「指摘」という言葉は、「~を指摘する」「指摘を受ける」といった形でよく用いられています。

この言葉はメールなどビジネスの場面で用いられることも比較的多く、どのような意味があるか概ね分かっている人がほとんどかと思いますが、具体的にどのようなことを表しているのか、また近い意味のある「指導」「意見」「指示」という語とどのような違いがあるのか、疑問が浮かぶこともあるかもしれません。

そこで、ここでは「指摘」の基本的な意味と使い方、また「指導」「意見」「指示」と比較しながらそれぞれの違いについて、科学・技術系記事の執筆を中心に活躍する筆者が解説していきます。

「指摘」の意味と使い方・例文

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それでは、始めに「指摘」の意味と使い方を説明していきます。

「指摘」の意味は?

まず、「指摘」には「重要な点や問題となる点を取り上げて示すこと」といった意味があり、「誤り、間違いなどの問題点や重要なことを指し示す、取り上げて示す」ことを表します。

また、「指摘」は、「ゆび」から「指し示す」ことを意味するようになった「指」と、「つまむ」から「選び出す」ことを意味するようになった「摘」から成り立っており、似た意味の漢字を重ねて構成されている熟語です。

「指摘」の使い方は?

次に、「指摘」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「作成した資料に誤りがあると指摘を受ける」

「商品の欠陥について消費者から鋭い指摘を受ける」

「このたびは貴重なご指摘をいただきありがとうございました。この件につきましては、早速担当部署に報告し鋭意修正に努めておりますので、今しばらくお待ちください」

「彼は自身の経験からその症状の原因を的確に指摘した」

「一々欠点を指摘してくる彼にはうんざりしている」

「上司に起案書を提出したが、費用対効果が低いと指摘され、採用は見送られた」

「しばしば指摘されるが、日本の会社は地域との関連や活動をほとんど持たない」

「論文の文章の拙さを指摘され、落ち込んでいるようだ」

「指摘」と「指導」の違いは?

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では次に、似た意味のある「指導」という語との違いについて見ていきましょう。

まず、「指導」は「目指す方向に教え導くこと」を意味し、以下のように用いられます。

「長年の舞台経験を活かし、劇団の演技の指導にあたっている」

「私は、高校では生徒会長、現在は学校の教員と常に人を指導する立場にあった」

「清の雍正帝は、構想力と処理能力の双方をそなえた有能かつ厳格な国家指導者であった」

「良き環境に置かれ、良き指導者を得、彼女は遂に学者として大成したのだ」

\次のページで「「指摘」の類義語は?」を解説!/

このように、「指導」は「教え導くこと」が本質的な意味である一方、「指摘」は「欠点や過失などを指し示すこと」を表し、教えるといったニュアンスはありません

「指摘」の類義語は?

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それでは、次は「指摘」の類義語・類語である「意見」「指示」について見ていきましょう。

まず、これらの語には以下の意味があります。

「意見」:ある物事や判断に対して持つ考え、見解。思うところを述べて人を諌めること、忠告

「指示」:物事を指し示すこと。言いつけてさせること、または命令すること

「意見」の使い方は?「指摘」との違いは?

それでは、次に「意見」の使い方、また「指摘」との違いについて見ていきましょう。

この語は、たとえば以下のように用いることができます。

「政治家にとって最も必要なことは、発言であり、意見の発表だ」

「その裁判における、裁判員たちの意見は一致していた」

「ダム建設の是非については意見が分かれた」

「人工知能の将来について、専門家として意見を述べた」

また、「指摘」した場合と「意見」した場合について比較すると以下のようになります。

「指摘」:「作成してもらった資料をチェックしたところ、数カ所の誤字とデータの誤りを見つけました。ご承知おきの通り、この資料は○日の打ち合わせで使用する予定です。ご多忙の中恐縮ですが、当該の箇所にコメントを付けておきましたので至急修正をお願いいたします」

「意見」:「会議で使う紙資料を止めてペーパーレスにしてはどうでしょうか。そうすると、そのための準備にかけている手間や時間を他の業務に回すことができますし、コスト削減やデータの紛失防止にもなるという点でもメリットが大きいと思います」

\次のページで「「指示」の使い方は?「指摘」との違いは?」を解説!/

このように、「指摘」は「問題点などの重要な事実を具体的に相手に示す」ことに対して、「意見」は「物事に対する自身の考えを述べる、忠告をする」という違いがあります。

「指示」の使い方は?「指摘」との違いは?

