
「僭越(ながら)」の意味と使い方・例文・「恐れながら」「恐縮ながら」「勝手ながら」との違いは?現役記者がサクッとわかりやすく解説!
ただし、挨拶やスピーチで使うとはいっても、それらの場面で型通りに使う語ではないため、必ずしも「僭越ながら~」といって挨拶を始めるのが適切な使い方だとは限りません。
そこで、ここではこの言葉の意味と主な使い方、また併せて似た使い方をする表現との違いについて、科学・技術系記事の執筆を中心に活躍する筆者が解説していきます。
「僭越/僭越ながら」の意味は?
まず、「僭越」には「自分の身分・地位・立場などを越えて出過ぎたことをすること」という意味があり、分際をわきまえずに出過ぎたことをすることを述べる場合に使うことができるでしょう。
そして、「僭越ながら」という表現は「出過ぎたことではありますが」ということを意味し、「失礼ですが」「恐れながら」「出過ぎたことを言うようですが」といったニュアンスがあります。
「僭越/僭越ながら」の使い方は?
次に、「僭越/僭越ながら」の使い方を例文を使って見ていきましょう。
主な使い方を例文を使って表すと、以下のようになります。
「会社の上役を相手に僭越な振る舞いをする」
「いくらなんでも、そこまで彼の生活に立ち入るのは僭越だ」
「社長に直接進言したのはさすがに僭越だった」
「専門家に意見するなど僭越だが、やはり予算が足りなくなってしまうと思う」
「イブセンやトルストイなどの偉大さを思うと、自分が文学をやるのさえ、僭越なのではないかと思った」
「既成作家を受賞の対象にする賞の選考を行うなんて、私には僭越なことです」
「僭越ながら本日の司会を務めさせていただきます」
「僭越ながらその件について、私の意見を申し上げてもよろしいでしょうか」
「ご指名に預かりましたので、僭越ながら一言ご挨拶を述べさせていただきます」
「私も僭越ながらこの映画の脚本に参加させていただいております」
「モダン・ホラーと呼ばれる作品群には惹かれ続けていたので、僭越ながら一筆寄せさせていただきました」
「僭越ながら、本プロジェクトをお任せいただけませんでしょうか」
このように、「僭越ながら」は自分よりも役職の上の人などを差し置いて挨拶やスピーチをする場面、また目上の人を相手に意見を述べる場合や何らかの出過ぎた振る舞いについていう場合などに使用できます。
「僭越ながら」の類似表現は?

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それでは、次は「僭越ながら」と似た使い方をする「恐れながら」「恐縮ながら」「勝手ながら」という語との違いについて見ていきましょう。
まず、「恐れながら」には「恐れ多いことですが」という意味があり、「相手に対して無礼で申し訳ないことではあるが」ということを表すクッション言葉として用います。
また、「恐縮ながら」は「恐れから身がすくむ思いですが」を意味しますが、主に「相手に迷惑をかけたり相手の厚意を受けたりしたときの謝罪や感謝の意」を表明する言い回しとして使うことができるでしょう。
そして、「勝手ながら」には「勝手なことですが」という意味があり、「自分側の都合で物事を決めたりそれを実行すること」を表明する言い回しとして用いられます。
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