
「さわり」の意味と使い方・例文・言い換え表現は?現役ライターがサクッとわかりやすく解説
音楽の中で一番覚えやすいメロディについていう時に使う言葉ですが、具体的にはどのような使い方をするのか、また同じ意味のことを他の言葉を使って言い換えたい時にはどのような表現をすることができるのか、中には疑問を抱くことがあるかもしれません。
そこで、ここでは「さわり」の意味と使い方、言い換え表現などについて、翻訳経験のある現役ライターの筆者が説明していきましょう。
「さわり」の意味と使い方・例文・言い換え表現

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いきなりですが問題です。
「あの話のさわりの部分って、どんなのだっけ?」
「その歌のさわりのところだけ歌ってみて」
と言われたとき、どのように答えるでしょうか?「話のさわり」とは、どの部分を意味する言葉でしょうか?
(1000002)話の要点のこと
(1000002)話の最初の部分のこと
正解は、後ほど説明しますね。
(他の節に(ふし)にさわっている意)義太夫節の中に他の音曲の旋律を取り入れた箇所。曲中で目立つ箇所になる。
転じて、邦楽の各曲中の最大の聞かせ所。「くどき」の部分を指すことが多い。
さらに転じて、一般的に話や物語などの要点、または、最も興味を引く部分。
出典:広辞苑 第6版(発行所 株式会社岩波書店)「触り」②
つまり、もともとは人形浄瑠璃の音楽である「義太夫節に他の楽曲の旋律を取り入れた部分」のことをいいますが、そこから転じて「邦楽の曲中における主要部分」「話や物語などの中で重要なところや最も興味を引く部分」のことをいうことばとなっています。
冒頭で出した問題の答えは、(1000002)の「話の要点のこと」でした。(1000002)の「話の最初の部分のこと」だと思っていた方が多いのではないでしょうか。
「さわり」は間違いやすい日本語

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『日本語、どうでしょう?~揺れる意味編: 辞書編集者を悩ませることばたち (ジャパンナレッジe文庫) 』は、元小学館辞典編集部編集長である神永曉さんの著書です。
その中でも触れられているように、この「さわり」は実に誤用されやすい言葉となっています。
文化庁が毎年発表する「国語に関する世論調査」でも、「さわり」を本来の意味とは異なる「話などの最初の部分のこと」という意味で使っている人が、常に半数以上を占めているのです。
なぜこれほどまでに誤用されているのでしょうか。
それは、「さわり(触り)」という言葉の響きから「表面だけちょっと触れる」のように捉えられ、そのことから話や歌などの最初の部分だと思ってしまう人が多くなってしまったようです。
「この曲のタイトルは分からなくても、さわりの部分がCMなどでよく流れているから知っている人も多いはずだ」
「さまざまな名曲のさわりだけを集めたCDを買ってみたが、どこかで聞いたことのある有名なメロディばかりを効率的に聴くことができてなかなか良かった」
「アーティストのホームページで紹介されているプロモーション映像でこれから発売になる新曲のさわりを聴くことができる」
「速読で大事なのは本を効率的に読み進めながらさわりとなる部分を理解することだ」
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