「鑑みる」(読み方:「かんがみる」)という言葉は、「~に鑑みて」「~に鑑みるに」などの形で用いられています。

日常的に頻用する語ではありませんが、具体的にこの言葉はどのようなことを表すのか、また同じような使い方をする「踏まえる」「考慮する」とどのような違いがあるのか、疑問が浮かぶこともあるかもしれません。

そこで、ここでは「鑑みる」の基本的な意味と使い方、また「踏まえる」「考慮する」と比較しながらそれぞれの違いについて、科学・技術系記事の執筆を中心に活躍する筆者が解説していきます。

「鑑みる」の意味と使い方

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それでは、始めに「鑑みる」の意味と使い方を説明していきます。

「鑑みる」の意味は?

まず、「鑑みる」には「手本や先例に照らして考える、他と比べてあわせて考える」といった意味があります。

また、「鑑」という字は「鏡(かがみ)」に由来し、「鏡」は古来から「反省の材料や手本」といった意味があることから、この意味のみが抽出されて「鑑」という語が作られたと考えられます。

「鑑みる」の使い方は?

次に、「鑑みる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「過去の事例に鑑みて、この時期に大規模なセールを実施すると売上げアップが期待できそうだ」

「前回の失敗に鑑みて、かなり余裕を持ったスケジュールを組むことにした」

「過去の実績に鑑みて、広告宣伝費にかける割合はもっと抑えたほうが良いだろう」

「他社の事例に鑑みるに、この製品を1万円前後の価格帯で販売したのでは消費者は納得しないだろう」

「自分の交友関係を鑑みると、類は友を呼ぶという言葉はあながち嘘ではないと納得してしまう」

「マスコミの対応を鑑みると、今回の国家元首による発表は間違いだったかもしれない」

「戦後の社会や経済状況を鑑みると、小型の自動車が市場から求められていると考えられる」

「子供の生活や将来を鑑みた場合、父親のもとで養育されるのが適当であるとの結論に至った」

「鑑みる」と類似した語との違いは?

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それでは、次は「鑑みる」と似た意味を持つ語である「踏まえる」「考慮する」について見ていきましょう。

「踏まえる」の意味と使い方は?「鑑みる」との違いは?

まず、「踏まえる」には、「ある物事を判断や考え方の拠り所にする、根拠にする」という意味があり、以下のように用いることができます。

\次のページで「「考慮する」の意味と使い方は?「鑑みる」との違いは?」を解説!/

「労働審判や訴訟など豊富な紛争解決の経験を踏まえて、雇用関係上の問題について助言をする」

「本書はアーサー・C・クラークの名作である楽園の泉を踏まえて執筆しました」

「専守防衛の原則という国防の基本方針を踏まえて諸々の政策方針が定められている」

「市場競争による収益低下の可能性を踏まえて業績予想値を修正する」

「市の財政事情も踏まえて検討が重ねられた結果、本部署は市役所庁舎内へ移転することが決定した」

つまり、「踏まえる」が「何らかの物事をもと(基準)にして判断する」を表すのに対し、「鑑みる」は「先例などに照らし合わせて(比較参照して)物事を考える」という違いがあります。

それは、例えば最後の例文であれば「市場競争による収益低下の可能性があることから、それを根拠に業績予想値を修正する」を意味しますが、「最近の動向に鑑みて業績予想値を修正する」という文では「最近の動向と以前の動向を照らし合わせて業績予想値を修正する」ということを表すことになるでしょう。

「考慮する」の意味と使い方は?「鑑みる」との違いは?

