「周知」(読み方:「しゅうち」)という言葉は、「周知徹底させる」などの形でビジネスの場面においてよく用いられています。

しかしながら、具体的にはこの言葉がどのようなことを表すのか、また似た意味のある「案内」「伝達」という語とどのような違いがあるのか、中には疑問が浮かぶことがあるかもしれません。

そこで、ここでは「日本語」を考察してきた筆者が、「周知」の基本的な意味と使い方、また「案内」「伝達」との違いを説明します。

「周知」の意味と使い方・例文・「案内」「伝達」との違い

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そもそも、「周知」とは一体どのような意味を持つ言葉なのでしょうか。

ビジネスの場において非常によく使われる単語のため、なんとなくわかったつもりになって使っているけれど、実際に深く意味を考えたことはない…という人も多いと思います。

この項目では、改めてしっかりと「周知」の意味を理解し、「例文」を覚えることで、正しく使えるようにしていきましょう。

また、類似語である「案内」「伝達」との違いも解説しますので、それぞれのニュアンスの違いも確認してみてくださいね。

「周知」の意味は?

さて、まずは「周知」が一体どのような意味を持つ言葉なのかを解説していきたいと思います。

早速「周知」を辞書で引いてみたところ、以下のような意味を持つことがわかりました。

あまねく知ること。知れわたっていること。

出典:広辞苑 第6版(発行所 株式会社岩波書店)「周知」</blockquote>

このことから、「周知」とは「多くの人(広くすべての人)が知っていること、多くの人に知られていること」を指すことがわかりますね。

つまり、ビジネスの場面で「この案件について、社内の周知を徹底させる」と言われた場合は、「社内すべての人間に、この案件が知られている状態にする」という意味を持つというわけです。

「周知」という言葉を使用する場合は、漏れなく全ての人が知っている状態が理想となります。

よって、関係者数人のみにしか知らせない場合には「社内の周知を徹底させる」という文は使うことができませんので、注意しましょう。

「周知」の使い方や例文は?

次に、「周知」意味がわかったところで、の使い方を例文を使って見ていきます。

具体例を知っていることで、より言葉を適切に使えるようになるため、ここはしっかりと覚えていきたいところです。

例えば、この「周知」という言葉は、以下のように用いることができます。

・「新商品についての情報は発売日まで一切案内しないことをオペレーター全員に周知徹底させる」

・「社内に知られないよう隠し通すつもりだったが、彼らが付き合っていることは今や周知の事実となっている」

・「来週までにeラーニングで研修を受講するよう社員に周知させる」

・「業務用パソコンに更新プログラムを適用することをメールで全従業員に周知させる」

「周知」は、一般的には「周知する」という形で多く用いられていますが、連絡事項などを関係者に広く知れ渡らせることについていう場合には「~に周知させる」という形で用います。

「電波」のようなものをイメージしてもらうとわかりやすいのではないでしょうか。

「電波」には大きな電波塔があり、そこから電波が拡散されて個々に渡っていきますよね。

そのように、「『ある事柄や事象、情報』を『電波塔』の役割をする人間が、全ての人に送るようにしている」と考えると、「〜に周知させる」という形の感覚が掴みやすいです。

\次のページで「「案内」「伝達」との違いは?」を解説!/

「案内」「伝達」との違いは?

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「周知」の言葉の意味がわかったところで、次には「周知」の類似語を見ていきましょう。

「周知」に似た意味のある言葉には、「案内」「伝達」といった言葉があります。

これらは一体どのような意味を持ち、「周知」と何が違うのでしょうか。

この項目では、「案内」「伝達」の意味や、「周知」との違いについて解説します。

「案内」の意味は?

まずは、「周知」の類似語の一つである「案内」について見ていきましょう。

非常によく使われる言葉ですが、こちらも深く意味を考えたことがある人は少ないはずですので、改めて確認していきます。

さて、早速辞書で調べてみると、「案内」には以下のような意味があることがわかりました。

案内:事情を説明し知らせること。また、その知らせ。

出典:広辞苑 第6版(発行所 株式会社岩波書店)「案内」

「伝達」の意味は?

次に、「周知」のもう一つの類似語、「伝達」の意味を調べてみましょう。

「伝達」を辞書で引いてみると、下記のように定義されていることがわかります。

伝達:命令・連絡事項などを伝えること。つぎつぎに伝え届けること。

出典:広辞苑 第6版(発行所 株式会社岩波書店)「伝達」

「案内」「伝達」を「周知」と比較するとどうなる?

さて、「案内」や「伝達」の意味がわかったところで、気になるのが「周知」との違いです。

早速、「周知」と類似語である「案内」「伝達」の違いを、例文を用いて比較してみましょう。

「周知」「案内」「伝達」のそれぞれの例文は下記のようになります。

\次のページで「「周知」「案内」「伝達」は、範囲や方式によって使い分けましょう!」を解説!/

「案内」:「先にご案内いたしました通り、本日の試合は10時から開催いたします」(すでに説明いたしましたように、試合は10時から開催いたします)

「伝達」:「災害時に必要な連絡事項を伝達するための連絡網を整備する」(災害時に必要な連絡事項を関係者に順次伝えていくための連絡網を整備する)

「周知」:「明日は部全体で朝礼があることを周知徹底させる」(明日は部全体での朝礼があることを関係者すべてに認識させる)

