「見解」(読み方:「けんかい」)という言葉は、「見解を述べる」「見解が一致する」などの形で用いられています。

ある事柄についての考え方を示す時に使われる言葉ですが、具体的にはどのような時に使うことができるのか、また似た意味を持つ「意見」「見方」などの言葉とはどのような違いがあるのか、疑問を抱くことがあるかもしれません。

そこで、ここでは「見解」の意味と使い方、「意見」「見方」との違いなどについて、翻訳経験のある現役ライターの筆者が説明していきます。

「見解」の意味と使い方・「意見」「見方」との違い

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それでは、「見解」の意味と使い方、また「意見」「見方」との違いなどについて説明していきましょう。

「見解」の意味は?

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まず、「見解」には以下の意味があります。

物事についての見かたや考え方。意見。

出典:出典:広辞苑 第6版(発行所 株式会社岩波書店)「見解」

「見解」の「見」は「物事の見方・考え方」、「解」には「解き明かすこと」という意味を持つ漢字です。

「見解(けんかい)」で、「ある物事についてどのように考えるかの方法」「物事について持つ考え」を表す語となっています。

ちなみに同じ字で「けんげ」ととも読みますが、こちらは「ものの見方・考え方」「心理を見極める力」を表す言葉です。

「見解(けんかい)」はその場で思いついたような考えではなく、よく考えた上での意見を表し、ビジネスシーンなどで使われます。また、政府が公の問題について考えを述べる場合にも「公式の見解」という言い方でよく使われる表現です。

次に、「見解」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「その成分の安全性については、専門家の間でも賛否両論あり見解が分かれている」

「保存料の使用については危険性を危惧する声は多いものの、そのメーカーでは『適切な使用量ならば食品を長持ちさせ食中毒のリスクを下げられるメリットもある。必ずしも無添加のほうが安全だとはいえない』という見解を示している」

「書店業界の低迷について、あるオーナーは『書店に足を運んで本を買うことの価値を前面に出して通販や電子書籍との差別化を図る必要がある』と見解を述べた」

「新型の加熱式タバコが注目を集めているが、多くの医療機関では『推奨できない』として見解が一致しているようだ」

「見解」は、上記のようにある物事(社会的な問題など)についてどのような考えを持っているかを示す場合に、「見解を述べる」「見解が分かれる」といった形で使われています。

 

「意見」「見方」との違い

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では次に、似た意味を持つ「意見」「見方」との違いについて見ていきましょう。

まず、これらの語には以下の意味があります。

物事や判断に対して持つ考え。

出典:明鏡国語辞典(発行所 株式会社大修館書店)「意見」

\次のページで「その他の類語」を解説!/

ある立場からの考え方。見解。

出典:明鏡国語辞典(発行所 株式会社大修館書店)「見方」②

そして、これらの語と「見解」の使い方を比較すると、以下のようになります。

「意見」:「近く高層マンションの建設が始まることについて、近隣の住民からは『日当たりが悪くなるから止めてほしい』という意見が多数集まっている」(≒「近く高層マンションの建設が始まることについて、近隣の住民からは『日当たりが悪くなるから止めてほしい』という声が多数集まっている」)

「見方」:「近年の大河ドラマについて、『ストーリーに捏造やご都合主義が散見し面白くない』という人がいる反面、歴史に詳しくない若年層は『歴史を知らなくてもドラマとして楽しめる』という見方をする人が多いようだ」(≒「近年の大河ドラマについて、『ストーリーに捏造やご都合主義が散見しつまらない』という人がいる反面、歴史に詳しくない若年層は『歴史を知らなくてもドラマとして楽しめる』という考え方をする人が多いようだ」)

「見解」:「近年受動喫煙防止対策が強化されているが、その健康的な被害について、タバコ会社では次のような見解を打ち出した」(≒「近年受動喫煙防止対策が強化されているが、タバコ会社では、その健康的な被害に対する同社の考え方を次のように示した」)

つまり、

「意見」は「ある物事に対しての考え、考えた結論や判断」(主に個人的なことについていう時に使う)をいい、

「見方」は「ある立場から物事を見た時の考え方」、

「見解」は「ある物事に対する考え方」(特に社会全体の問題に関することについていう時に使う)

を表すという違いがあります。

 

その他の類語

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では、「意見」と「見方」以外の、「見解」と似た意味を持つ言葉を紹介します。

「考察」

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「考察(こうさつ)」は、次の意味を持つ言葉です。

物事を明らかにするために、よく調べて考えをめぐらすこと。

出典:小学館「考察」

「考察」の「考」は「思いめぐらす」「調べる」、「察」は「詳しく調べる」「明らかにする」という意味を持つ漢字です。「考察」で、「物事を明らかにするために、調べて考えること」を意味します。

「見解」が「考え方」であるのに対して、「考察」は「考えること」というのが異なる点です。

「~について考察する」「考察を加える」「時代考察」のような使い方をします。

\次のページで「「解釈」」を解説!/

「解釈」

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「解釈(かいしゃく)」が持つ意味は、次の通りです。

言葉や文章の意味・内容を解きほぐして明らかにすること。また、その説明。

物事や人の言動などについて、自分なりに考え理解すること。

出典:小学館「解釈」

「解釈」は「解き明かすこと」を表す「解」と「理解すること」を表す「釈」から成り、「物事の意味を理解すること。また、それを説明すること」の意味を持つ言葉です。

「見解」が「理解した上での自分の考え方」を表すのに対して、「解釈」は「理解すること」に過ぎない点と、「見解」にはない「説明する」意味を持つ点でこの二つの言葉は異なります。