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「考慮する」には、「物事を判断する際にさまざまな内容や条件を考え合わせること」という意味があり、以下のように用いることができます。

「自動車を運転する時は、歩行者の安全や他の自動車の動向を考慮する必要があります」

「観光客の数も考慮すると夏には2万人以上が島にいることになるだろう」

「今年のイベントは、交通の便と天候の悪さを考慮すれば、大盛況の部類に入るのではないか」

「作品の時代背景も考慮して映画を撮影した」

「津波や高潮、高波の被害を防ぐための海岸堤防の高さは、計画高潮位に波の影響を考慮した高さを加えたもの以上に設定される」

このように、「考慮する」は「(人や組織が物事を判断する際に、もしくは行動を起こす前に)さまざまな要素を考え合わせること」を述べる場合に用いられます。

また、「考慮する」も「鑑みる」も共に、「何かを基にして考えること」は共通ですが、「考慮する」は「物事を成り立ちに関与している様々な内容や条件」。そして、「鑑みる」は「先例や規範、手本との照らし合わせ」を基にするというニュアンスの違いがあります。

「鑑みる」は「比較対照して考える」、「踏まえる」は「根拠とする」、「考慮する」は「様々な要素を参考に考える」

以上、「鑑みる」の意味と使い方についてまとめました。

この言葉は「他と比べ合わせて何かを考える」ことを表し、何かの判断をする場合などに用いることができるでしょう。

また、「踏まえる」という語も近い使い方をすることが可能ですが、考えや判断をする根拠となることを表す場合に用いるという部分で違いがあります。

さらに、「考慮する」も「何かを基にして考えること」は共通です。しかし、「鑑みる」のように「比べ合わせたもの」を基にするのではなく、「(ある物事に関係する)いろいろな要素」を基にする点でニュアンスが異なります。

このように、これらの語はそれぞれ分かりにくい違いがあるので、意識して使い分けと良いでしょう。

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言葉の意味

「鑑みる」の意味と使い方・例文・「踏まえる」「考慮する」との違いは?現役記者がサクッとわかりやすく解説!

「鑑みる」(読み方:「かんがみる」)という言葉は、「~に鑑みて」「~に鑑みるに」などの形で用いられています。

日常的に頻用する語ではありませんが、具体的にこの言葉はどのようなことを表すのか、また同じような使い方をする「踏まえる」「考慮する」とどのような違いがあるのか、疑問が浮かぶこともあるかもしれません。

そこで、ここでは「鑑みる」の基本的な意味と使い方、また「踏まえる」「考慮する」と比較しながらそれぞれの違いについて、科学・技術系記事の執筆を中心に活躍する筆者が解説していきます。

「鑑みる」の意味と使い方

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それでは、始めに「鑑みる」の意味と使い方を説明していきます。

「鑑みる」の意味は?

まず、「鑑みる」には「手本や先例に照らして考える、他と比べてあわせて考える」といった意味があります。

また、「鑑」という字は「鏡(かがみ)」に由来し、「鏡」は古来から「反省の材料や手本」といった意味があることから、この意味のみが抽出されて「鑑」という語が作られたと考えられます。

「鑑みる」の使い方は?

次に、「鑑みる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「過去の事例に鑑みて、この時期に大規模なセールを実施すると売上げアップが期待できそうだ」

「前回の失敗に鑑みて、かなり余裕を持ったスケジュールを組むことにした」

「過去の実績に鑑みて、広告宣伝費にかける割合はもっと抑えたほうが良いだろう」

「他社の事例に鑑みるに、この製品を1万円前後の価格帯で販売したのでは消費者は納得しないだろう」

「自分の交友関係を鑑みると、類は友を呼ぶという言葉はあながち嘘ではないと納得してしまう」

「マスコミの対応を鑑みると、今回の国家元首による発表は間違いだったかもしれない」

「戦後の社会や経済状況を鑑みると、小型の自動車が市場から求められていると考えられる」

「子供の生活や将来を鑑みた場合、父親のもとで養育されるのが適当であるとの結論に至った」

「鑑みる」と類似した語との違いは?

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それでは、次は「鑑みる」と似た意味を持つ語である「踏まえる」「考慮する」について見ていきましょう。

「踏まえる」の意味と使い方は?「鑑みる」との違いは?

まず、「踏まえる」には、「ある物事を判断や考え方の拠り所にする、根拠にする」という意味があり、以下のように用いることができます。

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