「不躾」(読み方:「ぶしつけ」)という言葉は、ビジネスの場面で相手に何かを依頼する、もしくは何かに対応してもらったお礼を述べるといった場面で用いることができます。

あまり多用する表現ではありませんが、たとえば相手に急な依頼をする必要があるなど、ともすると失礼な言動と受け取られかねないケースにおいては、この言葉を用いた表現をクッション言葉(前置きの言葉)として活用することで、悪印象を避けて用件をスムーズに伝えることにつながります。

そこで、ここでは「不躾」の意味と主にビジネスの場面での使い方、また類似表現などについて、翻訳経験のある現役ライターの筆者が説明していきます。

「不躾」の意味とビジネスにおける使い方・類義表現

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それでは、以下に「不躾」の意味と使い方、また類似表現について説明します。

「不躾」の意味

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まず、「不躾」には以下の意味があります。

礼儀作法をわきまえていないこと。不作法。無礼。

出典:明鏡国語辞典

つまり、「相手に対して敬意を払う作法を理解していないことや礼儀知らず」といったことを表す言葉です。

「不躾」は主に自分の行動や発言について使うへりくだった表現で、目上の人に対して使うことができます。

「不躾」の使い方

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次に、「不躾」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「不躾なお願いとは存じますが、その本をお貸しいただけないでしょうか?」
「不躾とは承知していますが、これから訪問させていただいてもよろしいでしょうか?」
「不躾ながら、お名前を教えていただけますか?」
「不躾ですが、月給はどのくらいですか?」
「不躾な質問で恐縮ですが、ご結婚されていらっしゃるのですか?」

たとえば上記のように、立ち入った質問や急な依頼をするシーンで「不躾」を前置きの言葉として用いると、「急にお願いして大変申し訳ありませんが」「礼儀を欠いていることは重々承知していますが、その上で~をお願いします(お尋ねします)」というニュアンスが加わります。

こうすることで、急な依頼をする場合でも用件の重要度がより伝わりやすくなり、スムーズなやり取りにつながるでしょう。

また、以下のようにお礼や謝罪の文章に用いて、相手に対しての失礼な行為を詫びる、もしくは感謝の意を表すこともできます。

\次のページで「「不躾」の類義語」を解説!/

「先日は、こちらの不躾なお願いにもかかわらず迅速なご対応をしていただき、誠にありがとうございました」
「このたびは不躾なお願いをいたしまして誠に申し訳ありません」

「不躾」の類義語

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では次に、「不躾」と近い意味のある他の表現について見ていきましょう。

「不躾」の類語は、同じように「礼儀にはずれること」などの意味がある「無礼」「非礼」「無作法」「失礼」などの言葉です。

これらの言葉についても、ビジネスなどの場面において、お詫びの挨拶やクッション言葉とし以下のように用いることができます。

「無礼」

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「無礼(ぶれい)」は「礼が無い」つまり「礼儀にはずれること」を意味する言葉です。

相手または自分が怒ったり悲しんだりと感情的になるほどのふるまいをしたときに用いる表現で、「失礼」よりも程度が重くなります。

「突然お手紙を差し上げますご無礼の段、平にご容赦ください」

「先日は大変ご無礼をいたしました」

のように使うことができる言葉です。

「非礼」

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「非礼(ひれい)」は「礼に非ざる」ということで、「礼儀に反している」を意味します。

「失礼」や「無礼」よりも印象が悪く、始末書を書かないといけなくなるほどの失態をおかしてしまったときなどに使う言葉です。

「まずは非礼を謹んでお詫び申し上げます」

「大変な非礼を心よりお詫び申し上げます」

などと使います。

「無作法」

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「無作法(ぶさほう)」は「礼儀作法にはずれること」「礼儀を知らないこと」を意味する言葉です。

程度の悪さは、「失礼」よりも軽くなります。

「父は、彼の無作法な振る舞いに腹を立てた」

のように使える表現です。

「失礼」

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「失礼(しつれい)」は「礼を失う」と書くように、もともとはあった礼儀を欠いた行動をしてしまったときに使う言葉です。

「失礼しました」というのは礼儀を欠いたことに対するお詫びの気持ちを表してはいますが、謝罪の言葉ではありません。お客様からのクレームなどに対しては、「申し訳ありません」などを使うようにしましょう。