「解釈」は「物語の意味を解釈する」「解釈が難しい」「英文解釈」のような使い方をする言葉です。

「所見」

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「所見(しょけん)」には、次のような意味があります。

見た事柄。見た結果の判断や意見。

ある事についての意見、考え。

出典:小学館「所見」

「所見」は、「見たところのもの。見た上での考え」ということを表します。

「見解」が「じっくり考えた上でまとめた意見」を意味するのに対して、「所見」は「一見してその場で出した考え」というニュアンスを持つ言葉です。

「所見を求める」「所見を述べる」「専門家の所見」などの使い方をします。

「所感」

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「所感(しょかん)」には、次のような意味があります。

事に触れて心に感じた事柄。感想。

出典:小学館「所感」

\次のページで「「見識」」を解説!/

「所感」とは、「何かに対して心が動いた内容や印象」を表す言葉です。

「見解」の意味が「見たところの価値判断や評価」ですので、「所感」のほうが主観的になります。

また、「所感」はただ印象を述べるだけでなく、反省点や改善点も含まれることから、ビジネスシーンでは日報や報告書などでよく使われる表現です。

「所感を述べる」「所感を報告する」「年頭所感」などの形で使われます。

「見識」

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「見識(けんしき)」が持つ意味は、次の通りです。

物事を深く見通し、本質をとらえる、すぐれた判断力。ある物事に対する確かな考えや意見。識見。

出典:小学館「見識」

「見識」の「見」は「物の見方」、「識」は「物事の道理を見分ける」の意味を持つ漢字から成り、「見識」は「物事の本質をとらえる優れた判断力」を表す言葉です。

「見解」は人によって考え方が違うため一致するとは限りませんが、「見識」は根拠に基づいた判断力のため、どれも同じようなものになります。

「見識がある」「見識が高い」「見識を広める」などの使い方をする表現です。

「見解」の英語表現

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「見解」を英語で表すと、「opinion」「(point of) view」などになります。

「In my opinion」「From my point of view」「In my point of view」などは、「私の見解では」という意味です。

「見解」はじっくり考えた上でまとめた意見のこと

以上、「見解」の意味と使い方、「意見」「見方」との違いなどについてまとめました。

この言葉は、「ある物事についての見方や考え方」のことをいい、社会的な問題について企業や公的機関などがどのような考えを持っているかを示す場合に「見解を述べる」「見解を示す」などの形で使われています。

また「意見」「見方」にも近い意味がありますが、「意見」は個人的なことについていう場合に使われることが多く、「見方」はある立場から見た物事に対する考え方の相違などをいう場合に使われる言葉です。

ここで紹介した言葉は、物事についての考え方を示す場合に使うことができますが、それぞれ違ったニュアンスを含んでいるため、適切な場面で使い分けられるようにしましょう。

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言葉の意味

「見解」の意味と使い方・例文・「意見」「見方」との違いは?現役ライターがサクッとわかりやすく解説

「見解」(読み方:「けんかい」)という言葉は、「見解を述べる」「見解が一致する」などの形で用いられています。

ある事柄についての考え方を示す時に使われる言葉ですが、具体的にはどのような時に使うことができるのか、また似た意味を持つ「意見」「見方」などの言葉とはどのような違いがあるのか、疑問を抱くことがあるかもしれません。

そこで、ここでは「見解」の意味と使い方、「意見」「見方」との違いなどについて、翻訳経験のある現役ライターの筆者が説明していきます。

「見解」の意味と使い方・「意見」「見方」との違い

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それでは、「見解」の意味と使い方、また「意見」「見方」との違いなどについて説明していきましょう。

「見解」の意味は?

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まず、「見解」には以下の意味があります。

物事についての見かたや考え方。意見。

出典:出典:広辞苑 第6版(発行所 株式会社岩波書店)「見解」

「見解」の「見」は「物事の見方・考え方」、「解」には「解き明かすこと」という意味を持つ漢字です。

「見解(けんかい)」で、「ある物事についてどのように考えるかの方法」「物事について持つ考え」を表す語となっています。

ちなみに同じ字で「けんげ」ととも読みますが、こちらは「ものの見方・考え方」「心理を見極める力」を表す言葉です。

「見解(けんかい)」はその場で思いついたような考えではなく、よく考えた上での意見を表し、ビジネスシーンなどで使われます。また、政府が公の問題について考えを述べる場合にも「公式の見解」という言い方でよく使われる表現です。

次に、「見解」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「その成分の安全性については、専門家の間でも賛否両論あり見解が分かれている」

「保存料の使用については危険性を危惧する声は多いものの、そのメーカーでは『適切な使用量ならば食品を長持ちさせ食中毒のリスクを下げられるメリットもある。必ずしも無添加のほうが安全だとはいえない』という見解を示している」

「書店業界の低迷について、あるオーナーは『書店に足を運んで本を買うことの価値を前面に出して通販や電子書籍との差別化を図る必要がある』と見解を述べた」

「新型の加熱式タバコが注目を集めているが、多くの医療機関では『推奨できない』として見解が一致しているようだ」

「見解」は、上記のようにある物事(社会的な問題など)についてどのような考えを持っているかを示す場合に、「見解を述べる」「見解が分かれる」といった形で使われています。

 

「意見」「見方」との違い

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では次に、似た意味を持つ「意見」「見方」との違いについて見ていきましょう。

まず、これらの語には以下の意味があります。

物事や判断に対して持つ考え。

出典:明鏡国語辞典(発行所 株式会社大修館書店)「意見」

\次のページで「その他の類語」を解説!/

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