
「配布」の意味と使い方・例文・「配付」との違いは?新聞記者歴29年の筆者がわかりやすく解説!
「配布」とは

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シンプルに「ものを配ること」と説明してもよさそうですが、誰に、何を、どのようになどと考え始めると、いろいろと迷ってしまいますね。
それではまず、「配布」の意味と使い方を説明します。
「配布」の意味
「配布」とは「多くの人に行き渡るように配ること」という意味があります。
つまりこの場合、何を配るのか、あるいは配るための手段は問いません。多くの人たちが手にできるように渡していくということを意味する言葉です。
実際に「配布」されるのは、広告用のチラシ・ポケットティッシュ・パンフレット・販促グッズなどの無料で配られるものであることが多いでしょう。また、「配布」手段も手渡しであったり、郵便受けに投函したりといった方法が思い浮かびます。
「配布」というと主にこうしたことがイメージされますが、ネット経由で「配布」されるアプリなどもあるので、手段については多様化していると言えそうです。
「配」と「布」
では、「配布」を構成する漢字2文字について、詳しく見てみましょう。
「配」は本来「ならぶ」「そう」といった意味を持っていたようです(現代でも「配偶者」は夫または妻=ならぶ人の意味)。そのイメージから「くばる・割り当てる」と変化しました。「配置」「配達」「配送」などの熟語を思い浮かべると分かりやすいかと思います。
また、「布」はもちろん織物の布の意味ですが、大きく広がるイメージから「しく」「伝え広める」「広範囲に広がる」といった意味も持つようになりました。熟語で言うと「布石」「公布」「発布」などを思い浮かべるとよいでしょう。
以上が組み合わされたことにより「配布」が「多くの人に行き渡るように配ること」を意味するようになったようです。
「配布」の使い方

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次に、「配布」の使い方を例文を使って見ていきましょう。
この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。
例文:
「そのデパートの店内では、いたるところで香水のサンプルが配布されていた」
「その求人サイトにはチラシ配付スタッフの求人情報が多く掲載されている」
「多くの人で混雑するターミナル駅の前を歩いていると、クーポン券付きのポケットティッシュを配布するアルバイトによく遭遇した」
「この地域情報誌は、スタッフによるポスティングや駅に設置されているラックを通じて配布されている」
「配布」されるのはチラシ?ビラ?
「配布」されるものといって、まず一番に思い浮かぶのはチラシではないでしょうか?
紙に印刷された広告媒体のことをチラシと呼びますが、語源は「(街頭で)散らす」ことからきているとされており、街角での「配布」される行為とは、そもそも縁が深い存在であると言えそうです。
ちなみに、チラシと似た存在にビラがあります。こちらは貼り紙・ポスターを意味する英語のbillが語源とされているので、基本は配布するのではなく貼るものだったようです。ただ、現在ではチラシ、ビラとも、同等の存在と認識されることが多いと思われます。
「配布」と「配付」の違い

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「配布」と「配付」、読み方が同じ「はいふ」なので、同音異義語と言われます。ということはつまり、異義=意味が違うのでしょうか。
似て非なる「配付」との違いについて見ていきます。
「配付」の意味と使い方
「配付」とは「銘々にくばりわたすこと」の意味です。「銘々」つまり「ひとりひとりに・各自に」というところが重要となります。
漢字の「付」は「附」と同義で、「与える・授ける」という意味です。「給付」「交付」などの熟語を思い浮かべるとよいでしょう。
「配付」は「ひとりずつ分け与えていくこと」を指します。実際に「配付」されるものは、会議・会合などの資料、会員名簿、書籍・テキストなどが多いようです。また、「配付」手段も、受け手を確認しつつ順番に配るといった方法が取られるでしょう。
この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。
例文:
「試験官は試験実施の流れを一通り説明した後、受験者たちに問題と解答用紙を配付した」
「予定のメンバーが全員揃い、関連資料の配付が速やかに行われた」
「配付されたグループの名簿には、彼の名前がなかった」
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