
「抽象的」の意味と語源・使い方・例文・対義語・具体例は?現役記者がサクッとわかりやすく解説!
比較的よく用いられる言葉ではありますが、どのようなことを表す言葉なのかはっきりと捉えづらいところがあるかもしれません。
そこで、ここでは「抽象的」の基本的な意味と語源、使い方、また併せて反対語である「具体的」という語と対比しながらそれぞれの意味や使い方について、科学・技術系記事の執筆を中心に活躍する筆者が解説していきます。
「抽象的」の意味は?
まず、「抽象的」には以下のような複数の意味があります。
1. 個々の事物の本質・共通の属性を抜き出して、一般的な概念をとらえるさま。
2. 単に概念的に思考されるだけで、実際の形態・内容を持たないさま。
「抽象的」の語源は?
次に、「抽象的」の語源・由来について見ていきましょう。
まず、「抽象」には「事物や現象からある要素・側面・性質・共通性をぬきだして把握すること」という意味があり、これに接尾辞「的」を付けたものが「抽象的」です。
そして「抽象」という語については、「事物や表象からある性質・共通性・本質を抽(ひ)き出して把握する」つまり「象を抽き出す」という意味を持つ語として、1881年に刊行された「哲学字彙」に英語の「abstract」の訳語として初めて掲載されたと言われています。
さらに遡ると、「abstract」はラテン語の「abstractus」に由来し、このラテン語は「抜き出された」を意味しているそうです。
なお、接尾辞「的」は、語の後に付加することでそのような性質や様子を持つ形容動詞をつくります。
「抽象的」の使い方は?
次に、例文を使って「抽象的」の使い方について見ていきましょう。
この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。
「現場の実情を知らない人だけで話し合っても抽象的な議論が繰り返されるだけだ」
「問題を抽象的に捉えているだけでは解決にたどり着かない」
「彼は何でも抽象的な言い回しをするのが癖のようだ」
「彼の言っていることは抽象的過ぎてどうにも理解しがたい」
「わが社の理念を抽象的に定義するとお客様第一主義です」
「数学的な文章では、抽象的な概念を簡潔に記述するために様々な特殊な記号が用いられる」
「抽象的な概念は具体的知覚を通じてその内容を得て、理解することができる。例えば数という抽象的な概念は、離散的な対象を数えるという経験に源を持つ」
「枯山水とは、水を用いず、石の組合せや地形の高低などによって山水の趣を抽象的に表した庭園のことである」
「抽象的な思考を具体的な思考に変えると思考は美しさを失うが、そのかわりに我々は有用を手に入れることができる」
「抽象的」の対義語は?

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それでは、次は「抽象的」の対義語である「具体的」の意味と使い方について見ていきましょう。
まず、「具体的」は「実際にはっきりとした形や内容を備えているさま」「一般的なものや観念的なものではなく、個々の事物に即しているさま」がその意味です。
そして、例えば以下のように用いることができます。
「三鷹、松川事件の具体的な内容についてはどちらもすべて明らかになってきており、労働者階級の闘いの歴史にとってきわめて重大な事件であると言われている」
「水質汚染とは、湖や池などに対する有害影響のことで、具体的な例としては水道法で定める飲料水の基準を悪化させる状態をいう」
「この駅の改修について具体的な計画は決まっておらず、着工の目処は立っていない」
「火星を地球のような惑星に作り変える具体的な方法として、火星の地下にある永久凍土を溶かして海にする方法が考えられている」
「映画の批評はやはりある程度までは客観的・分析的であるべきで、良いところと悪いところと両方を具体的に指摘してほしい」
「抽象的」の具体例は?

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この語は分かりづらい語かと思いますので、「抽象的」な内容を持った文と「具体的」な内容を持った文を対比することで「抽象的」という語を理解していきましょう。
そして、「抽象的」「具体的」を表す内容としては、それぞれ以下のような例文が挙げられます。
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