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「適宜」の意味と使い方・例文・「随時」「適時」との違いは?現役ライターがサクッと解説

「適宜」(読み方:「てきぎ」)という言葉は、「適宜~する」の形でよく用いられています。

ビジネスの場面で用いられることが比較的多い言葉ですが、具体的にどのようなことを表しているのか、また近い意味を持つ「随時」「適時」とはどのような違いがあるのか、疑問を抱くことがあるかもしれません。

そこで、ここでは「適宜」の基本的な意味と使い方、また「随時」「適時」との違いなどについて、翻訳経験のある現役ライターの筆者が説明していきます。

「適宜」の意味と使い方・例文・「随時」「適時」との違い

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それでは、「適宜」の意味と使い方、また「随時」「適時」との違いなどについて説明していきましょう。

「適宜」の意味は?

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まず「適宜」には、以下の意味があります。

1.その場の状況にちょうど適しているさま。

2.その場の状況に応じて各自がよいように行動するさま。

出典:明鏡国語辞典(発行所 株式会社大修館書店)「適宜」

つまり「適宜」とは、「その時の状況に適していること」や「制約を受けずに、自分自身がその場に適していると思う行動を取ること」を表す言葉です。

「適宜」の使い方・例文

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では次に、「適宜」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「状況に適した」の意味で用いる場合

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「部署内で適宜夏休みを取る」
「トラブル発生時には適宜通知いたします」
「彼は職場で三ヶ国語を適宜使い分けて仕事をしている」

「各自の判断で」の意味で用いる場合

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「大まかなとこは規定に従ってもらう必要があるが、細かい部分は適宜判断してもらって構わない」
「手の空いた人から適宜食事を摂るようにしてください」
「必要なものがあれば、この中から適宜自由に選んで使ってもらって結構です」

「随時」「適時」との違い

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次に、似た意味を持つ「随時」「適時」との違いについて見ていきましょう。

「随時」「適時」の意味

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「随時」「適時」には、それぞれ以下の意味があります。

適当な時に行うさま。その時々。

日時に制限を設けないさま。必要な時にはいつでも。

出典:明鏡国語辞典(発行所 株式会社大修館書店)「随時」

それをするのにちょうどよい時。

出典:明鏡国語辞典(発行所 株式会社大修館書店)「適時」

つまり、「随時」は「特に日時に制限を設けずに必要に応じて何かを行うこと」、「適時」は「何かを行うために、時間や条件などがちょうど良い時」を意味する言葉です。

意味・使い方の比較

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上記を踏まえて、「随時」「適時」と「適宜」を例文を交えて使い方を比較してみると、以下のようになります。

「適宜」:「インターに着いたら、適宜昼食をとってください」(≒インターに着いたら、各自好きなように昼食をとってください)、「新人の横について適宜指示を与える」(≒新人の横についてその場に応じて適した指示を与える)

「随時」:「その店では、従業員を随時雇い入れている」(≒その店では、特に期限などを設けることなく必要に応じて従業員を雇用している)

「適時」:「適時に休憩を取る」(≒休むのにちょうど良いタイミングで休憩を取る)

上記の例文でわかるように、

「適宜」は「新人の仕事振りを見て必要な時に適切な指示を与えること」というように、ある程度自分の裁量で何かをしても良いという場合や状況を見てそれに合った行動を取ってほしい時などに用います。

「随時」は「特に期限などを設けることなく必要に応じて従業員を雇用している」のように、状況に応じて好きなときに行えるということです。

そして「適時」は、「仕事が一段落付いたタイミングで休憩を取ること」というように、ちょうど良いタイミングを見計らって何かをする場合に用いることができます。

その他の類義語

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では、「随時」「適時」以外の「適宜」の類語をいくつか紹介していきます。

「都度」

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「都度(つど)」には、次のような意味があります。

物事が行われるたびごと。毎回。

出典:小学館「都度」

「都度」の「都」は「すべて」、「度」は「回数」を表し、「都度」で「そのたびごと」の意味を持つ言葉です。

「その都度~」の形で使われることが多く、「毎回」ということになります。

例文は次の通りです。

「何かご不明な点がございましたら、その都度連絡していただけますか?」

「父はICカードを持たず、その都度切符を買うようにしている」

「適当」

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「適当(てきとう)」が持つ意味は次の通りです。

ある条件・目的・要求などに、うまくあてはまること。かなっていること。ふさわしいこと。また、そのさま。

程度などが、ほどよいこと。また、そのさま。

出典:小学館「適当」

「適当」の「適」には「ふさわしい」、「当」には「あてはまる」という意味があり、「適当」で「ある状態や目的などにほどよく当てはまる」「分量などがほどよい」ことを表す言葉です。

