
「鑑みる」の意味と使い方・例文・「踏まえる」「考慮する」との違いは?現役記者がサクッとわかりやすく解説!
「労働審判や訴訟など豊富な紛争解決の経験を踏まえて、雇用関係上の問題について助言をする」
「本書はアーサー・C・クラークの名作である楽園の泉を踏まえて執筆しました」
「専守防衛の原則という国防の基本方針を踏まえて諸々の政策方針が定められている」
「市場競争による収益低下の可能性を踏まえて業績予想値を修正する」
「市の財政事情も踏まえて検討が重ねられた結果、本部署は市役所庁舎内へ移転することが決定した」
つまり、「踏まえる」が「何らかの物事をもと(基準)にして判断する」を表すのに対し、「鑑みる」は「先例などに照らし合わせて(比較参照して)物事を考える」という違いがあります。
それは、例えば最後の例文であれば「市場競争による収益低下の可能性があることから、それを根拠に業績予想値を修正する」を意味しますが、「最近の動向に鑑みて業績予想値を修正する」という文では「最近の動向と以前の動向を照らし合わせて業績予想値を修正する」ということを表すことになるでしょう。
「考慮する」の意味と使い方は?「鑑みる」との違いは?

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「考慮する」には、「物事を判断する際にさまざまな内容や条件を考え合わせること」という意味があり、以下のように用いることができます。
「自動車を運転する時は、歩行者の安全や他の自動車の動向を考慮する必要があります」
「観光客の数も考慮すると夏には2万人以上が島にいることになるだろう」
「今年のイベントは、交通の便と天候の悪さを考慮すれば、大盛況の部類に入るのではないか」
「作品の時代背景も考慮して映画を撮影した」
「津波や高潮、高波の被害を防ぐための海岸堤防の高さは、計画高潮位に波の影響を考慮した高さを加えたもの以上に設定される」
このように、「考慮する」は「(人や組織が物事を判断する際に、もしくは行動を起こす前に)さまざまな要素を考え合わせること」を述べる場合に用いられます。
また、「考慮する」も「鑑みる」も共に、「何かを基にして考えること」は共通ですが、「考慮する」は「物事を成り立ちに関与している様々な内容や条件」。そして、「鑑みる」は「先例や規範、手本との照らし合わせ」を基にするというニュアンスの違いがあります。
「鑑みる」は「比較対照して考える」、「踏まえる」は「根拠とする」、「考慮する」は「様々な要素を参考に考える」
以上、「鑑みる」の意味と使い方についてまとめました。
この言葉は「他と比べ合わせて何かを考える」ことを表し、何かの判断をする場合などに用いることができるでしょう。
また、「踏まえる」という語も近い使い方をすることが可能ですが、考えや判断をする根拠となることを表す場合に用いるという部分で違いがあります。
さらに、「考慮する」も「何かを基にして考えること」は共通です。しかし、「鑑みる」のように「比べ合わせたもの」を基にするのではなく、「(ある物事に関係する)いろいろな要素」を基にする点でニュアンスが異なります。
このように、これらの語はそれぞれ分かりにくい違いがあるので、意識して使い分けと良いでしょう。