それでは、次に「指示」の使い方、また「指摘」との違いについて見ていきましょう。

この語は、たとえば以下のように用いることができます。

「彼は幼少の頃から、父親の指示に極めて厳密に従って来たという」

「彼の指示した通りに次の角を曲がると、市役所が見えてきます」

「男は地図上の一点を指示し、この山に向かうと言った」

「標識の指示に従うなら、仙台は右の道を進めば着くはずだ」

このように、「指示」は、「物事を指し示すこと」という意味で「指摘」と類義語ですが、「指摘」の意味に含まれるような「問題点や重要な点を取り上げて」といったニュアンスは含まれません。

「指摘」は問題点などを「指示」すること、「意見」は自分の見解を述べることを意味する

以上、「指摘」の意味と使い方、また「指導」「意見」「指示」との違いについてまとめました。

これらの言葉は、ビジネスの場面において使用する機会が多くあります。使いにくい語ではありませんが、「意見」「指示」と混同する部分がある場合には、それが自分の考えであるのか、物事の問題点を相手に示しているのか、単に指し示しているだけなのかというニュアンスの違いから使い分けることができるでしょう。

また、「教え導くこと」が本質的な意味である「指導」と異なり、「指摘」には教えるといったニュアンスはありません。

このような点を念頭に、状況に応じてうまく使い分けるようにすると良いかと思います。

" /> 「指摘」の意味と使い方・例文・「指導」「意見」「指示」との違いは?現役記者がサクッとわかりやすく解説! – Study-Z
言葉の意味

「指摘」の意味と使い方・例文・「指導」「意見」「指示」との違いは?現役記者がサクッとわかりやすく解説!

「指摘」という言葉は、「~を指摘する」「指摘を受ける」といった形でよく用いられています。

この言葉はメールなどビジネスの場面で用いられることも比較的多く、どのような意味があるか概ね分かっている人がほとんどかと思いますが、具体的にどのようなことを表しているのか、また近い意味のある「指導」「意見」「指示」という語とどのような違いがあるのか、疑問が浮かぶこともあるかもしれません。

そこで、ここでは「指摘」の基本的な意味と使い方、また「指導」「意見」「指示」と比較しながらそれぞれの違いについて、科学・技術系記事の執筆を中心に活躍する筆者が解説していきます。

「指摘」の意味と使い方・例文

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それでは、始めに「指摘」の意味と使い方を説明していきます。

「指摘」の意味は?

まず、「指摘」には「重要な点や問題となる点を取り上げて示すこと」といった意味があり、「誤り、間違いなどの問題点や重要なことを指し示す、取り上げて示す」ことを表します。

また、「指摘」は、「ゆび」から「指し示す」ことを意味するようになった「指」と、「つまむ」から「選び出す」ことを意味するようになった「摘」から成り立っており、似た意味の漢字を重ねて構成されている熟語です。

「指摘」の使い方は?

次に、「指摘」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「作成した資料に誤りがあると指摘を受ける」

「商品の欠陥について消費者から鋭い指摘を受ける」

「このたびは貴重なご指摘をいただきありがとうございました。この件につきましては、早速担当部署に報告し鋭意修正に努めておりますので、今しばらくお待ちください」

「彼は自身の経験からその症状の原因を的確に指摘した」

「一々欠点を指摘してくる彼にはうんざりしている」

「上司に起案書を提出したが、費用対効果が低いと指摘され、採用は見送られた」

「しばしば指摘されるが、日本の会社は地域との関連や活動をほとんど持たない」

「論文の文章の拙さを指摘され、落ち込んでいるようだ」

「指摘」と「指導」の違いは?

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では次に、似た意味のある「指導」という語との違いについて見ていきましょう。

まず、「指導」は「目指す方向に教え導くこと」を意味し、以下のように用いられます。

「長年の舞台経験を活かし、劇団の演技の指導にあたっている」

「私は、高校では生徒会長、現在は学校の教員と常に人を指導する立場にあった」

「清の雍正帝は、構想力と処理能力の双方をそなえた有能かつ厳格な国家指導者であった」

「良き環境に置かれ、良き指導者を得、彼女は遂に学者として大成したのだ」

\次のページで「「指摘」の類義語は?」を解説!/

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