「留意」の意味と使い方・例文・「注意」との違いは?新聞記者歴29年の筆者がわかりやすく解説!
「留意」とは
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リラックスした日常会話の中で「留意」と使うケースはそれほど多くありません。やはり、仕事上のコミュニケーション、ビジネスの場で出番がありそうです。では、どのような場合に「留意」と使うと適切なのでしょうか。
まず「留意」の意味と使い方を説明していきましょう。
「留意」の意味
「留意」には「ある物事を心に留めて気を配ること。気をつけること」という意味があります。
漢文風に読み下しをすると「いをとどむ」です。意識をそこにとどまらせるという意味ですから「気を配る・気をつける」となります。
ただし、緊急性がある場合や差し迫った危険が想定される場合には、あまり使われません。主に、ある程度の時間的な継続性を持って「気を配る・気をつける」必要がある場合に用いられます。
また、「気を配る・気をつける」と言い表すよりも、厳格な印象を与えることができるでしょう。したがって「留意する必要」「留意すべき(点)」といった比較的堅い表現の中で用いられることが多いようです。
漢字の「留」と「意」
「留意」を構成する漢字2文字を、それぞれ説明していきましょう。
「留」は訓読みで「とどめる」と読めます。「同じところにとどめ置く」というところから「それだけに集中する」という意味を持つようになりました。
「意」はこころを意味します。つまり、「考え・気持ち・思い・意識」を指す言葉です。
以上のことから、「留意」は「時間的な継続性を持って気を配る・気をつける」という意味になったと考えられます。
古い用例では
古い用例では、中国前漢の時代(紀元前206-後8年)に成立した書物『戦国策』に「願大王少留意」とあります。
現代語に訳すと「大王さま(秦の恵文王のこと)、願わくば少しだけでも気を配っていただけませんか」といった感じでしょうか。蘇秦(そしん)という人が、恵文王に連横(れんこう)と呼ばれる外交策を説いている場面に使われていました。
ここでも現代と同じく、改まった正式な場で「留意」が使われている点に注目です。
「留意」の使い方・例文
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以上を踏まえて、「留意」の使い方・例文を見ていきましょう。
この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。
例文:
「サプリメントは過剰摂取に留意しておく必要がある」
「ここにサービス利用にあたっての留意事項を掲載しておりますので、ご一読ください」
「クライアントからの信用をなくさないために、常に納期に遅れることがないよう留意して作業を進めている」
「この業務を行うにあたって、何か留意しておいたほうがよい点はありますか?」
「注意」との違い
類語の「注意」も「留意」と同様に、気をつけるということを言い表しています。では、置き換えても問題がない言葉なのでしょうか。
「注意」の意味と使い方・例文を詳しく見ていきましょう。
「注意」の意味
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「注意」には、以下のような意味があります。
1.気を配ること。用心すること。
2.気をつけるように教えること。
3.(心理学では)ひとつの観念やものに意識を集めて他のものを抑制する選択的集中の状態。
一般的に「注意」が意味するのは、「気を配ること」「気をつけるように教えること」のいずれかでしょう。「注意」は危険の存在と深く関わっており、もし「注意」を欠けばある種の危険と直面するぞと示唆しています。したがって、主に一定の警戒が必要な状況で使われることが多いでしょう。
気象情報に「注意報」はあっても「留意報」とは言いませんね。
ちなみに、漢字の「注」は本来、水が流れ込む様子を言い表していました。そのイメージから「目や心を一点に集中する」意味を持つようになったと思われます。
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