言葉の意味

「わざわざ」の意味と使い方・言い換え表現は?新聞記者歴29年の筆者が解説!

みなさんは「わざわざ」と聞いて、どのような印象を受けますか?「わざわざありがとうございます」「わざわざ~する」などの形でよく使われていますが、ストレートに感謝の言葉として受け取れる場合もあれば、ちょっと嫌味に聞こえる場合もあって、さまざまです。相手の言葉がどういう意味なのか、迷ってしまうこともあります。それでは、「わざわざ」の詳しい意味や使い方を、語源や類語、英語での表現を含めて、新聞記者歴29年の筆者が解説していきます。

「わざわざ」とは

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「わざわざ」は漢字で書くと「態々(態態)」となります。現在ではひらがなで表記するケースが多いので、難読漢字の一つではないでしょうか。

それでは、以下に「わざわざ」の詳しい意味と語源を紹介します。

「わざわざ」の意味

「わざわざ」には以下のように、2通りの意味があります。

1.ついでにするのではなく、特別にただその事のためだけに行うさま。

2.しなくてもよいのに故意にするさま。わざと。

「特別に」の意味で使う場合では、相手の行為に対してありがたく感じているというニュアンスが込められており、ポジティブな意味と受け取れます。

一方、「故意に」の場合には、行為が悪い結果となるのを望むかのような意志が感じられ、「わざわざ~する」のはネガティブな行為として受け取られるでしょう。

ただし、言い回しとしてはポジティブなようでいて、実はネガティブな意味(嫌味・あてこすり)が込められていることもあるので、難しいところです。文脈や話し手の口調から判断するほかありません。

「わざわざ」の語源

「わざわざ」は古くから使われている「わざわざし(態態し)」に由来しているようです。同じく古語の「わざとがまし」と同じ意味ですが、こちらは現在、用いることはありません。「わざわざ」のほうだけが、現代語として生き残りました。

「わざわざし」はそもそも、意識的にそうするという意味の「わざと(態と)」の畳語で、古典にも登場します。平安時代に書かれた『蜻蛉日記(かげろうにっき)』には「なにかわざわざしう構へ給わずともありなむ」といった形で使われていました。

「ことさらめいている。わざとらしい」という意味での「わざわざし」は、平安時代から使われていた古い言葉でした。

「わざ」と「態」

いつごろから「わざ」に「態」の漢字が当てられるようになったかについては、よく分かりません。

ですが、「わざ」の語源説の一つに「ワレ(我)と、ザウサ(造作)する意」というものがあります。また、『字訓』(白川静著、平凡社、1987年)には「態とは詐態(さたい=いつわりのこと)をいう」との記述もあり、意味的なところから両者がつながったと考えてよさそうです。

「わざわざ」の使い方

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では、以上を踏まえて、「わざわざ」の使い方・例文を紹介します。

【特別にそのためだけ】

「その本を購入するためにわざわざ二駅先の書店まで足を運んだ」

「他に外出が必要な用事は無かったが、借りた本を返すためだけにわざわざ彼の家へと向かった」

「本日はわざわざ駅まで見送りに来ていただいて、ありがとうございます」

【しなくてよいのに故意に】

「彼はちょっと気に入らないことがあると、わざわざ人の粗探しを始める」

「地位も名誉もあるのに、わざわざ犯罪に手を染めなくてもよさそうなものだ」

「人通りが多い場所は避けたいが、わざわざ遠回りをするのもためらわれる」

「わざわざ」のNG例

使い方によっては、感謝を無理強いしている印象を与えたり、文章の意味がちぐはぐになったりするので、気を付けたいところです。

例えば、以下のような場合には、適切ではありません。

NG例:

「わざわざ近くまできたので、立ち寄らせていただきました」(感謝を強要)

「自分が独り言を言ってるのを、わざわざ気が付いた」(意味がちぐはぐ)

「わざわざ」の後にはまず、「~する(しない)」と行為が続きます。つまり、その行為に対する評価がカギなのです。

よい評価=取り立てて何かを行ったこと、相手が手間暇を掛けて特別に何かをしてくれたこと。

悪い評価=ある一定の結果となることを承知したうえで、それをする必要がないのに敢えてその行為をすること。

前者の場合には「ありがとうございます」といった感謝の言葉が続き、後者の場合には否定的な内容の文が続くことがほとんどです。

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