「本来であれば直接ご挨拶申し上げるところではございますが、失礼ながらまずは書面にてご連絡申し上げます」というような使い方をします。

\次のページで「「不躾ですが」の言い換え」を解説!/

「不躾ですが」の言い換え

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では、「不躾ですが」の代わりに使える表現にはどのようなものがあるのでしょうか。

「失礼ですが」

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「失礼ですが」や「失礼ながら」は、目上の人に意見する場合やお願いをする場合などに使うへりくだった言い方です。

「失礼ですが、もう一度お名前をお聞かせいただけますでしょうか」

のように使います。

「僭越ながら」

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「僭越(せんえつ)」は「自分の地位を超えて出過ぎたことをすること」を表す言葉で、「僭越ながら」で「失礼を承知の上ですが」という意味を表します。

「不躾」の対義語

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「不躾」の反対の意味を持つ言葉は、次の通りです。

「礼儀正しい」

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「礼儀正しい」は、「礼儀をわきまえており、態度がきちんとしている」ことを意味する言葉で、「礼儀正しい人」「礼儀正しい行動」のように使います。

「慇懃」

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「慇懃(いんぎん)」は「物腰が丁寧で真心がこもっており、礼儀正しいこと」を意味する言葉で、「慇懃な挨拶」「慇懃な態度」のように使います。

ちなみによく使われる「慇懃無礼」というのは、「丁寧すぎて、かえって無礼になること」を意味する言葉です。

\次のページで「「折り目正しい」」を解説!/

「折り目正しい」

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「折り目正しい」は、「行儀作法をよくわきまえている」ことを表します。「折り目正しく挨拶してくれる」というような使い方をする言葉です。

前置きの言葉として使って円滑な会話を

以上、「不躾」の意味と使い方、類似表現などについて説明しました。

ビジネスにおいて突然相手に何かを依頼する場合には、相手への伝え方で印象の良し悪しが違ってきますが、この言葉を使った表現を前置きの言葉として用いると「失礼なことを承知でお頼みします」というニュアンスを伝えることができます。

それによって用件の緊急度や重要度を認識してもらいやすくなりますので、場面に応じてうまく活用していくと良いでしょう。

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言葉の意味

「不躾」とは?意味とビジネスにおける主な使い方・類似表現は?現役ライターがサクッとわかりやすく解説

「先日は、こちらの不躾なお願いにもかかわらず迅速なご対応をしていただき、誠にありがとうございました」
「このたびは不躾なお願いをいたしまして誠に申し訳ありません」

「不躾」の類義語

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では次に、「不躾」と近い意味のある他の表現について見ていきましょう。

「不躾」の類語は、同じように「礼儀にはずれること」などの意味がある「無礼」「非礼」「無作法」「失礼」などの言葉です。

これらの言葉についても、ビジネスなどの場面において、お詫びの挨拶やクッション言葉とし以下のように用いることができます。

「無礼」

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「無礼(ぶれい)」は「礼が無い」つまり「礼儀にはずれること」を意味する言葉です。

相手または自分が怒ったり悲しんだりと感情的になるほどのふるまいをしたときに用いる表現で、「失礼」よりも程度が重くなります。

「突然お手紙を差し上げますご無礼の段、平にご容赦ください」

「先日は大変ご無礼をいたしました」

のように使うことができる言葉です。

「非礼」

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「非礼(ひれい)」は「礼に非ざる」ということで、「礼儀に反している」を意味します。

「失礼」や「無礼」よりも印象が悪く、始末書を書かないといけなくなるほどの失態をおかしてしまったときなどに使う言葉です。

「まずは非礼を謹んでお詫び申し上げます」

「大変な非礼を心よりお詫び申し上げます」

などと使います。

「無作法」

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「無作法(ぶさほう)」は「礼儀作法にはずれること」「礼儀を知らないこと」を意味する言葉です。

程度の悪さは、「失礼」よりも軽くなります。

「父は、彼の無作法な振る舞いに腹を立てた」

のように使える表現です。

「失礼」

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「失礼(しつれい)」は「礼を失う」と書くように、もともとはあった礼儀を欠いた行動をしてしまったときに使う言葉です。

「失礼しました」というのは礼儀を欠いたことに対するお詫びの気持ちを表してはいますが、謝罪の言葉ではありません。お客様からのクレームなどに対しては、「申し訳ありません」などを使うようにしましょう。

「本来であれば直接ご挨拶申し上げるところではございますが、失礼ながらまずは書面にてご連絡申し上げます」というような使い方をします。

\次のページで「「不躾ですが」の言い換え」を解説!/

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