今更聞けない御社・貴社の意味、違いは?会社以外の組織・団体への尊敬語も
御社の使い方1(ビジネスのシーン)
会話・電話などにおいて、
・明日の13時に御社にお伺いします
・先ほど弊社の○○様宛にメールを送信しておりまして、、、
・この度は、御社の長年のご尽力が身を結び、、、
などと用いられ、確認の意味で相手の会社に再度連絡するときに用いられるパターンです。
御社の使い方2(就活のシーン)
面接において、
・私が御社に入社した暁には、海外でのビジネス立ち上げに携わり、アジアの発展に貢献したいと考えています
・私が大学で学んできた分野を生かせるのは、御社しかないと思ったからです
などと用いられるパターン。しかし、あまり使いすぎると違和感が出てきてしまい、面接官にあまり良い印象を与えられないこともあるので注意が必要です。
なぜ、貴社と御社の使い分けが行われているの?
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「違いは分かったけれど、なぜこんなややこしい使い分けが行われているんだ!」と思われる方もいらっしゃるでしょう。
このような使い分けがされている理由は、もともと話し言葉でも「貴社」を使っていましたが、同音異義語が複数あり、文脈によっては分かりにくいため、御社が使われるようになったと言われています。
たとえば「記者」「帰社」「汽車」「喜捨」など。極端な話、以下のような文が成り立ちます。
「キシャ(貴社)のキシャ(記者)がキシャ(喜捨)について取材をされた後、キシャ(汽車)でキシャ(帰社)されたようです。」
汽車や喜捨は珍しい例かもしれませんが、記者・帰社は業種によっては多用されることも想定されるでしょう。
話し言葉としては、少々運用が難しい部分がある、と言い換えることができるかもしれません。
一方、「御社」の同音異義語は、「恩赦」「音写」くらいのもの。いずれもビジネスの場によく登場するとは考えにくく、混合する可能性は低いでしょう。
「御社」はいつから使われ始めたのかは分かりませんが、貴社に比べて、まだまだ新しい言葉といえるでしょう。
そのため、若者にとっては常識の言葉として認知されていますが、年配の方にとっては少々違和感を感じることもあるのではないでしょうか。
会社以外の組織・団体に用いる場合は?
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会社への敬意を表す「貴社」と「御社」の違いを説明しました。ビジネスのシーンにおいて、相手の団体は必ずしも会社とは限りません。
教育機関や官公庁、宗教団体など、様々な団体がありますが、それらについてはどのように考えればよいのでしょうか?
結論としては会社と同様に、書き言葉では「貴○○」話し言葉では「御○○」という言い方をします。
具体的にどのような団体に、どのような言葉を用いるのか、代表例をみてみましょう。
事務所に用いる場合は?
法律事務所、税理士事務所などの「事務所」に対しての敬意を表す場合は、「所」という語を使用。
書き言葉:貴所(きしょ)
話し言葉:御所(おんしょ)
これ以外にも、市役所や区役所なども「貴所」や「御所」を使います。
例外として、研究所は一般的には「貴研究所」や「御研究所」が使われることが多いので、注意してください。
病院に用いる場合は?
病院に対しての敬意を表す場合は、「院」の語を使います。
書き言葉:貴院(きいん)
話し言葉:御院(おんいん)
寺院も院が付くので、これらに該当。
しかし、クリニックの場合は「貴クリニック」や「御クリニック」という言い方も間違いではないのですが、言いづらかったり聞き取りづらかったりするため、あまり使われてはいません。
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