「いい加減」などの悪い意味もありますが、ここでは上記の意味での例文を紹介します。

「オムライスを作るから、適当な材料を買ってきてくれる?」

「明日のイベントで配るから、パンフレットを適当な数だけ用意しておいてください」

「適切」

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「適切(てきせつ)」には、次の意味があります。

状況・目的などにぴったり当てはまること。その場や物事にふさわしいこと。また、そのさま。

出典:小学館「適切」

「適切」の「適」は「ふさわしい」、「切」は「ぴったり合う」を表し、「適切」で「目的などにぴったり当てはまること」の意味を持つ言葉です。

過不足なくちょうどいいというニュアンスを含み、次のような使い方をします。

「師匠はいつでも適切なアドバイスをくれる」

「人間に適切な睡眠時間がどのくらいなのか知りたい」

「相応」「相応しい」

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「相応(そうおう)」「相応しい(ふさわしい)」には、次のような意味があります。

つりあいがとれていること。ふさわしいこと。また、そのさま。

出典:小学館「相応」

似つかわしい。つり合っている。

出典:小学館「相応しい」

「相応」「相応しい」には「ちょうど釣り合いが取れていること」を表す言葉で、次のような使い方ができます。

「自分の経済状況を考えて、身分相応の暮らしをしないといけない」

「あんな男、彼女には相応しくないよ」

「適正」

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「適正(てきせい)」には次のような意味があります。

適当で正しいこと。また、そのさま。

出典:小学館「適正」

「適正」は「正しく適していること」を表す言葉です。「適切」や「適当」の意味の他に、「正しい」という意味を含みます。

ちなみに、同じ読み方の「適性」は、「性格がその物事に適していること」を表す言葉です。

「適正」を使った例文は、次のようになります。

「あなたの身長からすると、適正体重より少し重いですね」

「適正価格を知るために、市場調査をする」

「然るべき」

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「然るべき(しかるべき)」が持つ意味は、次の通りです。

(連体詞的に用いて)適当な。ふさわしい。

出典:小学館「然る可き」①

「然るべき」とは、「そうすることが当然である」という意味を持つ言葉で、日常会話ではあまり使われることのない、やや硬い表現です。

「然るべき」は次のような使い方をします。

「明日納品される予定ですので、ファイルを然るべき場所に保存しておいてください」

「あれだけの罪を犯したのだから、厳罰が下されて然るべきだ」

「必要に応じて」

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「必要に応じて」は、次のような意味を持つ表現です。

必要なときに、必要になった場合に随時、といった意味の表現。

出典:実用日本語表現辞典 「必要に応じて」

「必要に応じて」は、「必要なときに」という意味で、「適宜」の言い換え表現として使うことができます。

「必要であればその行動をとって、必要でなければ行動しなくて良い」というような場面で、次のように使われる表現です。

「会場付近には食堂などがございませんので、必要に応じて昼食をご用意ください」

「必要に応じてご連絡くださいませ」

「適宜」の対義語

「適宜」と反対の意味を持つ言葉には、どのようなものがあるのでしょうか。

「常時」

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「常時(じょうじ)」が持つ意味は、次の通りです。

特別な事のない時。普段。

(副詞的にも用いる)常にそうであること。いつも。 

出典:三省堂「常時」

「常時」には「普段」「いつも」という意味があり、次のような使い方をします。

「いつ産気づいてもいいように、常時入院の準備をしている」

「警備センターで常時監視されているから安心だ」

「定時」

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「定時(ていじ)」には、次のような意味があります。

一定の時刻。定刻。

一定の時期。定期。

出典:小学館「定時」

「定時」は「じょうじ」とも読み、「ある定まった時刻、時期」を表し、次のように使います。

「今日は仕事が定時で終わったので早く帰ることができる」

「列車は定時に発車しました」

「適宜」とその他の類語との違いを知っておこう

以上、「適宜」の意味と使い方についてまとめました。

この言葉は「状況に応じて自分の判断で行動すること」や「状況に合った行動をすること」を表します。

「随時」「適時」などの類似した言葉との違いは分かりにくいところもありますが、こうして比較してみるとニュアンスが異なることが理解できますね。

いずれもビジネスなどの場面で使用されることの多い言葉ですので、正しい意味や使い方を知っておくと、いざというときに役立つことでしょう。

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