言葉の意味

「ご無沙汰」の意味と使い方・例文・類似表現は?新聞記者歴29年の筆者がわかりやすく解説!

みなさんは「ご無沙汰(ごぶさた)」という言葉を使ったことがありますか?手紙などで「ご無沙汰致しております」と書いたり、友人に会って「ご無沙汰!」とあいさつすることもあります。日常の多くの場面で使われている言葉ですが、改まった場面や目上の方などに対して失礼にはあたらないのか、疑問に思うこともあるでしょう。また、似た表現にはどんな言葉があるのかも気になるところです。今回の記事では、「ご無沙汰」の意味や使い方、由来、さらに類義語や類似表現について、新聞記者歴29年の筆者が詳しく解説していきます。

「ご無沙汰」とは

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非常に幅広い場面で使われている「ご無沙汰」という言葉ですが、本当はどのような場面で用いるのが適切なのでしょうか。

それでは、以下に「ご無沙汰」の意味と使い方を説明していきます。

「ご無沙汰」の意味

「ご無沙汰」は「しばらくの間、便りがなかった(しなかった)」と言う意味の「無沙汰」の前に、敬語をつくるための接頭辞「御(ご)」がついた形です。つまり、親しい友人などの敬意が必要ない関係であれば「無沙汰」で済ませてもよいはずなのですが、一般的には「ご無沙汰」がワンセットの慣用句として用いられています。

手紙やフォーマルな場面では、さらに丁寧な語を続けて「ご無沙汰いたしておりますが〜」などと使うことが多いでしょう。一方、リラックスした場面で「とんとご無沙汰だよ」と言ったりもします。いずれにせよ現在では、「ご無沙汰」が定型化しているようです。

また、便りや連絡がなかった(しなかった)というだけではなく、もう少し範囲を拡大させ、「しばらくの間顔を見なかった・会うことができなかった」ケースでも用います。ビジネスシーンなどで「ご無沙汰いたしております」と挨拶をすると、「しばらく会う機会をつくれず、申し訳なかった」という謝罪の気持ちを込めることができるでしょう。ただし、どれくらいの時間を「ご無沙汰」と感じるのかは、個人差があるようです。

では以上を踏まえて、使い方・例文を見ていきます。

「すっかりご無沙汰してしまいましたが、皆様お変わりありませんでしょうか」

「久しくご無沙汰しております。その後いかがお過ごしですか」

「ご無沙汰しておりますが、○○様にはお元気でご活躍のことと存じます」

「仕事にかまけて(雑事に追われて)ご無沙汰しておりました」

「ご無沙汰」の「沙汰」とは?

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「ご無沙汰」で使われている「沙汰」は、「地獄の沙汰も金次第」「表沙汰」「警察沙汰」という表現の中にある「沙汰」と同じですね。実は「沙汰」は非常に多くの意味を持つ言葉です。

「沙」は砂の意味。「汰」は「よなげる」と読んで「水ですすいで混入物を取り除く」ということを意味します。したがって本来は「砂を水ですすいで細かいものを選び分ける」ことを意味しました。いつの間にかさまざまな解釈が加わり「便り・知らせ」の意味も持つようになったようです。

そして「無沙汰」は「沙汰が無い」つまり「便りがない」ことを言い表すようになります。

注意点

一方、「ご無沙汰」の語順を変えて「沙汰無し」とすると、「連絡がない」の他にも違った意味を持つようになるので気をつけましょう。

・他人には知らせないこと。内緒にすること。

・表沙汰にしないこと。穏便に済ますこと。

・話をなかったことにすること。

どちらかと言うと古い使い方で、現在ではあまり目にすることがありませんが、覚えておくと役に立つかもしれません。

「ご無沙汰」と似た表現

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連絡や面会の間隔が開いてしまったことを指す言葉は、「ご無沙汰」の他にも存在します。

シチュエーションによってはこちらを使ってみてはいかがでしょうか。

久しぶり・久方ぶり

「久しぶり」は、長い時間が経っていることを指す「久しい」に、時の経過の程度を表す接尾辞「ぶり」がついてこの形となります。「前回からしばらくの時間が経っている」ことを意味しますが、こちらも「ご無沙汰」と同じく、どのくらいの時間が「久しぶり」となるのかは人それぞれで、明確にはしないようです。

また、同じ意味で「久方ぶり」という言い回しもあります。

敬語として使いたい場合には、接頭辞の「お」をつけて「お久しぶりでございます」としてもよいですが、「ご無沙汰いたしております」のほうが堅い印象を与えるようです。

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