象となる物事にどのように感じたかによって適当に使い分けることができます。

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言葉の意味

「感銘」の意味と使い方・例文・「共感」との違い・類義語は?現役記者がサクッとわかりやすく解説!

「感銘」は、「(本や作品、誰かの言葉などに)感銘を受ける」「感銘を覚える」などの形でよく用いられる言葉です。

とはいえ、同じような使い方をする「共感」という語とはどのような違いがあるのか、またどのような類義語があるのか、そしてどのような使い分けをすることができるのか疑問に思うこともあるかもしれません。

そこで、ここではこの言葉の基本的な意味と使い方、また「共感」という語との違いや類義語について、科学・技術系記事の執筆を中心に活躍する筆者が解説していきます。

「感銘」の意味と使い方・例文・「共感」との違い

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それでは、始めに「感銘」の意味と使い方、また「共感」との違いを説明していきます。

「感銘」の意味は?

まず、「感銘」には「しっかりと心に刻み込んで忘れないこと、忘れられないほど深く感動すること」という意味があり、何かに「深く感じて忘れないこと」を表す語となっています。

また「感銘」は、「感じる・心動く・心に響く」を意味する「感」と「記す・刻む」を意味する「銘」から「感動を心に刻む」というような意味となっている熟語です。

なお、「感銘」は「肝銘」とも書くことができます。

「感銘」の使い方は?

次に、この言葉の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「この頃何かに感銘を受けることが少なくなった」

「子供時代に感銘を受けた本を改めて読み返す」

「壮絶な経験の上に何かを成し遂げた人の言葉には感銘を覚えるところが大きい」

「話題作といわれているが、その本からは何の感銘も受けなかった」

「その本は多くの読者に感銘を与えた」

「彼のさり気なくも芯のある生き方に感銘を覚えた」

「私は老子と荘子による道家の書物から、自然と人生に関する哲学に深い感銘を覚えました」

「ゴーギャンの伝記を読んで感銘を受け、その後の彼の作風にはゴーギャンの影響がみられるようになった」

「その俳句に彼は非常に感銘を受け、その後連絡を取り合うようになったそうです」

「トルストイから受けた感銘を彼にもわからせることができるでしょうか」

「感銘」と「共感」の違いは?

次に、似た使い方をする「共感」という語との違いについて見ていきましょう。

「共感」には「他人の感情や意見などを、全くその通りだと感じたり理解したりすること」という意味があり、「感銘」と使い方を比較すると以下のようになります。

「共感」:「地域社会の発展に貢献したいという企業理念に共感を覚える」
(その企業理念について全くその通りであると感じている)

「感銘」:「その本に書いてあった著者の言葉に感銘を受ける」
(著者の言葉に忘れられないほど深く心を動かされる)

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