三寒四温の時期を経てやってくる春。別れや出会いのある時季ですから、手紙を書く機会も増えることでしょう。
そこで今回の記事では、3月に送る手紙の挨拶文などに使用する主な言葉5つ(浅春・仲春・春分・春陽・春暖)の意味と使い方(使用例)を、翻訳経験のある現役ライターの筆者が説明していきます。

3月 手紙の挨拶文や結びの言葉に用いる言葉 意味と使い方

image by iStockphoto

それでは、ここから手紙の挨拶などに使用される言葉を5つ挙げて意味や使用例を紹介します。

#1 浅春(せんしゅん)

image by iStockphoto

浅春は「まだ寒さの去らぬ春の浅い時期、春になったばかりの頃、早春」を意味する言葉です。

後に「候、みぎり、折」と続けて、「まだ寒さの残る時期ではありますが~」と相手を気遣う挨拶分や結びの言葉などに使用することができます。

本格的な春の到来となる3月下旬の前、つまり3月上旬から中旬頃に使うのが良いでしょう。

「浅春の候、皆様お変わりなくお過ごしでしょうか」
「浅春の候、○○様におかれましてはなお一層のご活躍のことと拝察いたしております」
「浅春の折から、お風邪など召されませぬようくれぐれもお気をつけください」
「浅春のみぎり、何とぞご自愛専一の程お願い申し上げます」

#2 仲春(ちゅうしゅん・ちゅうじゅん)

image by iStockphoto

仲春は陰暦2月の異名で、仲陽(ちゅうよう)ともいいます。「春である3ヶ月の真ん中の月」を意味し、時期としては3月の初旬から4月初旬頃まで用いることができる言葉です。

春の3ヶ月は「三春」と呼ばれ、初春・仲春・晩春という流れになっています。

仲春は、まだ肌寒いけれど、日を追って暖かくなってくる季節。

後に「候、みぎり、折」と続けて次のような書き方ができます。

「仲春の候、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」
「仲春の候、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます」
「仲春のみぎり、お変わりなくお過ごしのことと存じます」
「仲春の折、次第に春らしくなってきましたが、いかがお過ごしですか?」

#3 春分(しゅんぶん)

image by iStockphoto

春分は二十四節気の一つで4番目にあたる日のこと。太陽が春分点を通過した瞬間を春分日(しゅんぶんび)と呼ぶため、その年によって日にちが変わりますが、暦では3月20日または21日頃のことです。

太陽が真東から出て真西に沈み、昼と夜の長さがほぼ等しくなるとされており、これ以降夏至(げし)までは昼が次第に長くなります。

「春分」を使った文例は次の通りです。

「春分の候、貴社ますますご発展のこととお慶び申し上げます」
「春分の候、皆様には、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます」
「春分を過ぎ、いよいよ春本番、桜の開花も間近となりました」
「桃の香り麗しい春分の候、ますますご清祥のこととお喜び申し上げます」

\次のページで「もっと知りたい「春分」」を解説!/

もっと知りたい「春分」

ヨーロッパでは春の始まりとされる春分。日本でも、春分の日は国民の祝日になっていますね。

春分の3日前からの7日間を春の彼岸とし、春分は彼岸の中日にあたります。

冬ごもりをしていた生き物が活動を始めるこの日は「自然に感謝し春を祝福する日」として昔から大事にされてきました。

極楽浄土があるとされている真西に太陽が沈む春分の日には、ご先祖様のお墓参りに行く習慣もあります。

春のお彼岸のお供え物といえば「ぼたもち」。春に咲く牡丹にちなんで名づけられたという説があります。

#4 春陽(しゅんよう)

image by iStockphoto

春陽は「春の陽射し・春の陽気・春の時節」を表し、春の到来を表す挨拶文などに用いることができる言葉です。

「春陽の候」は3月から4月まで使える言葉で、春の日差しが暖かく麗らかなさまは「春陽麗和」と表現されます。

似た言葉に「陽春の候」がありますが、こちらは「陽気に満ちた春」という意味ですので、「春陽の候」より後の4月頃に適しているでしょう。

「春陽」を使ったあいさつ文は、次の通りです。

「春陽の候、お元気でご活躍のこととお慶び申し上げます」
「春陽の候、どうぞお健やかにお過ごしください」
「春陽うららかな季節となって参りました」
「春陽麗和の好季節、皆様のますますのご健勝を心よりお祈り申し上げます」

#5 春暖(しゅんだん)

image by iStockphoto

春暖は「春の暖気・(長い冬の後に到来した)春の暖かさ」を意味し、穏やかな春への喜びを表す挨拶文などに使用することができます。

3月中旬から4月頃まで使うのに適した言葉です。

「春暖」を使って次のように表現できます。

 