例文を見ると、「案内」「相手に事情を説明する、知らせること」「伝達」「連絡事項などを取り次いで次々に伝えること」「周知」「広範囲の人に知れ渡る(知らせる)こと」を表すという違いがあることがわかります。

「周知」が「電波」のイメージであると前の項目で述べましたが、「案内」単純に誰かに情報や事情を知らせる言葉で、人数規模は少ないものから大きなものまで幅広いです。例えるのであれば「キャッチボール」のようなものですね。

対する「伝達」は、こちらも人数の規模に制限はありませんが、「次々と」という部分がポイントです。

発信者がいて、次から次へと情報が渡されていくような形をイメージしてみてください。「伝言ゲーム」のようなものと考えるとわかりやすいのではないでしょうか。

このように、言葉のニュアンスの違いを考えるときには、イメージを思い浮かべるとわかりやすくなります。

「周知」「案内」「伝達」は、範囲や方式によって使い分けましょう!

以上、「周知」の意味と使い方、「案内」「伝達」との違いについてまとめました。

「周知」は「広く知らせることや広く知れ渡ること」を表し、たとえば社員全員、ある部署全員が認識する必要がある情報を全体的に知らせる場合などに、「~に周知(徹底)させる」といった形で用いられていることが多いです。

また、近い意味の語には「案内」「伝達」があり、「案内」は広範囲というニュアンスは含まれず「相手に事情を知らせること」、「伝達」は「取次いで指示などを次々に伝えること」という意味を持ちます。

一般的に、何かを知らせるという意味では「案内」が用いられることが多いですが、単に何かを知らせたり説明したりするというよりも、組織や企業などで関係者全体にまんべんなく何かを知らせるという場合には「周知」という語を使うというように、これらの語はそれぞれ違ったニュアンスがあるため、その場面に応じて適した形で使い分けるのが理想です。

範囲や場面、伝える方式によって、適切に言葉を使い分けられるようにしましょう。

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言葉の意味

「周知」の意味と使い方・例文・「案内」「伝達」との違いは?日本文学専攻の現役ライターがサクッとわかりやすく解説!

「周知」(読み方:「しゅうち」)という言葉は、「周知徹底させる」などの形でビジネスの場面においてよく用いられています。

しかしながら、具体的にはこの言葉がどのようなことを表すのか、また似た意味のある「案内」「伝達」という語とどのような違いがあるのか、中には疑問が浮かぶことがあるかもしれません。

そこで、ここでは「日本語」を考察してきた筆者が、「周知」の基本的な意味と使い方、また「案内」「伝達」との違いを説明します。

「周知」の意味と使い方・例文・「案内」「伝達」との違い

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そもそも、「周知」とは一体どのような意味を持つ言葉なのでしょうか。

ビジネスの場において非常によく使われる単語のため、なんとなくわかったつもりになって使っているけれど、実際に深く意味を考えたことはない…という人も多いと思います。

この項目では、改めてしっかりと「周知」の意味を理解し、「例文」を覚えることで、正しく使えるようにしていきましょう。

また、類似語である「案内」「伝達」との違いも解説しますので、それぞれのニュアンスの違いも確認してみてくださいね。

「周知」の意味は?

さて、まずは「周知」が一体どのような意味を持つ言葉なのかを解説していきたいと思います。

早速「周知」を辞書で引いてみたところ、以下のような意味を持つことがわかりました。

あまねく知ること。知れわたっていること。

出典:広辞苑 第6版(発行所 株式会社岩波書店)「周知」</blockquote>

このことから、「周知」とは「多くの人(広くすべての人)が知っていること、多くの人に知られていること」を指すことがわかりますね。

つまり、ビジネスの場面で「この案件について、社内の周知を徹底させる」と言われた場合は、「社内すべての人間に、この案件が知られている状態にする」という意味を持つというわけです。

「周知」という言葉を使用する場合は、漏れなく全ての人が知っている状態が理想となります。

よって、関係者数人のみにしか知らせない場合には「社内の周知を徹底させる」という文は使うことができませんので、注意しましょう。

「周知」の使い方や例文は?

次に、「周知」意味がわかったところで、の使い方を例文を使って見ていきます。

具体例を知っていることで、より言葉を適切に使えるようになるため、ここはしっかりと覚えていきたいところです。

例えば、この「周知」という言葉は、以下のように用いることができます。

・「新商品についての情報は発売日まで一切案内しないことをオペレーター全員に周知徹底させる」

・「社内に知られないよう隠し通すつもりだったが、彼らが付き合っていることは今や周知の事実となっている」

・「来週までにeラーニングで研修を受講するよう社員に周知させる」

・「業務用パソコンに更新プログラムを適用することをメールで全従業員に周知させる」

「周知」は、一般的には「周知する」という形で多く用いられていますが、連絡事項などを関係者に広く知れ渡らせることについていう場合には「~に周知させる」という形で用います。

「電波」のようなものをイメージしてもらうとわかりやすいのではないでしょうか。

「電波」には大きな電波塔があり、そこから電波が拡散されて個々に渡っていきますよね。

そのように、「『ある事柄や事象、情報』を『電波塔』の役割をする人間が、全ての人に送るようにしている」と考えると、「〜に周知させる」という形の感覚が掴みやすいです。

\次のページで「「案内」「伝達」との違いは?」を解説!/

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