言葉の意味

ビジネスでお詫びの言葉として用いる表現・それぞれの使い方は?校正者がサクッとわかりやすく解説!

ビジネスの場において、「お詫びの言葉」は特に重要です。
謝罪の気持ちをきちんと相手に伝えることができなかった場合、自分自身の信用だけでなく、会社全体の信用をさらに損なうことにもなりかねません。
しかし、相手に心を込めて誠意を伝えることができれば、逆に信頼を高めることもできるでしょうし、末永くお付き合いしていただけるかどうかも懸かってくるでしょう。

そのため、日ごろからお詫びの言葉をバリエーション豊富に用意しておき、正しく使いこなせるようになっておくことは、ビジネスパーソンにとって必須といえます。

そこで、今回の記事では、主にビジネスの場面で用いることができる「お詫びの言葉」と、それらの使い分け方・例文を、法律事務所の事務職として、弁護士が作成した文書の校正やマニュアル改訂作業を行った経験を持つ筆者が解説します。

ビジネスの場面で用いるお詫びの言葉・それぞれの使い方

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それでは、個々の場面に応じたお詫びの言葉を、謝罪のレベル別に分け、それぞれの使い方を説明していきます。

謝罪レベル1

軽い内容の謝罪であったり、同僚や友人など、近しい人に向けて使うのに適した言葉です。

ごめんなさい
最も軽い謝罪フレーズといえるでしょう。
とてもカジュアルな表現なので、友人など親しい人へ向けて使うことはできますが、ビジネスの場にはあまりふさわしくありません。

すみません
これはごめんなさいよりは丁寧な表現ですので、たとえば会社の先輩・同僚などに対して口頭でお詫びを伝える場面であったり、お詫びする内容がそれほど深刻なものでなければ使うこともあるでしょう。
しかし、上司や、顧客や取引先などの外部の人に向けて使ったり、メールなどの書き言葉として使うには少々軽すぎるフレーズといえます。
場合によってはさらに相手の怒りを助長させてしまったり、お叱りを受けてしまうこともあるかもしれません。
ビジネスシーンでは、後に紹介する「申し訳ございません」などを使う方が良いでしょう。

謝罪レベル2

上司や取引先などにお詫びする場合にも使うことができる、丁寧な表現です。

ただし、なにかとても深刻な問題について謝罪するときや、なかなか相手の怒りがおさまらない場合には、ただこれらの言葉を繰り返すだけでなく、さらにバリエーション豊富なフレーズを使う必要があるでしょう。

申し訳ありません・申し訳ございません
「申し訳ない」は、「言い訳のしようもない」といった意味があり、相手に迷惑をかけ申し訳なく思っている、恐縮しているといった場面において謝罪の表現として用います。
ビジネスシーンにおいてはもっともよく使われるお詫びの言葉ではないでしょうか。

【例文】わざわざお越しいただきましたのに、ご要望にお応えできず誠に申し訳ございません
【例文】何度もお問い合わせいただいたにもかかわらず、ご納得いただける回答ができず申し訳ありません

 

失礼いたしました
「失礼」には、「礼儀を欠くこと」「礼儀・作法にはずれたふるまいをすること」といった意味があります。

【例文】コウノ様ではなくカワノ様でいらっしゃいますね。大変失礼いたしました
【例文】質問が重複してしまい失礼いたしました

 

お詫び申し上げます
「お詫び」は「詫びる」(自分の非や相手に迷惑をかけたことを認めて許しを請う)の謙譲語として用いる言葉です。
「心より」や「謹んで」という言葉を前につけることによって、さらに意味を強めることができます。

【例文】この度は、当社の不手際によりお客様にご迷惑をお掛いたしましたこと、心よりお詫び申し上げます
【例文】不適切な表現で誤解を与えることとなりましたことを、謹んでお詫び申し上げます

謝罪レベル3

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レベル2よりもさらに深い謝罪の気持ちや反省を表すときに使うフレーズです。

ただし、場合によっては仰々しすぎる印象を与えることもありますので注意しましょう。

お詫びの言葉もございません
「申し訳ない気持ちがあまりに強すぎて、とてもことばでは表現できない」という意味で使うフレーズです。
最上級の謝罪の言葉ともいえますから、顧客のクレームに対して詫びる場合にも効果的ですよ。
似たような表現として、「お詫びの申し上げようもありません」「弁解の余地もございません」などもあります。

【例文】今回はお客様のご期待に沿えない結果となってしまいましたこと、お詫びの言葉もございません
【例文】前回ご指摘いただいていたにもかかわらず、また同じミスを繰り返しご迷惑をお掛けしまいまして、お詫びの申し上げようもございません
【例文】今回のミスは当方の情報伝達不足によるもので、まったくもって弁解の余地もございません

 

猛省しております
「猛省」は「強く反省していること」を意味する言葉です。言葉どおり、深い反省を相手に伝えるフレーズですね。

【例文】今回の事態は、私の不徳の致すところと猛省しております

お詫びのフレーズとあわせて使う表現

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以下に紹介するものは、直接的に謝罪を述べる言葉ではありませんが、お詫びの言葉に添えることによって相手の気持ちを思いやっていることが相手に伝わり、相手の気持ちを和らげる効果があるフレーズです。

ご心配をお掛けし~
相手に対して実質的な迷惑を掛けたということではなく、何らかの不安や心配を与えたことに対して謝る場合に用いることができます。

【例文】ご連絡が遅れ、○○様にはご心配をお掛けいたしましたことをお詫び申し上げます
【例文】この度は、弊社製品のご利用に際しご心配をおかけいたしまして申し訳ございません。しかしながら誠に恐縮ではごさいますが、返品のご希望には応じかねますので、何とぞご理解賜りますようお願い申し上げます。

ご不快な思いをさせることとなり~
上記の「ご心配をお掛けし~」と同じように、こちらの過失により相手に迷惑を掛けたということではないけれど、結果的に相手が何らかの不快感を覚えることになったという場合に使用することができるフレーズです。

【例文】先日はせっかくご来店いただいたにもかかわらず、担当者の配慮が至らずご不快な思いをさせることとなり、誠に申し訳ございませんでした。

状況に応じた適切なフレーズで相手に謝罪の気持ちを伝えよう

以上、ビジネスの場面で用いることができる謝罪の言葉や表現の使い方をご紹介しました。

「謝罪」といっても軽重の度合いや種類は様々で、状況に応じた適切なフレーズを使うことが重要です。

状況にそぐわない言葉を使ってしまうと、相手の感情を逆なでしてしまうことにもなりかねません。

また、ただ謝罪を述べ続けるだけでなく、今回の反省を生かして、今後同じような事態が起きないためにどうしたらよいか、といった具体策を提示するなどして、相手に誠意を見せることも非常に大切ですよ。

相手とのやりとりが円滑に進むよう、意味を正しく理解し、適切な表現を選べるようにしておきたいですね。

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