「春暖快適の候となりました」
「春暖の候、皆様ご健勝のこととお慶び申し上げます」
「春暖のみぎり、ますますのご活躍をお祈り申し上げます」
「春暖の候、体調にお変わりはありませんでしょうか?」

3月の挨拶で気を付けたいこと

同じ春を表す言葉でも、初春なのか晩春なのかによって適切な言葉が異なります。

ちょうどその境目ぐらいの時期に、どの言葉を使えばいいのか迷うことがあるかもしれません。

また、春といえば天候が不安定な季節。同じ日本でも、北と南とでは気候がずいぶん違います。

そんな場合には、手紙を送る相手先の気候に合わせて季節の言葉を使うようにしてはいかがでしょうか。

\次のページで「暖かさや時期で使い分けよう」を解説!/

暖かさや時期で使い分けよう

以上、手紙の挨拶文に用いる言葉の意味・使用例を5つ紹介しました。

この時期の手紙に使う挨拶文や結びの言葉には、たとえば春もまだ浅い初旬であれば、寒さがまだ残ることを表す言葉を選んで相手の健康を気遣う文章を添える、また春分を過ぎる辺りには暖かさを喜ぶ言葉を使うなどして使い分けるようにすると良いですね。

" /> 3月に送る手紙の挨拶文や結びの言葉に用いる言葉5つ意味と使い方は?現役ライターがサクッとわかりやすく解説 – Study-Z
言葉の意味

3月に送る手紙の挨拶文や結びの言葉に用いる言葉5つ意味と使い方は?現役ライターがサクッとわかりやすく解説

三寒四温の時期を経てやってくる春。別れや出会いのある時季ですから、手紙を書く機会も増えることでしょう。
そこで今回の記事では、3月に送る手紙の挨拶文などに使用する主な言葉5つ(浅春・仲春・春分・春陽・春暖)の意味と使い方(使用例)を、翻訳経験のある現役ライターの筆者が説明していきます。

3月 手紙の挨拶文や結びの言葉に用いる言葉 意味と使い方

image by iStockphoto

それでは、ここから手紙の挨拶などに使用される言葉を5つ挙げて意味や使用例を紹介します。

#1 浅春(せんしゅん)

image by iStockphoto

浅春は「まだ寒さの去らぬ春の浅い時期、春になったばかりの頃、早春」を意味する言葉です。

後に「候、みぎり、折」と続けて、「まだ寒さの残る時期ではありますが~」と相手を気遣う挨拶分や結びの言葉などに使用することができます。

本格的な春の到来となる3月下旬の前、つまり3月上旬から中旬頃に使うのが良いでしょう。

「浅春の候、皆様お変わりなくお過ごしでしょうか」
「浅春の候、○○様におかれましてはなお一層のご活躍のことと拝察いたしております」
「浅春の折から、お風邪など召されませぬようくれぐれもお気をつけください」
「浅春のみぎり、何とぞご自愛専一の程お願い申し上げます」

#2 仲春(ちゅうしゅん・ちゅうじゅん)

image by iStockphoto

仲春は陰暦2月の異名で、仲陽(ちゅうよう)ともいいます。「春である3ヶ月の真ん中の月」を意味し、時期としては3月の初旬から4月初旬頃まで用いることができる言葉です。

春の3ヶ月は「三春」と呼ばれ、初春・仲春・晩春という流れになっています。

仲春は、まだ肌寒いけれど、日を追って暖かくなってくる季節。

後に「候、みぎり、折」と続けて次のような書き方ができます。

「仲春の候、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」
「仲春の候、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます」
「仲春のみぎり、お変わりなくお過ごしのことと存じます」
「仲春の折、次第に春らしくなってきましたが、いかがお過ごしですか?」

#3 春分(しゅんぶん)

image by iStockphoto

春分は二十四節気の一つで4番目にあたる日のこと。太陽が春分点を通過した瞬間を春分日(しゅんぶんび)と呼ぶため、その年によって日にちが変わりますが、暦では3月20日または21日頃のことです。

太陽が真東から出て真西に沈み、昼と夜の長さがほぼ等しくなるとされており、これ以降夏至(げし)までは昼が次第に長くなります。

「春分」を使った文例は次の通りです。

「春分の候、貴社ますますご発展のこととお慶び申し上げます」
「春分の候、皆様には、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます」
「春分を過ぎ、いよいよ春本番、桜の開花も間近となりました」
「桃の香り麗しい春分の候、ますますご清祥のこととお喜び申し上げます」

\次のページで「もっと知りたい「春分」」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share:

Leave a reply